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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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初デート

魔物の討伐に参加した翌日、俺とエレオノーラさんは冒険者ギルドに報酬を受け取りに来ていた。


「アリエさん、こんにちは」


「こんにちは、コタケ様、エレオノーラ様。昨日の報酬を受け取りに来られたのですか?」


「はい、そうです」


「今、ご準備致しますので少々お待ちください」


とアリエさんはギルドの奥に行き、またすぐに戻ってきた。


「今回の討伐の参加報酬として、お二方には金貨1枚のお渡しとなります。そして、エレオノーラ様は最も活躍頂いたという事で、特別報酬として金貨2枚を追加でお渡しとなります。また、お仲間のスライムの活躍も大きく銀貨5枚が追加でお渡しとなります」


どうやら活躍に応じて追加で報酬が貰える様になっていたみたいだ。


「エレオノーラさんの追加報酬は分かるんですが、Fランクの俺まで貰っても大丈夫なんですか?」


「はい、コタケ様のスライムによる重力魔法は他の冒険者の方の援護にもなっていたので、今回追加で報酬が支払われる事になりました」


(なら追加分はクロの為に使うとしよう)


「そういえば、討伐に参加したのは200人程だと聞いてましたけど、全員に金貨1枚を支払っても領主の人は大丈夫なんですかね?」


ふと疑問に思ったことを聞いてみた。


「街が壊れてそれを修繕する費用や、その間の住民達の保護などに掛かる金額と比べると少なく住むから、領主としてもある程度の金額で冒険者に依頼した方が安く済むんだ」


「そうですね。なので領主様も魔物が押し寄せてると報告を聞いてすぐに冒険者ギルドへ依頼をかけて来たそうです」


エレオノーラさんとアリエさんが答えてくれた。


「では、私たちはこれで宿に戻ることにするよ」


とエレオノーラさんが動きかけた時、


「申し訳ございませんが、ギルド長がエレオノーラ様とお話ししたいことがあるそうで、少し残って頂けないでしょうか?」


「はぁ、分かった。すまないがコタケ殿は先に宿の方に戻っていてくれ」


そうして、エレオノーラさんは奥の部屋へと入っていったので、俺は先に宿へと戻った。


「ワタルさん、おかえりなさい」


「ただいま」


「あら、エレオノーラは?」


「ギルド長が話したい事があったみたいで、先に戻るように言われたんだ」


「そうなんですね、ではエレオノーラが戻り次第昼食にしましょう」


ひとまず、宿屋の食堂でエレオノーラさんを待つことにした。


(お金が手に入ったのは良いけど何に使おうかな・・・?)


と考え一つの案が浮かんだ。


「アリー、良かったら今日の午後から一緒に街を見て回らない?」


とアリーをデートに誘ってみた。


「もっ、勿論大丈夫ですよ!」


「良かった、ならお昼食べたら行こうね」


アリーも嬉しそうな顔をしているので何よりだ。

ちょうど、アリーからOKをもらった所でエレオノーラさんも帰ってきたので早速、お昼を食べた。

その際に、エレオノーラさんにも午後から一緒に街に行くと伝えた。

ただ、2人きりの時に何かに巻き込まれると危ないので、エレオノーラさんが見守ることになった。

2人の邪魔はしないとは言われたが、俺1人だと何かあった時に守り切れないかもしれないので、むしろエレオノーラさんがいてくれた方が安心だった。


そして、ご飯を食べ終えるとアリーは一度部屋へと戻って行った。

なんでも、服を着替えたいとの事だそうだ。

30分ほど経つと、着替え終えたアリーが降りてきた。

いつもの格好は、高級そうなドレスに身を包み凛々しい印象を受けるが、今日は白のワンピースに帽子といったとても可憐な印象だった。


「その、すごく似合ってて可愛いよ・・・」


「ありがとうございます・・・」


お互い顔を真っ赤にした。


「それじゃあ、早速行こうか」


と2人で街へと出かけた。


「アリーはどこか行きたい場所とかある?」


「いえ、私は特には。ワタルさんは?」


「俺も何があるか分かんなくて・・・」


お互いデート初心者の為に、いきなり問題が生じてしまった。


「あちらのほうに市場があるとお聞きしたので、そちらに行ってみませんか?」


アリーが提案してくれたので、まずは市場に向かうことにした。

市場には、野菜や肉など様々な食材が売られていた。


「いろんな食べ物があるね」


「はい、あまり聞き慣れない名前をした物も割とありますね」


見た所、前世同じ名前で同じ見た目をした食べ物もあるが、名前や見た目からは味が想像出来ない様な物もあった。

しばらく、ぶらぶらと歩いていると市場が終わり、服屋が多く立ち並ぶ道を歩いていた。


(そういえば、こっちの世界に来てからは毎日同じ服しか着てないな・・・)


今俺が来ている服は、簡素な作りになっている何処にでもあるような服だった。


「そういえば、ワタルさんが着ている服はいつも同じな様な気がするのですが、もしやそれしかお持ちになってないのですか?」


「うん、そうだね」


「でしたら、ワタルさんの服選びをしませんか?」


「そうだね、ちょうど報酬金も入ったことだし、この際何着か買っておこう。ただ、どんな服を買えば良いのか分からないんだよね」


前世でも、服装には無頓着だったので何を買えば良いのかが全然分からなかった。


「ふふ、おまかせください!私がコーディネート致します!」


とアリーが自信満々で答えた。


それから、色々な店に行き、落ち着いた感じの服装や少しチャラついた感じの服など様々な服を試した。

一通り試し終えて、気に入った物を買うことにした。

3着程買ったのだが合計で大銀貨1枚の値段だった。

どうやら少し高めの物だったらしく、少々驚いてしまったが討伐報酬を貰っていたので特に問題はなかった。


「お待たせ」


先に店を出ていた、アリーに声をかけた。


「はっ!すみません。無事に購入できましたか?」


アリーは隣の店のショウウィンドウを見ていたみたいで反応が少し遅れた。


「うん、大丈夫だったよ。ところで何か気になる物でもあった?」


「いえ、大丈夫です!それより次はどうしましょうか?」


「ちょっと小腹もすいてきたし屋台見に行かない?」


「そうですね、そうしましょう」


そして、その後、屋台でクレープを発見し、それを買い食べ終えた所で夕方の合図である街の鐘が鳴った。


「もう、こんな時間ですか・・・楽しい時間はあっという間ですね」


「そうだね、明るいうちに宿に戻ろうか」


そうして、俺達は宿へと戻っていった。

宿屋に戻ったところ、夕食まで1時間はあるとの事なので各自で自由に過ごすことにした。


1時間後、夕食の時間になったので食堂へと降りていった。

いつも通り皆んなで食事をしているとエレオノーラさんが、


「必要最低限の物は買うことが出来たし、明日には拠点に戻ろうと思うのだが大丈夫か?」


と提案してきた。


「そうですね、拠点も心配なので賛成です」


「ただ、お風呂を買うのが出来なかったのが残念ですね・・・」


とアリーが言った。

当初、持ち運び可能なトイレと同じ仕組みでできているお風呂を買う予定だったが、まさかの在庫がなく次にいつ入荷してくるのか分からないとの事で、購入が出来なかったのだ。


「お風呂に関しては、俺に1つ案があるので帰ったら試してみても良いですか?」


「そうだったのか、帰り次第、是非試してみてくれ」


そんなこんなで食事を終えてまた各自、部屋へと戻って行った。

しばらく部屋でくつろいでいると、


「あっ、あれを渡すの忘れてた!」


俺は小さな袋を持って、アリー達の部屋へと向かった。

ドアをノックするとエレオノーラさんが出てきた。


「アリーいますか?」


「あぁ、ちょっと待ってくれ。お嬢様、コタケ殿がお呼びです」


すぐに、アリーが来た。

先程までお風呂に入っていたのか、とても良い匂いがした。


「どうかなさいましたか?」


「ちょっと渡しそびれた物があって」


と言い、先ほどの袋を渡した。

アリーが袋を開けると、中から銀細工で出来た蝶の形をした髪飾りが出てきた。


「これは、私があの時見てた・・・」


「凄い熱心に見てたから欲しかったのかなって思って、帰ってきた後に買ってきたんだ」


その際に、クロと一緒に出かけて追加で貰った報酬でクロの欲しい物も買った。

クロに買ったものとは、食べ物で美味しいものを沢山食べたいとの希望だったので屋台を駆け回り、追加報酬の大銀貨5枚の内3枚を消費した。残りの2枚は他のスライムにも美味しい物を食べて欲しいそうで、まだ残っている。


「でも、これ高かったですよね」


「大丈夫だよ、報酬もあった事だし。それにアリーには似合うと思うから着けてみて欲しいんだ」


ちなみに、値段は大銀貨7枚だった。どうせお金を持っていても使う機会も滅多にないので、アリーの為に使ったのだ。


「では、早速着けてみますね」


と部屋にの鏡の前に行き、髪飾りを着けて戻ってきた。


「どうですか?」


「とっても似合ってるよ」


「ありがとうございます!大切にしますね!」


と話していると、ハッとアリーの後ろの方ででニヤニヤしながらこちらを見ている、エレオノーラさんとアンさんとリビアさんに気がついた。


「そっ、それじゃそろそろ部屋に戻って休むね」


「はい、おやすみなさい」


こうしてこの日は、無事に初デートを終えることができた。







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