福引き
カラン カラン
買い物途中、街の広場でベルの音が鳴り響く。
「何かイベント事でもやってるのかな?」
「どうやら、福引きをしているみたいですね」
俺の言葉にリビアさんがそう答える。
「先程、買い物をした際に福引き券を何枚か貰いました。5枚で1回出来るそうですよ」
「買い物終わりにでも回してみますか」
先に必要な日用品を買う為に店を巡った。
「本日の買い物は以上になります」
「福引き券はどれくらい貯まりました?」
「合計で3回は回せそうです」
「じゃあ、早速回しに行きましょう」
福引きをやっていた広場に戻る。
「1等は何でしょうか?」
「えーと・・・魔法都市への旅行券?魔法都市って何ですか?」
「コタケ様はご存知では無いですね。魔法都市はその名前の通り都市の至る所が魔法で発展しており、世界一と言われる程の魔法の学舎がある場所なんです」
「そんな所があるんですか。是非とも行ってみたいですね」
「1等はまだ出ていない様ですしチャンスはありますよ」
「うーん、前世でもこの手の福引きは当たった事が無いんですけどね」
福引きはガラガラと回すタイプの物だった。
「あまり気張らずにいきましょう」
列に並び、順番が回ってくる。
「はい、では3回ですね。ゆっくり回して下さい」
1等は玉は金色の様だ。
(いざっ)
ハンドルに手を掛けてクルクルとゆっくりと回すと、
コトンッ
まず初めに出た玉は黒色だった。
「黒色、8等ですね。石鹸が2つになります」
黒色は1番下の8等だ。
「これはこれで助かりますね」
1等では無いが、リビアさんは家事に使えるとそれなりに嬉しそうだった。
「では、2回目どうぞ」
「リビアさん、引いて貰って良いですか?」
「私がですか?」
「このままだと、全部8等になりそうなので」
「まぁ、構いませんが、私としては8等でも嬉しいんですげとね」
と言いながらハンドルに手を掛けゆっくり回すと、出て来た玉は1回目と同じ黒色だった。
「やりました。石鹸です」
「お、おめでとう?」
本来ならハズレの8等でも喜ぶリビアさん。
「お客様、次が最後になります」
「最後はコタケ様がお願いしますね」
「やっぱりそうですよね」
「何等でも気にしないで下さい。あっ、いえやっぱり5等の何でも食べる魔法植物はいりません」
「逆にそっちの方が気になるんですけど・・・」
景品一覧に書かれている青玉5等の魔法植物、どんな形かも分からず地味に気になってしまう。
一呼吸おいてから、目を瞑りハンドルをクルクルと回す。
キィキィと音が数秒鳴り、コトンッと玉が出る音がした。
恐る恐る目を開くと、そこには金色に輝く玉が転がっていた。
カラン カラン カラン
「おめでとうございまーす!1等の魔法都市旅行券でーす!」
スタッフがパチパチと拍手をする。
「やりましたね、コタケ様!」
「本当に当たる事あるんだ・・・」
自分でも驚きを隠せない。
「では、こちらが賞品になります」
1枚のチケットを渡される。
そこに書かれている注意書きを見ると、どうやら魔法都市での高級宿に1泊出来るチケットの様で、そこまで行くには自分達で行かなければいけない様だ。
ただ、宿は貸切状態で我が家の全員で行けそうだった。
「やはり、日にちの指定はあるのでしょうか?」
「チケットの日付的に・・・2週間後ですね。その間に辿り着ける様な距離なんですか?」
「馬車であれば1週間程は掛かるかと」
「普通の市民が当てたら急な旅行になりそうですね」
「そうですね。魔法都市への定期便はありますが往復だけで2週間ですからね」
「我が家はティーにお願いする事になりそうだけど」
「早く帰ってお願いしないといけませんね」
帰る前に、福引きの主催側が宿に泊まる人数を前以て伝えてくれるそうなので、13人で伝えておく。
「ルインとかは含めなくて良いですよね?」
「まぁ、幽霊ですので問題無いかと」
そうして家に帰り、福引きで旅行券を当てた事を伝えると皆んな大喜びし、2週間後の旅行が決定したのだった。
 




