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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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ティーフェン式ダイエット術

「ごちそうさまでした・・・」


「あれ?もう良いんですか?」


いつも通り皆んなで夜ご飯を食べていると、リッヒさんが普段よりも少ない量しか食べていなかったのだ。


「体調が悪いんでしょうか?」


心配してそう聞いたアリーだが、


「い、いえ!大丈夫ですよ・・・」


と笑って何かを誤魔化す。


「何かあればすぐに言ってくださいね?」


「ありがとうございます」


その場ではそれ以上聞く事はしなかったが、翌日、さらに翌日と続けてリッヒさんの食事量は少なかった。

流石に不安が増してきたので、アリーと一緒に本人に聞く事にした。


「リッヒちゃん、今日はしっかりと話して貰いますからね」


「はい・・・」


アリーに余計な心配を掛けさせたく無いと思ったのか、観念して話してくれる事になった。


「その、実は・・・お腹周りが気になっていて」


「えっと、つまりそれは・・・」


「ワタルさん、それ以上は言ったら駄目ですよ」


要するに太ってしまったという事なのだろうが、アリーが人差し指を口にあてそう言う。


「普段から鍛錬等で動いているので問題無いと思っていたのですが、アンさんとリビアさんの料理が美味しくてついつい食べ過ぎてしまっていた様で・・・」


「えぇ、分かりますよ!あの2人の料理はついつい食べ過ぎてしまうんです!」


同じ経験を持つアリーが、ガシッと手を掴んで賛同する。


「ダイエットはしてるんですが、あまり効果が無くて」


「そんなにすぐに出るものでも無いので、ゆっくり構えていた方が良いですよ?」


「そうですよね」


そう話していたら突如、


「話は聞かせて貰ったのじゃ!」


とティーが廊下から飛び出して来た。


「リッヒよ!」


「は、はい!」


「痩せたいか?」


「はい」


「では、妾がダイエットの術を授けよう」


「ほ、本当ですか!?」


「じゃが、厳しいものになるが、お主に耐えられるか?」


「耐えてみせます!」


「うむ、良い返事じゃ。では、明日の朝に玄関に集まる様に」


「はい!」


〜〜〜〜〜〜


翌朝。


アリーから後学の為にと、ティーのダイエット術を見て来て欲しいと言われて、一緒に付いて行く事になった。


「よし!では、早速向かうのじゃ」


ティーの背中に乗り、2時間。

到着したのは、木々の生い茂る密林だった。


「えっと、ここで何をするのでしょうか?」


「妾達が、この森の奥で待機しておるから、走ってそこまでやって来るんじゃ」


「そう言われましても、この場所の地形を知らないのですが?」


「妾が定期的に魔法を打ち上げるから、空を見るなり音を聞くなりして、妾達の方向を割り出すんじゃ」


「それ難しすぎない?」


「リッヒなら出来るのじゃ。そう言うわけでスタートじゃ!」


俺はティーに森の奥へと連れて行かれる。

スタート地点からは30km位は離れており、木の密集具合が他よりも少ない見晴らしの良い場所だ。


「本当に大丈夫なの?」


「大丈夫じゃから、信じて待っておれ」


そう言うティーを信じて待つ事にする。

ティーは15分おきに、大きな火の魔法を上空で炸裂させる。

見た目も音もかなり大きかったので、あの木々が密集した場所でもある程度は分かりそうだが、果たして・・・


そして、それから2時間が経過した。

なかなか来ないリッヒさんを心配していると、近くの草むらからガサガサと音が鳴り警戒する。


すると、そこから出てきたのは頭と服に緑の葉っぱを付け、ハァハァと息を切らしたリッヒさんだった。


「つ、疲れました」


「お疲れ様じゃ」


「大丈夫でしたか?」


「えぇ、何とか。暗い森の中で飛行するコウモリの魔物に追われましたが、木の上を移動する事で逃げる事が出来ました」


どうやらそれが葉っぱの付いている原因の様だ。


「慣れない場所でしたが、元々森の中に住んでいましたし、何とかなりました」


「うむ、ならば次に行っても良さそうじゃな」


「まだ、あるんだ・・・」


「何を言っとる。次が本番じゃ」


などと言うティーに連れられて来た場所は、今も活動を続けている火山の火口だ。


「あつっ!」


周辺のの温度は高く、ティーが魔法で軽減してくれているとはいえ、何もしていなくても汗が出てくる。


「では、この火口を10周してくるんじゃ」


1周で10kmはありそうな火口を走れと言う。


「ここをですか・・・」


「うむ、頑張るんじゃぞ」


やると言った手前、辞めるとは言えないリッヒさんは走り始める。


「逆に体に悪そう・・・」


「何を言っておる、これくらい出来んと脂肪は燃やせんのじゃ」


ここまで暑い場所で運動となると、ダイエットどころでは無さそうだ。


リッヒさんが走り始めて5周に到達した所で、


「よーし!残りの5周は魔法を使ってスピードアップじゃ」


とティーが言った。

リッヒさんは走りながら頷き、足に風魔法を纏わせて速度を上げる。


そしてスタートから1時間程が経過し、無事に10周を走り終えた。


「ハァハァ、干からびそうです」


「よくぞ耐え抜いた。明日から毎日やって行くから覚悟しておくように」


「はい・・・」


少々心配になるが、痩せたい本人は翌日以降もティー連れられてダイエットへと向かう。


それから1週間後。


「無事に元の体重に戻りました!」


と俺とアリーに報告して来た。


「これからは運動の量を、もう少し増やしていこうと思います」


「それは良かったです。ところで、ワタルさんにもティーフェン様のダイエット術を見て来て貰っていましたが、どんな物だったんですか?私も、もしもの為に覚えておきたいです!」


「あー・・・えっとね」


とダイエット初日の事を伝えると、


「それは・・・死んでしまいますね」


「だよね」


真似できないと思ったアリーは、地道にコツコツとやるしか無さそうですねと言うのだった。



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