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スタンピード?

買い物をした翌朝、俺は街中に鳴り響く鐘の音で目を覚ました。

何事かと思い急いで着替えて宿の1階へと降りていった。

そこにはすでにエレオノーラさんが待機していた。


「おはようございます、エレオノーラさん」


「おはよう、コタケ殿」


「この鐘の音は一体なんなんですか?」


「聞いたところによると、街の外に魔物の群れが確認されたらしい・・・」


「大丈夫なんですか?」


「詳しいことは私もまだ聞いていないからなんとも言えないな、ひとまずこれから冒険者ギルドへと向かうからコタケ殿も準備をしてくれ」


そう話している内にアリー達も起きてきた。


「皆さん、おはようございます。この鐘の音は何か緊急事態が起きたのですか?」


「はい、お嬢様。現在この街の外に魔物の群れが確認されました。ですので、私とコタケ殿で冒険者ギルドで情報を確認して参りますので、こちらの宿屋で待機して頂いてもよろしいですか?」


「分かりました。お二人ともお気をつけて」



こうして、俺は冒険者ギルドへと急いで向かった。

中に入ると、初めて来た時よりも多くの冒険者が集まっていた。

とりあえず、状況を確認する為にアリエさんの所へと向かった。


「アリエさん、おはようございます」


「あら、コタケ様とエレオノーラ様、本日は如何なされましたか?」


「街の外で魔物の群れが確認されたと聞いたんだが、どれくらいの規模かを確認しにきた」


「現在確認されているのは、500体程の魔物が街に向かってきているとのことです」


(500体も!)


「予想よりも少ないな?」


「これで少ないんですか?」


「あぁ、スタンピードだと思って構えていたが、その一歩手前と言った所だな」


「ちなみに、そのスタンピードだった場合はどれくらいの魔物がくるんですか?」


「大体1000〜1500体くらいだな、過去には2000体以上のスタンピードも起きたと聞いている」


「最低でも今回の2倍ですか・・・これは良く起こることなんですか?」


「いや滅多には起こらない、大抵の場合は弱い魔物の棲家に強い魔物がやって来て、怯えて逃げ出す為に起こるのだが、この街の付近にはそこまで強い魔物は生息していないはずなんだが・・・?」


「私達もそう思い、先遣隊を派遣させた所、500体の内300体程はこの辺りに生息する魔物達だったのですが、残りの200体は魔の森に生息していると思われる魔物達だったそうです」


「魔の森の魔物達は基本的に森の外に出ることは無い、だから魔の森の深くない所に、強力な魔物が現れ、それに怯え森からこちらまで逃げてきた事で、この辺りに住む魔物達まで怯えてしまった訳か・・・」


「恐らく、そういう事になると思います。現在冒険者ギルドは緊急クエストを発令し魔物達の討伐隊を集めました。約200人程の冒険者が集まり討伐に向け準備をしている最中になります。ちなみ、今回のクエストはこの街の領主様より、参加した者達に金貨1枚が報酬として渡されます」


「それって、かなりの金額になるんですか?」


「冒険者で多いとされるランクはCランクとBランクになるんですが、そのランク帯での討伐クエストの報酬額はおおよそ銀貨3枚〜5枚とされています。ちなみに冒険者ではない一般市民の月の賃金は大体銀貨1枚ほどになります。」


(普段は3万円〜5万円の報酬が100万円になるのか、かなり破格だな)


「でも、参加者全員だと、低いランクの人達が参加してしまうと、被害が出てしまうんじゃ?」


「はい、ですので今回の200人はこちらで実力が見合っているか選定し集めた者達ですので被害は最小限に抑えられると思います」


「それだと大丈夫そうですね」


それを聞いて安堵したが、エレオノーラさんは、


「だが、その者達でも魔の森の魔物の相手は厳しいのではないのか?」


「エレオノーラ様の仰る通りで、魔の森の魔物はAランク以上の者が倒せるとされています。今回の討伐隊の中にはAランクは10名程となります」


「それだと、かなり厳しいな・・・」


「ですので、私共としては是非エレオノーラ様のお力を借りたいのですが・・・」


何故ここでエレオノーラさんにお願いするのだろうと俺は不思議に思った。


「私は今は、アリシア様の騎士だ。まずは主君の身の安全を確保しなければならない」


「分かりました・・・もしお力を貸してくださるのであれば、街の門を出てすぐの平原までお越しください。恐らくそちらが戦場になると思いますので」


そして俺たちは冒険者ギルドを後にし宿屋へ戻った。


「2人ともお帰りなさい」


アリーが出迎えてくれた。


「それで状況はどうでしたか?」


「あまり、よろしくは無いかと。魔物は500体程で魔の森の魔物もいるみたいですが、それらを倒し切れたとしても、それなりの被害は出るはずです」


「なるほど・・・それでエレオノーラも当然討伐に参加されるのでしょう?」


「いえ、私はお嬢様の命が最優先となりますので、討伐には参加しません」


真剣な表情でエレオノーラさんがそう答えて、アリーは少し険しい表情になった。


「はぁ、エレオノーラが私の事をいつも最優先に考えて下さっているのはとても嬉しいですし、私も貴方の事がとても大切です。ですが、この街には今後も来ることになるので、何かあってはこちらも困りますし、貴方も昔はこの街でお世話になっているでしょう。それに、今はワタルさんやスライムさん達といった頼れる仲間も増えたのです」


「お嬢様・・・」


「それに、貴方は元冒険者でSランクの1人でしょう?」


(ん?今Sランクって言った?)


「ですので、これは私からのお願いです。エレオノーラ、冒険者として討伐隊に参加しこの街を守りなさい」


「分かりました。このエレオノーラ、街を守りお嬢様に危険が及ばないように致します!」


「ふふ、よろしい」


2人とも笑顔になった。


「では、ワタルさんもエレオノーラと一緒に行ってもらいたいのですが宜しいですか?」


「それは、勿論構わないよ。こっちはクロを連れて行くから残りのスライム達にアリーを守って貰うようにお願いしておくよ」


「ありがとうございます!とても頼もしいです」


「ところで一個聞きたいんだけど、さっきエレオノーラさんの事をSランクの冒険者って言ってなかった?」


「えぇ、そうですよ。エレオノーラはSランクの元冒険者で、当時は他のSランク冒険者たちとパーティーを組んでいて国内外でもかなり有名でしたよ」


「そうだったんですか・・・」


身近な人がSランクの冒険者だと判明し、かなり驚いた。


(だから、アリエさんもエレオノーラさんにお願いしていたのか・・・もしかして稽古の時ってかなり手加減して貰ってたのかな)


「それじゃあコタケ殿、準備してすぐに向かうぞ」


こうして、エレオノーラさんとクロと俺の3人で討伐隊の所へ急いで向かって行った。







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