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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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砂漠調査

ドドドドドッ


ドドドドドッ


俺とリッヒさんとレンダさんの3人は、灼熱の陽射しが降り注ぐ辺り一面砂の海を大量の魔物に追われながら走っていた。


発端はレンダさんが、冒険者ギルドにて砂漠地帯の調査という依頼を受けた事に始まる。


依頼は砂漠の調査という抽象的な内容で、特定の物を調べろとは書かれていなかったのだが、何故か報酬が破格だったのだ。


エレオノーラさんによると、この依頼は全てのギルドに貼られている依頼らしく有名なのだが、報酬は調査の結果によって増減するらしく、誰1人として完璧にこの依頼を達成した者はいないと言う。


そんな依頼だったが、場所は以前にフィーアさんが暇つぶしと称して連れて行ってくれたフェニックスが居た砂漠だったので、転移で向かう事が出来た。


そうして、2人だけでは危ないという事でリッヒさんも一緒に来る事になり、砂漠を歩いていたのだが魔物の大移動に遭遇して追われる羽目になったのだ。


「流石にこのままでは追いつかれます!」


慣れない砂の上で思う様に走れずにリッヒさんがそう言う。

後ろを見れば、サーカスにいたトカゲの魔物が丸まって転がって来ている。


辺りに隠れられる様な場所は無く、魔物の大群もざっと100匹以上は見えるので、1度転移で家に帰ろうと思ったその時、フワッと下に落ちる感覚と共に砂の坂を滑り落ちて行く。


いきなりの出来事に声も上がらず、数秒間滑り落ちて止まる。

上を見上げると斜めの細い穴が出来ており、10m程落ちて来た様だ。


魔物達はその穴を飛び越えて、俺達の事を忘れて転がり去って行った。


「とんだ災難だったな」


「結果的に助かったので良かったですけどね」


とりあえず、上に戻って調査を再開しようとすると、


「ちょっと、待って下さい」


リッヒさんが制止する。


「どうかしたのか?」


「あれは何でしょうか?」


リッヒさんが指差す方を見ると、砂岩を削って出来た人1人分の謎の入口があった。


「何だろう?」


中は暗くて良く見えないが、奥には続いてそうだ。


「もしや、あれが依頼の内容なのか?」


レンダさんは思いついた様にそう言う。


「削られた部分が人工的になっているので、可能性はありそうですが・・・」


「とりあえず入ってみる?」


俺はそう言う。

2人も頷き、危険を感じたらすぐに撤退する事を条件に中へと入って行く。


ボッ ボッ ボッ ボッ


中に入った瞬間、壁にかけられていた松明に自然と火が灯されていく。


「これは、用心する必要がありそうですね」


人工物だと確定して、より一層気を引き締めて行く。


中も砂岩を削って作られている様で、壁には様々な模様が彫られている。


しばらく、真っ直ぐに続く一本道を歩いていると、大きな部屋に到着する。

奥には次の道へと続く入口がある。

しかし、その間は大きな穴が開いており、不揃いに作られた人1人が乗れるタイルを飛び乗って行かなければならなかった。


下を覗けば、高さは20m程度なものの黒いサソリや蛇が蠢いていた。


「私はこれくらいなら大丈夫だ」


「私も大丈夫ですが・・・」


タイルの間は1mだったり5mだったりとバラバラだが、2人は問題無いと言う。


「俺は無理そう」


「では、私が抱えて行きましょう」


リッヒさんは俺をお姫様抱っこし、風魔法を足に纏わせて軽々しく反対側に到着する。


(なんだか、お姫様抱っこに慣れちゃって何とも思わなくなってきたな・・・)


なんて事を考えていると、レンダさんは自身の脚力のみで飛び越えて渡り切った。


「さっ、次に行こう」


続く入口を抜けると、再び真っ直ぐな一本道となる。

特にトラップも無く順調に進んでいると、


「何か音がしなかったか?」


レンダさんがそう言い立ち止まる。

耳を澄ませてみると、遠くの方からゴロゴロと謎の音がしている。


「近づいて来ている様な気がしますね?」


また、あのトカゲの魔物が回りながら近付いて来ているのかと思っていた時、歩いて来た後ろの道の天井が大きな音を立てて崩れ落ちて来た。


「あの部分だけ脆かったのかな?」


と俺がそんな事を言っていたら、ゴロゴロという音が更に近づいて来て・・・


ドシン


と崩れた天井から大きな丸い石が落ちてきた。


ゴロッ、ゴロゴロゴロ


その石は再び動き、こちらに向かって転がり始めた。


「走って!」


リッヒさんの声と同時に走り出す。

石と壁の隙間はごく僅かで、抜ける事も出来ない。


距離は開いているものの、速度も上がりいずれは追いつかれてしまう。

しかしそんな中で、


「行き止まりです!」


リッヒさんが言う様に、先は壁になり脇道も無さそうだった。

転移をしようにも途中で追いついてしまいそうで、他に方法が無いかと考えていると、隣で走っていたレンダさんが急に立ち止まり後ろを振り向いた。


「レンダさん?」


レンダさんは息を吸い込み、石が側までやって来た瞬間、


「ハッ!」


と拳を突き出し、石は止まりヒビが入っていくと、最後には粉々に砕け散ったのだった。


「ふぅ、やはりこのオリハルコンの籠手は良いな」


「流石ですね・・・」


「うん、そうだね・・・」


レンダさんの力に改めて驚くのだった。


その後、行き止まりの壁まで行くと近くの横の壁に隠されたスイッチがあり、それを押す事で先への道が開くのだった。


その先も、床に隠されたスイッチを押す事で槍が天井から降り注ぐ部屋や、正しい床を選ばなければ崩れて落ちていく部屋など、様々なトラップが仕掛けられていたが何とか通り抜けて、1番奥であろう大きな扉の前にやって来た。


押しても開かず、レンダさんが扉を壊そうかと提案したが近くにボタンがあり、それを押すと扉が開いた。


中は通って来た道や部屋よりも薄暗く、真ん中には棺の様な物が置かれていた。


「棺・・・と言う事は、ここはお墓なのでしょうか?」


「こんなにトラップだらけの場所がか?」


レンダさんの言う事も尤もだが、棺がある以上はお墓なのだろう。


「流石に開けるのはバチ当たりだよね」


「流石に憚られますね」


「なら、他に目ぼしい物も無さそうだし帰るか」


と部屋を引き返して戻ろうとした瞬間、


ギィ


と背を向けた棺が開く音がして振り返る。

他には誰もいない筈なのに、閉じていた棺が開いている。


恐る恐る近付き、3人同時に棺の中を見てみると・・・


そこには何も無く空っぽだった。


「何も無いな?」


「すでに持ち去られた後なのでしょうか?」


「でも、何で勝手に・・・」


そんな事を話していると、


「そう言う事も、あるある!」


全く知らない人の声が背後で聞こえたのだった。


俺達はゴクリと唾を飲み込み、バッと後ろを振り向いた。


そして、そこに居たのは青い瞳だけが見えた、白い包帯を全身にグルグルと巻いたミイラだった・・・

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