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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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サーカス

「いきたい、いきたい!」


と言うベルの声が家の中に響く。

ベルが何処にそんなに行きたがっているかというと、ラーブルクに近々やって来るサーカス団のショーだった。


「俺もこっちの世界のサーカスって、どんな感じか気になるし行ってみたいな」


前世でもサーカスのショーは迫力満点で魔法でも使っているのかと言いたくなるほどだったので、魔法が存在するこの世界ではどうなるか気になる所であった。


「なら、テンメルスの奴に人数分のチケットを頼んでおくのじゃ」


ティーはそう言うのだった。


〜〜〜〜〜〜


サーカス当日。

ショーは夜からという事で開始の1時間前に向かうと、街のはずれの方に大きな赤色のテントが立っており、沢山の人が列をなして入場を待っている。


「妾達はあっちじゃ」


ティーが人が並んでいない方の入口を指差す。

テンメルスさんが気を遣ってくれて、一般用とは別の席を取ってくれたのだ。


入口を通り席に向かうと、テンメルスさん一家が座っていた。


「コタケ殿、こちらです!」


「こんばんは。今日は席を取って貰ってありがとうございます」


「いえいえ、これくらいお安い御用です」


「ものは相談なんですが、クロ達も呼んでも大丈夫ですか?」


一般の席よりも高い位置にあり下からは見えないし、周りにはテンメルス一家しかいないので、クロ達も呼べると思ったのだ。


「もちろん構いませんよ」


了承も得たので、クロ達とドラちゃんを呼ぶ。


それからしばらく待っていると、テント内が暗くなり真ん中にある円型のステージに明かりが集まる。


「ご来場の皆様、今夜はストラード・サーカス団のショーに来て頂きありがとうございます。心ゆくまでショーをご堪能下さいませ」


団長らしきシルクハットを被った男性が挨拶をすると、バックから炎が吹き出して団員達が登場した。


「まずは、超危険な綱渡り!一本の細いロープを渡り切る団員の雄姿をご覧ください!」


明かりが天井に向けられると、テントの端から端まで繋がった1本の細いロープの上に男性が1人、命綱も付けずに立っていた。


男性はバランスを取る為の棒すら持たずに歩き出して行く。

しばらくして、ロープの中央に到着するとその場で止まり、いきなりピョンピョンとジャンプを始めるのだった。


おぉ、と観客もどよめく。


最初は低かったジャンプも勢いが増して高くなり、ハラハラドキドキしていると・・・


男性の足がロープを通り過ぎてしまったのだ。


「「あぁ!!」」


これに観客全員が声をあげる。


誰もが終わった思った瞬間、男性は手でロープを掴み鉄棒の様にクルクルと回り、勢いよく飛び上がって元通りロープの上に立つのだった。


そして、無事に端まで渡り切って、大きな拍手が送られる。


「さて、続いてご覧頂くのは火の輪をくぐる猛獣達です」


前世でもあった、ライオン達がやっていたものだろうかと思っていると、ステージに1つの火の輪が用意される。


その輪を見ていると、何故かクルクルと回っている様に見える。

目を凝らしてみると、輪の正体は炎を纏った蛇だったのだ。


「あれは、砂漠地帯に生息している魔物だな」


エレオノーラさんに聞くとそう言うのだった。

やはり、異世界なだけあって普通の生物は使わないようだ。


肝心の輪をくぐる生物が来ていないと思ったら、皮膚が岩の様にゴツゴツとした見た目の体長2m前後のトカゲが現れた。

この生物も魔物だと言う。


トカゲの魔物は走り出すと、そのままジャンプ台に乗り輪を飛び越えると思ったら、クルッと丸まりゴロゴロと回りながら、蛇の輪を飛び越えるのだった。


パチパチと観客から拍手が送られる。


だが、トカゲの魔物は止まらずにグルグルとステージを回り続けている。

その隙に団員が輪を追加していき、5個の火の輪が連なった。


そして、勢いそのままに5個の輪も容易く飛び越え、さっきよりも大きな拍手が送られた。


「普通の魔物って、あんなに言う事聞いてくれるんですかね?」


「いや簡単にはいかないさ。根気強く調教をしても言う事を聞かない魔物もいるからな。苦労しているだろう」


サーカス団の努力が垣間見える。


その後もジャグリングや空中ブランコをしたり、ピエロなんかも出てきたりした。


「さて、本日のショーも次でラストとなりました。最後にご覧頂くのは団員達の華麗なる大変身です!」


10名の団員が現れると、それぞれの足元に魔法陣が展開される。

すると、団員達の姿が額の真ん中にツノが生えたライオンの魔物と我が家の周辺に生息しているオオカミの魔物に変化した。


5対5に分かれて、互いに噛み付いたりと迫力ある闘いを繰り広げている。


ティーによれば、魔法で観客に幻影を見せており噛み付いたりして見えるのは、裏で殴る蹴るの動作をする事で幻影も合わせて動いてそうだ。

実際にはそんな事をしている団員達を想像したら少々シュールだが、魔物達が互いに戦う姿は滅多に見れないので、面白いショーだった。


観客はそれぞれ好きな方を応援していて、最終的にはライオンの魔物達の勝利となった。


「皆様、名残惜しいですが本日はここまで・・・また、皆様にお会いできる日を楽しみにしております!」


団長の言葉に、会場全体が拍手をする。


「皆様、ごきげんよう!」


団長は懐から小さな白い玉を取り出し、それを地面に叩きつけると煙幕が広がり、視界が開けた頃には姿を消し、最後まで観客を楽しませるのだった。

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