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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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「「鬼は外〜、福は内〜」」


前世での行事の1つ節分の真似をして、皆んなで豆まきをしている。


「これで、厄を祓った事になるんだ」


「では、食事に移りましょう。本日は、コタケ様のご要望に沿って作った物です」


アンさんがそう言って持って来たのは、色んな具材の入った長いパンだった。

米はあるが海苔や中の具材を調達出来ず、フランスパンの様な長いパンで代替する事にしたのだ。


「本当なら、その年その年で決まった方角を向いて食べるんだけど、分からないから今回はそのまま食べよっか」


「一言も喋らず食べないといけないんですよね?」


アリーが言う。


「そうそう。喋る事で福が口から逃げてくだとか、願い事に集中する為とか説があるみたい」


「ベル、今日は喋らず食べないとだよ」


「ママも喋ったらダメだよ」


普段よく喋っている2人がお互いに注意し合う。


「それじゃあ、食べよっか」


恵方巻きを模したパンを黙々と食べていく。

すると途中で、


「ンッ!?ゴホッ、ゴホッ!」


パンを詰まらせたオルフェさんが胸をドンドンと叩き、水をくれとジェスチャーをする。

アリーが急いで水を渡したが、そんな状況でも喋らずに身振り手振りで伝えるオルフェさんの動きを見て、数人が笑いをこぼした。


その後は何事もなく、恵方巻きモドキを食べ終える。


「ふぅ〜、危なかったー」


「お主、急に笑わせるでない。吹きそうになっだではないか」


「変な所に入っちゃってさ」


「あれはセーフだったの?」


オルフェさんの咳き込みは大丈夫なのかとシエルが聞く。


「えー!あれくらいセーフだよね?ね?」


「まぁ・・・いいんじゃない」


「いえ〜い」


「皆さんの願いが叶えば良いですね」


リッヒさんがそう呟き、皆んな頷くのだった。

その後は、残っていた豆を食べていたのだが、


「コタケ殿の世界の鬼とはどんな存在なのだ?」


とエレオノーラさんが聞いてきた。


「実際にはいないとされてる空想上の生き物かな?見た目は丸々とした大きな体におっかない顔をしてますよ」


「なるほど、こっちの鬼とは違うのだな」


「こっちの世界にも鬼が?」


「大鬼と呼ばれている。正式な名はオーガだ」


「そういう魔物がいるんですね」


「いや、魔物ではなくオーガという種族だ。立ち位置的には魔族に近いが、人間と協力関係にある」


「私も何回か見た事あるよ〜。赤い皮膚をした子達でしょ?」


「オルフェの言う通り、特徴的な赤い皮膚に青みがかった色んな紋様が入っているんだ」


「へぇ〜。1度見てみたいですね」


「まぁ、住んでいる所がちょっと遠い山岳地帯な上に、里から出てくる事は滅多に無いから、会える確率は低いだろうな」


とその日はそんな事を言っていたのだが・・・




数日後。


「コタケ殿、朗報だ」


「?」


「オーガに会えるぞ」


とエレオノーラさんが言ってくるのだった。


〜〜〜〜〜〜


「ここから北西に向かって下さい」


「うむ、地図で見た限り1時間で着きそうじゃな」


オーガの里があるいという山岳地帯に向けて、俺とエレオノーラさんとメアリーさんは、ティーに乗ってラーブルクを出発していた。


「オーガの里ってどんな所なんですか?」


道中、メアリーさんがそう聞いた。


「岩肌が露出した険しい山にあるんだ」


「なんでそんな所に?」


「元々、そこに住んでいたというのもあるんだが、そこでしか採れない希少な鉱石の採掘を生業としているんだ」


「採掘が生業って言うことは、やっぱり屈強な見た目をしてるんですかね?」


前世の鬼を思い出してそう聞く。


「身長は2m超えで、筋骨隆々な見た目をしている」


「そんな種族が何で魔物の討伐依頼なんかを?」


エレオノーラさんによれば、冒険者ギルドからオーガの里での討伐依頼を受けたそうだが、話を聞く限り必要なさそうに思えてくる。


「まぁ、行けば分かるさ・・・」


一言そう言うのだった。


1時間後。


「見えてきたぞ。あそこがオーガの住む山だ」


草や木が何も生えていない、灰色の大きな山が見えてきた。

ティーが岩壁に沿って上昇すると開けた場所が現れ、そこに赤い肌をした人々が歩いていた。


立ち並んでいる家は、前世の遊牧民が暮らしていた移動式住居に似ている。


あれがオーガかと眺めていると、こちらを見た瞬間に驚いた表情をして慌てて家の中へと入って行った。


「逃げて行ったぞ?」


「とりあえず、里の長の家に向かいましょう」


ティーから降りて里の中を歩いて行くが、扉の隙間からオーガ達がチラチラとこちらを覗いている。


「少し怯えている様な気がしますね?」


オーガ達の様子を見たメアリーさんはそう言う。


「まぁ、そうだな」


エレオノーラさんが言い淀んでいる内に、他よりも一回り大きな家が見えて来た。


「あそこが長の家だそうだ。会えば、オーガどう言う種族か何となく分かるだろう」


そう言って扉をノックすると、ブルブルと体を震わせた、大きくてガタイの良い白髪の男のオーガが現れた。

赤い肌とそこに刻まれている紋様以外は、人間とほとんど変わらない見た目をしている。


「ど、ど、どうぞ。中にお入り下さい」


そんな噛み噛みな案内に従い中へと入る。


「ぼ、冒険者ギルドから派遣された人達でよろしいですか?」


「あぁ、そうだ」


「た、助かります・・・ば、場所はこの家の裏手の階段を上って、5分程真っ直ぐ歩いた所にある坑道です」


「魔物の姿を見た者はいるか?」


「い、いえ。すばしっこくて見た者はいないです」


「そうか。では討伐出来次第、また報告に来るとしよう」


「は、はいお願いします」


エレオノーラさんに続いて長の家を後にし、説明された通り上り坑道に向かって歩く。


「とまぁ、あんな感じだ」


「なんというか終始、オドオドしてて俺の印象とは違ってました」


「実はオーガという種族は臆病で人見知りな性格でな、龍王様の姿に驚いてあんな感じの対応をされたんだ」


「見た目からは全然想像できない・・・」


「たがら良く勘違いされるんだ」


「もしや、あやつら戦闘能力も低いのではないじゃろうな?」


「その通りです。あの肉体ですので戦えれば強そうですが、戦い自体が苦手なんです」


「だから、冒険者ギルドに依頼がかかっていたのですね」


「そう言う事だ。ちなみに、あの体躯ながら手先が器用でな、採掘した鉱石の加工なんかも行っているんだ」


「想像と違って驚きましたよ」


「私も冒険者時代に1度だけ会った事があるのだが、その時は驚いたよ。ただ慣れてくれば、緊張せずに普通に話してくれるらしい」


「今回限りだと、それは難しそうじゃな」


そんな事を話していたら、坑道の入り口に到着した。


「さて、ひとまず坑道の魔物とやらを討伐するとしよう」


俺達4人は中へと入って行くのだった・・・

次回に続きます!

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