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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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クロの気持ち

ある日、庭を散歩しているとクロがピョンピョン跳ねながら森の中へ入って行くのが見えた。

他のスライム達は、日向ぼっこをしながら寝ている。


「何しに行くんだろ?」


と気になった俺は後をコッソリと追ってみる事にした。


まず、クロが立ち寄ったのは配下のスライム達が集まっている場所だ。

プライマルスライムと言うスライムの祖であるクロは、他のスライムを仲間にできて、家の周りを守る為に数を増やしているのだ。


「それにしても、前に見た時よりも増えている様な・・・」


連絡要員だと言う動きの素早い銀色のスライムが、以前は1匹だったのに今では5匹くらいになっていた。

クロが全員に何かを指示しているようで、それが終わると他のスライム達は去って行った。


全員が去った後、クロは何かを考える様にその場でピョンピョンと何度か跳ねた後、再び何処かへ移動する。


そうして次にやって来たのは、ホープの作ったダンジョンだった。


「ここに用事なんて珍しい。ホープに呼ばれたのかな?」


クロの後に続き中に入ると、ダンジョンの魔物達が倒された跡があった。

ホープに会うにしても、直接行ける別ルートを教えて貰っているので、わざわざダンジョン内を行かなくても良いはずなのだが・・・

そんな事を考えていると、


「ワッ!!」


真後ろからいきなり大きな声がした。

俺は体をビクッと震わせて後ろを振り向くと、そこには腹を抱えて笑っているホープが居た。


「あははは!驚きすぎー!」


「心臓止まるかと思った・・・普通に声掛けてよ」


「アンタの無防備な姿が見えたから驚かしてやろうと思ったのよ」


「ホープはこんな上の階で何してたの?」


「アンタの所のスライムを見てたのよ」


「そうだ、クロがここに来てるのってホープに用事があるからじゃないの?」


「違うわよ。ここで訓練してるのよ」


「訓練?」


「そう、戦闘訓練よ。ここなら確実に魔物が居るから使わせろって感じで突撃して来て、しばらく前から毎日来てるのよ」


「知らなかった」


「毎日来られて、魔物を倒されるこっちの身にもなって欲しいわ」


「でも、何で皆んなに内緒で来てるんだろ?」


「そんなの知らないわよ」


「ホープには少し迷惑だろうけど、クロの為にもお願い」


「え〜〜!」


「何かで埋め合わせはするからさ」


「絶対よ!」


その後も魔物を倒して行く、クロの後を追って行くのだった。


ダンジョンに入ってから1時間くらいで、外へと戻って来た。

そろそろ帰るのかなと思えば、家とは別の方向に進んで行く。


そして、やって来たのはエムネスさんの所だった。


「なんだ?また来たのか」


エムネスさんの言い方からして、ホープのダンジョンの様に何度も訪れているのだろう。

そんな風に考えていると、クロとエムネスさんはいきなり魔法で戦い始めた。


クロは得意の重力魔法で、付近の石や岩を持ち上げて発射する。

それに対しエムネスさんは、風魔法で跳ね返しつつ追加で風の刃を飛ばし追い討ちをかける。

クロはピョンピョンと躱して、再び攻撃に転じる。


そんな攻防を続けて20分が経った所で、エムネスさんが休憩にしようと言い、クロは止まった。

休憩に入る瞬間、エムネスさんが俺の隠れていた草むらをチラッと見てきて目が合い、すぐに身を隠す。


(バレてる・・・?)


息を潜めてジッとしていると、エムネスさんがクロに話し始めた。


「お前はどうしてコタケ ワタルと一緒にいるのだ?」


少し間が空いてから、


「ふむ、助けて貰った恩があると」


そんな声が聞こえる。


「しかし、それはもう返しきったのでは無いか?」


確かに弱っている所を助けて仲間になったクロだが、その後お世話になっているのはコッチの方で、恩は返して貰っている。


「なになに?恩を返しきっていたとしても、あの家が自分の居場所だと・・・やはり、面白いスライムだな」


クロがそう思っていてくれて、俺は嬉しくなる。


「では、私と戦いに来ているのは何故だ?」


少し間を空けて、


「周りに強い奴らが居るから置いていかれたくないと」


それで、ホープのダンジョンでも訓練していたのか。


「何?弱かったら捨てられる?あの男が、そんな事をするとは考えられないが」


エムネスさんの言う通り、クロとお別れする事なんて絶対にない。


「まぁ、そんな心配は無駄だろうが、強くなったお前をアイツらに見せる事だな」


エムネスさんがそう励ますと、


「ふっ、どうやらやる気が戻って来た様だな。では、続きと行くとしよう!」


と再び戦闘音が聞こえ始め、俺は静かにその場を去った。


〜〜〜〜〜〜


夕方。

庭で畑で使う道具の作成していると、クロが森からピョンピョンと帰って来た。


「おかえり」


ただいまと飛び跳ねる。


「今日の夜は、いつもよりも良いお肉を用意してるよ」


俺がそう言うと、何かお祝いの日だったっけと不思議そうな顔をする。


「お祝いじゃないけど、たまにはね」


と少しはぐらかして言うと、まぁいっかと言う様な顔をして、いつもよりも美味しい肉を食べられる事に嬉しそうにする。


「クロ、いつもありがとね」


今日の事を思い出し日頃の感謝を述べると、クロは何処か照れた様子で嬉しそうにするのだった。

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