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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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プレゼント

とある昼下がり。


「こんにちはー!」


玄関の前で誰かが元気よく挨拶をした。

アリーと他数名はティーに乗って買い物に行っているが、帰って来ても"こんにちは"なんて挨拶はしないだろう。

あとはコリンさんくらいだろうかと考えながら扉を開くと、そこに居たのはメアさんだった。


「コタケさん、こんにちは!」


「こんにちは、エレオノーラさんなら鍛錬の汗を流しにお風呂に行って・・・」


と言い掛けた時、


「ん?何故メアがここにいるんだ?」


丁度、エレオノーラさんがお風呂から上がってきた様で、メアさんは姿を見た瞬間に目にも止まらぬ速さで抱きつきに行った。


「エレオノーラさん!」


「ちょっ!暑苦しいから離れろ!」


「久々ですので、エレオノーラさん成分を補給させて下さい!」


「なんだそれは!?」


その後、10分間は離れなかったメアさんを待つ事となった。



「ふぅ〜、お待たせしました」


満たされた表情のメアさんと、疲れた表情のエレオノーラさんと共に家の中へと戻り、椅子に腰を掛ける。


「それで、メアは何をしに来たんだ?今日は来る予定は無かっただろう?」


「用事を済ませた帰り道に近くを通ったので、寄ろうかなと思って来ました」


「メアが強い事は重々承知だが、この森も何があるか分からないんだ。次からは私に連絡してから来てくれ、そうしたら森の入り口で迎えに行くから」


「はい!」


流石エレオノーラさん、言動がカッコイイ。

これに対して、メアさんはとても嬉しそうな表情をする。


「ところで、メアさんの用事って言うのは?」


「姉の結婚式に出ていたんですよ」


「そうだったのか!それはめでたいな!」


「ありがとうございます」


「お姉さんと言うと、以前会ったシルアさんですか?」


「いえ、今回結婚したのは第2王女なんです」


以前、獣人の国に行った際に会った、メアさんと血の繋がった姉で第1王女である彼女の事かと思ったのだが違った様だ。


「やっぱり相手もそれなりの位の者なのか?」


「昔から我が国と交友関係のある人間の国の第1王子と結婚したんです」


「やっぱり王族同士の結婚なんですね。それに、獣人同士では無いって言うのも意外です」


「獣人の中でも、人間と結婚をする者はそれなりに居ますね。姉はそう言った事も気にしない性格で、本当はそこまで位の高い者と結婚するつもりは無かった様なんですが、お互い気が合ったみたいなんです」


「政略では無く恋愛で結婚とは珍しいな」


「そこで2人に結婚祝いとして何か贈ろうかなと思ったのですが、なにぶん初めての事で何を贈れば良いのか分からなくて・・・」


「そうだな、私もお嬢様の結婚式が初めてだったからな・・・ん?そう言えば私も何も贈って無いが、贈るべきだっただろうか?」


「アリーは気にしてないと思いますよ」


「そうか・・・でも、私が落ち着かんから何か贈るとしよう!」


「それで、コタケさんは何か経験ありますか?」


「俺も全く無いから分からないですね」


全く経験の無い3人で悩んでいると、


「キャッ!」


とメアさんが急に悲鳴を上げた。


「どうした?」


「誰かが私の尻尾を・・・」


後ろを覗いてみると、シェリーがメアさんの尻尾を触っていた。


「シェリー、何してるの?」


「ご、ごめんなさい。動くフワフワな尻尾が見えて気持ち良さそうだなと・・・」


そう言いながらも触る手は止めない。


「あ、あのまずは尻尾を触るのを止めて貰えないでしょうか?」


「ごめんなさい!」


やっと手を離す。


「ふぅ、ビックリしました。それにしても、初めてお会いする方ですが、もしやこの方がペガサスだと言う・・・?」


「そう言えば、メアは会うのは初めてだったな。手紙でも書いた通り、ここで暮らしているペガサスのシェリーだ」


「人の姿だと全然分かりませんね」


「なんなら披露しましょうか!」


「えぇ、後で見せて頂きたいです」


「勿論です!ところで、皆さんは何の話をしていたのですか?」


「メアさんのお姉さんが結婚して、お祝いに何か贈りたいって相談を受けてたんだ」


「結婚ですか、羨ましいですね〜」


「試しに聞いてみるけど、シェリー達ペガサスって結婚したら何か贈ったりしてたの?」


「してますよ。特に多いのが草のプレゼントで、私も何度もしたものです。その度に言われる、まだ結婚してなかったと言う煽り!なんだか、腹が立ってきました!」


どうやらいけない記憶を呼び起こしてしまった様で、そこには触れない様にする。


「流石に草は・・・」


「そ、そうですね。相手の方も人間ですし」


「ペガサスの間じゃ喜ばれるんですけどね〜。まぁ、それ以外なら花とかも贈りますね」


「花・・・そうだ!栞を作れば良いんだ!」


シェリーの言葉を聞いて考え込んだメアさんは、大きな声を上げてそう言った。


「しおり?」


「はい、2人が気が合ったのって本好きな所なんですよ。なので、押し花で栞を作れば喜んでくれるかなと」


「可愛い妹のお手製なら姉も喜ぶだろうな」


「もう、可愛いだなんて褒めても何も出ないですよ〜」


エレオノーラさんの言葉にメアさんが照れながらそう言う。


「コホン、ともかく決まって良かったな」


「はい、帰って頑張って作ってみようと思います!あっ、その前にシェリーさんの本当の姿も見ないとですね」


そうしてプレゼントも決まり、シェリーの姿を見てはしゃいだメアさんは、満足そうな顔をして帰って行った。


「私もお嬢様へのプレゼントを考えないとな・・・」


「草はどうですか!」


と悩むエレオノーラさんと、草を推すシェリーの姿があった。


〜〜〜〜〜〜


後日、メアさんからの手紙で姉夫婦に栞を贈ったら、とても喜んでくれたと報告があった。


「これは、私のお手柄ですね!」


それを聞いたシェリーは自慢げにそう言った。


ちなみにエレオノーラさんはと言うと、ダンジョンで取ってきたと言う、装着者にリラックス効果を与えるネックレスをプレゼントしていた。

妊娠期間中、色々と不安のあるアリーは喜んでくれていた。


それから、俺にもプレゼントがあったのだが、それがまさかの1日特訓券だった。


「いつもより、ハードな特訓仕様だ!楽しみだな!」


「が、頑張ります・・・」


と嬉しそうな顔のエレオノーラさんを見て断る事が出来ず、地獄の特訓を受けるのだったが、その後にご褒美として滅多に手に入らないと言うお酒をプレゼントしてくれたのだ。


飲みやすく美味しくて特訓の疲労も取れたのだが、出来れば最初からそれだけが欲しいなと少しばかり思うのであった。

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