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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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雪遊び

「わーい!」


真っ白な大地で白い息を吐きながら駆け回るベルとクロ達。

俺達は、辺り一面銀世界の場所に立っていた。


発端はある日、魔の森に少しだけ雪が降った事である。

その雪を見たベルが、


「皆んなで、また雪遊びしよ!」


と言ったのだ。

だが、魔の森のある辺りで雪が降るのは相当珍しく、その時も積もる事は無かった為出来なかったのだ。

そこで以前、ルードフラワーと言う寒い所にしか生えていない貴重な花を取りに行ったのを思い出し、ここへとやって来たのだ。

前回来た時は暴れ狂うドラゴンが居たが、あれは偶然そこに住み着いただけだったので、今回は真っ白な雪以外は何も無かった。


「わー!まてまて〜!」


ピョンピョンと跳ねながら逃げているクロ達をベルが追いかけていると、不慣れな足場のせいかズコッと顔面からこけてしまった。

逃げていたクロ達が心配して戻ってくると、


「あははー!楽しいー!」


と言いながら仰向けになり、手足をバタバタと動かす。

フワフワとした雪で怪我もなく安心だ。


そして、楽しんでいるのはベルだけでは無い。

エレオノーラさんとリッヒさん、ルイン、メアリーさんの4人で、2対2に分かれて雪合戦をしていた。

ビュンビュンと飛び交う豪速球を目で追うのがやっとだ。


「くっ、このままではまずいな・・・」


エレオノーラさんとルインのチームがどうやら押されている様だ。


「こうなったら奥の手だ。ルイン、やってしまえ!」


「サー、イエッサー!」


エレオノーラさんが合図をした瞬間、ルインは幽霊の力を使い大量の雪玉を浮かせて、一斉放火した。


「「キャー!」」


あまりの弾幕に2人は対応出来ずに雪玉を浴びる。


「ハッハッハッ!ナイスだ、ルイン!」


と高らかに笑う2人が悪役の様だった。


「こうなったら私達も本気を出すしか無いようですね・・・メアリーさん、お願いします」


「分かりました!」


リッヒさんの合図を受けるとメアリーさんが結界を展開し、大量の雪玉を完璧に防ぐのであった。


「あっ、ずるいです!」


と文句を言うルインだが、自分も能力を使っているのでお互い様だろうと思う。

その後、更に激化して行く雪合戦に絶対に参加させられたくないと思い、そばを離れるのだった。



逃げた先では、オルフェさんとシエルの2人が、ドラちゃんをモデルにして雪像を作っていた。

要望に合わせてドラちゃんが色んなポージングをしている。


「そうそう、左手は腰に当てて右手は下げたまま・・・あっ、左手はもうちょっと高めの位置ね」


オルフェさんがそんな指示をしているが、ドラちゃんの腰ってどの辺にあるのだろうと思う。

そして、周りをよく見てみると既に数体のドラちゃんの雪像が並んでいる。

しかも、そっくりで出来がかなり良い。


「これ、2人が作ったの?」


「そうだよ〜」


「力作ぞろい」


「ほんと、良く出来てるよ」


「でしょ。ドラちゃん作りやすい体してるもんね」


オルフェさんがそう言ってドラちゃんはドヤ顔をするが、それは果たして褒められているのだろうか・・・


「よ〜し、ドラちゃん。次はこんなポーズしてね」


と2人は創作活動に熱を入れるのだった。


残りのメンバーで、ティーとヒルズにはとある物を作って貰っているし、アリーには長時間外に居て体調を崩してもらっては困るので、初めに少し遊んでから家でアンさんとリビアさんの3人で、こちらもまたある物を作って貰っている。


「あと残るはシェリーだけど・・・何処に行ったんだ?」


パッと見た感じ辺りに姿は見えない。

何処に行ったか知ってる人がいないか確認しようとした時、


「ふぃー!」


と言う声と共に、目の前の雪が盛り上がり驚いて尻餅をつくのだった。


「はぁ〜、雪って気持ちいいですねー」


盛り上がった雪が喋ったと思ったら、それは馬の姿になった只のシェリーだった。


「なんだ、シェリーか」


「あれ?コタケさん、そんな所に座ってどうしたんですか?」


「シェリーに驚いただけだよ」


「?」


俺の言葉に不思議そうな顔をするシェリー。

どうやら、周りの白色と同化して見つけられなかった様だ。


「それにしても、雪って初めて見ましたけど冷たくて気持ちいいですね!」


その場に寝転がりながら言う。


「はしゃぎ過ぎて、風邪ひかないようにね」


「分かってますよ〜」


そう言いつつも、ゴロゴロと転がっているが本当に大丈夫だろうか。


そうして、全員の行動を把握出来た所で、


「おーい、コタケよ。頼まれた物が完成したぞ」


とティーがやって来たのだ。


「やった、見せて貰ってい良い?」


「勿論じゃ」


ティーの後を追いかけると、そこには全員が入れる程の巨大なかまくらが建っていた。


「おー!でっかいねー」


「家の者、全員入れるとなるとコレくらいにはなるのじゃ」


コンビニより少し小さいくらいだろうか、10人以上が入るのだからそれなりの規模だ。


「周りの雪はティーフェン様に固めて貰い、雪が溶けない様にする為の魔法と中を暖かくする為の魔法を私が掛けておきました」


ヒルズが説明してくれる。


「コレで計算上は1日はこの形がもつ筈じゃ」


「充分過ぎるよ。2人ともありがとう」


「うむ、一仕事終えたし妾もあの雪合戦とやらに参加してこようかの」


「私はオルフェ様達に呼ばれているので、そちらに向かいますね」


「うん、いってらっしゃい」


と2人を見送り、俺はかまくらの中に予め用意していた長机と椅子を設置していく。


「よし、これで準備オッケーだな」


〜〜〜〜〜〜


2時間程が経過し、辺りも暗くなって来た。

遊びに遊んだ皆んなが、かまくらにやって来る。


「疲れた〜」


「中々の接戦でした」


各々満足した様だ。


「じゃあ皆んな、座って待っててね」


俺はそう促して、家へと転移する。


「3人ともお疲れ様」


リビングで休んでいたアリー達に声を掛ける。


「ごめんね、家で待ってて貰って」


「いえ、私がやりたいと申したんですから気にしないで下さい。私よりもアンとリビアにも付き合って貰って申し訳ないです」


「私達はお嬢様のメイドなのですから気にしないで下さい」


「それに妊娠中の身に何かあっても嫌ですからね」


「2人共ありがとう」


「それで、アレは用意出来た?」


「はい、バッチリです!後はあちらに持って行くだけです」


「じゃあ、早速行こうか。かまくらの中は暖かいからアリーも安心して居られるよ」


「楽しみです!」


3人を連れて、かまくらへと戻る。


「わっ!思ってたよりも広いですね。それに本当に暖かいですね」


「ヒルズの魔法のおかげで1日はこの状態が続くんだって」


「直接壁を触ったら冷たいのに、中は暖かいなんて不思議です」


アリーは楽しそうにしている。


「おーい、話すのは良いがそろそろ妾達もお腹が空いたんじゃがー?」


「「そーだ、そーだ」」


と野次が飛んでくるので、アリー達に作って貰った物をマジックバックから取り出す。


それは、野菜や肉が沢山入った鍋だった。

やはり、かまくらの中で食べる物と言ったら餅と鍋だろう。

今回は餅を用意する事が出来なかったので鍋のみだが、皆んなで鍋をつつき合うのも楽しい物だ。

机に鍋をセットして、椅子に座る。


「それじゃあ・・・」


「「いただきまーす」」


俺がいただきますと言おうとしたら、待っていた皆んなが一斉に言って、取り合いを始める。


「ふっ、遅い!」


「あっ、それ私のお肉ー」


「皆さん早いですー」


「早く食べんと無くなるぞ」


まるで戦場の様な激しい戦いだった。


「皆さん、まだまだ沢山準備してあるのでそんなに急がなくて大丈夫ですよ」


とアリーが苦笑いしながら言い、無くならない内にと俺達も食べ始めるのだった。



鍋を食べ終え満腹になった所で家に帰ろうとすると、かまくらの外から、


「わぁー!虹だー!」


と言うベルの声が聞こえて皆んなで外に出てみると、上空に緑色の光のカーテンが掛かっていた。


「ベル、あれはねオーロラって言うんだよ〜」


「オーロラ!・・・って、何が違うの?」


「うーん?ママも分かんないから、コタケ君よろしく!」


「えっ!いや、俺も詳しく知らないけど虹は光が屈折して起こる現象で、オーロラはそれ自体が光ってるとかなんとか」


「うーん・・・分かんない!」


「そうやって学ぶ事も大事ですが、まずはこの滅多に見れない景色をしっかり見るのも大事ですよ」


「はーい!」


アリーがそう諭す。


「オーロラなんて初めて見るのじゃ」


「ティーくらい長生きしてても見た事無いんだ?」


「そもそも、こんな寒い所まで来る事も無かったからの」


「俺も実際に目にするのは初めてだなぁ。誰か見た事ある人いる?」


と聞いてみたが、皆んな首を横に振った。


「じゃあ、もうちょっとだけゆっくりしてこうか」


そうして帰る前に皆んなで、初めてのオーロラをゆっくりと堪能するのであった。

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