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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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記憶

知らない場所から帰って来た翌日。

オルフェさんと2人で、ラヴィさんの家に訪れていた。


「ラヴィちゃん、昨日ぶり〜」


「み、皆さん、おはようございます。今日はシェリーさんは、いらっしゃらないんですね」


「戦いは既に始まってるんですって言って走り込んでたよ」


瞬間移動の代償を軽減する為に、今朝から家の周りを走り込みダイエットしているのだ。


「それで、あの本について何か分かりましたか?」


「あ、えっとですね。色々と調べてみたのですが、何も分からなくて・・・」


ラヴィさんは本を取り出す。

よく見ると、表紙にハマっていた赤色の宝石が色を失い白くなっていた。


「あ、あと本の中を見てみたんですけど、何故か何も書かれていなくて・・・」


ページをパラパラとめくってみるが、どのページにも文字等は一切書かれていなかった。

この状況に更に頭を悩ませる。


「うーん、今日の新聞にも和平の事とか何も書いてなかったからねー?何なんだろう?」


「ら、ララさんに聞いてみるのはどうでしょうか?」


「確かにシャロちゃんとソックリだったもんね」


そう言うわけで、手掛かりが掴めそうなララさんの城へと向かい自室へと通された。


「おや?3人揃ってどうしたんだ?」


「うーん、やっぱり似てるよね〜」


「並んだら姉妹にしか見えないよね」


「すまない、話が見えてこないのだが?」


ララさんは、俺達の話に首を傾げてそう言う。


「ねぇねぇ、ララちゃん。シャロ・フィールドって子、知ってる?フィールドって名前的にもララちゃんと関係あると思うんだけど」


「知ってるも何も、その名は私の曽祖母の名だが?何故、オルフェ達が知っているのだ?教えた事はなかった筈だが・・・」


「ひいおばあちゃん、だったんだ!って言うか私、ちゃん付けしてたけど、失礼だったかな?」


「さっきから会った事あるような話し方をしているが、曽祖母が生きていたのは2000年程前の話だぞ?」


「「えっ?」」


「で、でも、昨日お会いしましたよ」


「そんな筈無かろう、私ですら会った事が無いんだからな」


ララさんが生まれた頃には、曽祖母も亡くなっており見た事すら無いそうだ。


「シャロさんの話について、両親から何か聞いてたりしませんか?」


「何も聞いた事はないな。ところで、曽祖母に会ったのは何処なんだ?」


昨日体験した事をララさんに説明する。


「ふむ、本の力で謎の場所に飛ばされて、そこで出会ったと・・・それに魔族の国が和平を結んだか。一応知っていると思うが、魔族の国は現在3つしかない。その中で、人間と和平を結んでいるのはこの国のみで、他の国が和平を結んだと言う話も入って来ていない」


「やっぱり、そうだよね・・・」


「そ、そうなると私達は過去の世界に行ったのではないでしょうか?知らない場所に知らない国、知らない通貨に加えて、亡くなった筈の方と会っているのですから」


「そんな事可能なんですか?」


「聞いた事が無いな」


ララさんはそう言い、他の2人も首を横に振る。

手掛かりは見つかったが解決には至らないと考えていると、ある事を思い出した。


「そう言えば、ラヴィさんの家に戻る直前にフードを被った男の人が居たんだけど、その人が大賢者さんにソックリだったんだよね」


「そうなの?じゃあ、聞きに行ってみようよ」


そうなり、次はラーブルクへと向かった。



「私が昨日、何処に居たかですか?お城で、テンメルスさんの相談を受けておりましたよ?」


「外には出てないですよね?」


「えぇ、そうですね。如何されましたか?」


昨日、大賢者さんを見たと言う事を伝える。


「私と同じ顔をした人物ですか・・・世界には自分と似た顔の者が数人居るとも言いますので、他人だとは思いますが、原因となったと言う本を見せて貰っても良いでしょうか?」


と言われて本を手渡す。


「ふーむ、一見すると何の変哲も無い本ですが、恐らくこの埋められている宝石に秘密がある筈なんですよね・・・」


大賢者さんは考え込み始めた。


「しばらく、この本を預かっても宜しいでしょうか?」


本の持ち主はラヴィさんなので確認すると、大丈夫との事なので大賢者さんに調べて貰う事となり、家へと帰るのであった。


〜〜〜〜〜〜


数日後。

大賢者さんから連絡があり、ララさんも呼んでラヴィさんの家に集まっていた。


「皆さん集まりましたね。まずは借りていた本をお返しします」


「あ、ありがとうございます」


「それで、何か分かったんでしょうか?」


「はい、色々と調べてみた結果、やはりそのまま宝石に秘密がありました」


「「秘密?」」


「対象の者に自身の記憶を見せる魔法が組み込まれていました」


「そんな事が出来るんですか?」


「簡単には出来ません。私も自分の記憶をいじる事はあっても他人に見せた事が無いので、物にするには多少の歳月を要すると思います」


「そ、そんなに凄い物を誰が作ったんでしょうか?」


「恐らく、先日お話しして頂いたシャロさんと言う方でしょう。私は、長い年月を生きる為に一部の記憶を消したりしているのですが、消した記憶を日記に綴ってあるのです」


「もしや、その中にその話があったのか?」


「えぇ、2000年程前に魔族の王と人間の王が和平を結んだと。その魔族は赤髪の女性で、和平をアピールする為の催し物で襲撃を受けそうになった所を助けたとありました」


「完全に俺達が見た物と同じ内容ですね。それにしても、本当に大賢者さんが居て、シャロさんを助けて居たとは・・・」


「私としても平和が1番でしたからね。お忍びで見に行って邪魔が入りそうになり、止めたのでしょう。ただ、記憶の中で私の顔だと分かったと言う事は、彼女は私に気付いていたのでしょう。そうでないと、顔まで再現出来ませんから」


「ともあれ、貴方のお陰で今の私があるようだ。ありがとう」


「いえいえ、お気になさらず」


「過去の話だったって言うのは分かったんだけど、シャロちゃんは私達と普通に話してたよね?記憶ならその場に居ない筈の私達には反応出来ないと思うんだけど」


「そ、それにあの場所で牛串を食べましたが、それの味もしっかり伝わって来ました」


「私も専門外なのでハッキリとは言えませんが、牛串に関しては恐らくシャロさんが実際に食べていたので、その記憶で味が再現されたのでしょう。そして、シャロさんが皆さんと会話が出来たと言う部分ですが・・・正直分かりません」


サラッと言う大賢者さんにポカーンとする。


「この様な代物は何しろ初めてなもので、恐らくは記憶を見せている者と会話出来る様な仕掛けがあるのでしょうが、流石にそこまでは分かりませんでした」


「そうですか・・・それでも、この本の正体が分かったので良かったです」


「だよね〜。それにしても過去の世界に行ったのか〜。もう一回行きたい!」


「私も曽祖母の顔を1度、見てみたいものだが再び記憶を見る事は出来ないのか?」


「この宝石がトリガーになっている筈ですので、ここに魔力を補充すればいける筈です」


「確かに、元は赤色の宝石でしたからね」


「ただし、まだ詳しくは分かっていないので、慎重にやるべきかと」


「そうだな、壊す訳にもいかんからな」


「ララちゃんにも見せてあげたいな〜。本当にソックリだったもん」


「そ、そっくりでした」


「はは、それは楽しみだ」


「でも、あとの残る謎は何でラヴィさんの家にあったかだよね?」


「確かに!1番の謎だよね!」


「わ、私もいつからあったのかは分かりませんが、この本の作者が分かったのですから、あるべき場所にないとダメだと思うんです」


ラヴィさんはそう言うと、本をララさんの前に差し出した。


「良いのか?こんなに貴重な本だとラヴィも欲しいのではないか?」


「た、確かに貴重な本ですけど、シャロさんも子孫の方に持っていて貰った方が喜ぶかと思うので・・・」


「そうか・・・では、ありがたく預かるとしよう」


「じゃあ、ララちゃんはついでにその本の使い方も研究してね〜」


「かなりの難題を押し付けられたな」


「ご先祖様が出来たんだから、ララちゃんにも出来る出来る!」


「私も微力ではありますが、お手伝い致しましょう」


「そうだな、頑張ってみるとするか!」


ララさんは気合いを入れて、本の使い方を調べると決意したのだった。

次回の更新、少し遅れまして12月14日となります。


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