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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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ティー:大勇者との決闘

「ごめーん!待ったー?」


「遅い!30分遅刻なのじゃ!」


「ごめん、ごめん。ちょっと道に迷っちゃって」


「お主、転移と言う便利な物を持っておるんじゃから、それを使えば良いじゃろうが」


「えー、でも歩いて待ち合わせ場所に行くっていうのも、たまにはしたいじゃん」


「それで遅れたら世話がないじゃろ」


「あははー」


妾の言葉を気にも留めず笑うのは、大勇者のフィーアである。

そんなフィーアに呼ばれて、とある街で待ち合わせをしていた。


「それで、お主が連れて行きたいと言っていたのはここの近くなのか?」


「そうだよー。ここからティーに乗って行こうかなって考えてたんだ」


「遅れて来た上に更に妾を使うのか?」


「そこをなんとか!後で、何か奢ってあげるからさ〜」


「仕方ないの、パフェ5杯じゃ」


「3杯で・・・」


「ご・は・い・じゃ!」


「はい!喜んで!」


「うむうむ、それじゃあ出発するかの」


街の外に出て、ドラゴンの姿になるとフィーアが飛び乗り、空へと羽ばたく。


「やっぱりティーの背中に乗るのは気持ち良いね〜」


「お主を乗せるのは何年ぶりじゃ?」


「うーん・・・1000年ぶり!」


「じゃな」


ハハハと笑い合う。


「お主が居なくならんかったら、もっと背中に乗せてやっておっただろうに」


「まぁまぁ、旅に出たお陰で不老不死になってこうして1000年経った今でもティーに会えるんだから良いじゃん!」


「ま、妾もお主の事なんてすっかり忘れておったしの」


「え〜ひど〜い」


「1000年も連絡をよこさん奴の事なんて忘れるわい」


「えへへ、ついつい世界中を回るのが楽しくてね。1000年も生きてると昔行った所が色々と変わっちゃったりしてて、それを見るのが楽しいんだよね。ティーも長く生きてるし分かるでしょ?」


「確かに今と昔で違う所は多いが、そもそも人間の世界には興味なんて無かったしの、それが楽しいのかなんて言うのは分からん」


「ティーもまだまだだね〜」


「お主よりも遥かに年上なんじゃが・・・」


そうこう話しながら、しばらく飛び続ける。


「フィーアよ、それなりに飛んで来たが目的地は何処なんじゃ?」


「ん〜?ここー」


そう言われて、慌てて止まる。


「おぉっとっと!急に止まるなんて危ないよー」


「お主がここと言ったんじゃろ」


「この下に用事があるんだよ」


言われるがままに降り立つが、そこはなんの変哲もない平地だった。


「こんな所に何があるんじゃ?」


「何も無いけど・・・今からコレをするの!」


そう言い、フィーアは剣を抜く。


「なんじゃ?1000年経って遂に妾を討伐するのか?」


「もー、違うよ!最近戦って無かったから体が鈍っちゃって、ティーなら丁度良い練習相手になるかなーって」


「ほぉ〜、龍王である妾が丁度良い練習相手か、大きく出たの?」


「まぁ、そう言う訳だから本気で来て良いよ!」


その言葉と共に、いきなり襲い掛かってくるフィーア。

特に動揺することも無く、剣を爪で弾き返す。


「うっへ〜、やっぱり硬いなぁー」


フィーアの剣を見れば、今の防御だけで剣先が欠けていた。


「そんな鈍で妾に傷が付くとでも?」


「思ってないから安心して。今のはただの準備運動だから」


続け様に次の剣を取り出した。

その剣は先程とは違い魔力を纏っている様に見える。

1度見た事がある様な気がするから、恐らく初めて戦った時に使っていた聖剣だろうと考える。


「じゃあ、行っくねー!」


そう言うと、先程までとは比べ物にならない速度で近づいて来て剣を振り下ろす。

フィーアの聖剣は、使用者の身体能力を向上させると言う物だ。

それでも対応しきれる速度の為、防御は間に合ったのだが剣がぶつかった瞬間に爆発して衝撃が伝わる。

手を見てみると、爪にヒビが入っていた。


「なんじゃ今の?」


「剣の攻撃と一緒に魔法で攻撃したんだ」


かなりの爆発ではあったが、フィーアはピンピンしている。


「自分は巻き込まれない様に、爆発をコントロールしてるんだ」


「流石じゃの、自分が巻き込まれては意味が無いからのう」


「昔はしてなかった攻撃でビックリしたでしょー?何百年か前に戦った人のを真似てみたんだ」


1000年も経てば新しい技を身に付けるか・・・


「なら、妾も新技を披露するのじゃ」


そう言い、フィーアに突っ込んで行く。


「お?」


そしてそのまま、手を振り上げて攻撃・・・をするのでは無く、ドラゴン状態から人の姿に変身をしてフィーアの身にキックを入れるのだった。


「ぐはっ!」


急な変身に防御しきれなかったフィーアが、100m程吹き飛んで行く。


「おぉー、結構飛んだの」


「ちょ、何今の?痛かったんだけど」


戻って来たフィーアはダメージを受けている様に見えるが、特に大した事は無さそうだった。


「ビックリしたじゃろ?ちなみに、ドラゴンの状態に変身する時はちょっとばかし時間が掛かるから、戦闘中に使ったらもう元に戻れんがの」


「ふーん、そっかー」


「と言うか、今のを喰らってもピンピンしとるお主も大概じゃの」


「えー、でも普通に骨はいくつか折れたから痛かったよ?」


「にしては元気じゃな」


「不老不死の効果で即時回復ってのがあってね、ダメージを受けて痛いけどすぐに治るから問題は無いんだ」


「なんか、アンデットみたいじゃの」


「ひどっ!そんな事を言う子には、更なる技を見せてあげます」


と言うフィーアはいきなり姿を消し去る。

周辺を探ってみるが、全く気配が無い。


「むっ?何処に行ったのじゃ?」


そう呟いた瞬間、真後ろから、


「正解は後ろだよー」


と言いながらフィーアが現れて、攻撃をしてくる。

危うく右腕を丸ごと持って行かれる所だったが、ギリギリの所で避けるのが間に合い、右手を貫かれるだけで済んだ。


「右手が使えんくなったでは無いか」


「これが私の究極奥義、転移だよ!」


「お主の技では無かろうに」


「私の精霊が使えるんだから、実質私の魔法だよね!」


「そんな訳無かろう。ともかく今のは、一旦別の場所に移動したからお主の気配が無かったのじゃな」


「そう言う事」


「お主、暗殺者の方が向いておるんじゃ無いのか?」


「仮にも勇者だったんだけど・・・まぁ、暗殺者も格好良いよね!」


「1人だけ良い師匠を紹介出来るぞ」


「じゃあ、気が向いたらお願いしようかな?」


と冗談っぽく言う。


「さてさて、ちなみに私の究極奥義はこれで終わらないからね」


「ほう?」


すると、上空に大きな転移のゲートが開くとそこから大量の水が押し寄せて来る。


「うおっ!」


フィーアが水の流れを魔法で制御している様で、身動きが取れない。


「こんな感じで、転移で色んな物を持って来て攻撃にも使えるんだよー!」


と何か言っているが、水の中なのでイマイチ聞こえない。

このまま、流され続けても息は全然持つので問題は無いのだが、どうやって抜け出そうかと考えていると、不意にドシーンと言う音が聞こえた。


音がした方向をみてみると、そこには海に住んでいる筈の伝説の魔物であるリヴァイアサンが地面に転がっていた。

それを見たフィーアは水の流れを止める。


「あれもお主の作戦か?」


「いや〜あれは・・・」


何か言い掛けた時にリヴァイアサンが、


「おい!これはお前らの魔法のせいか!」


とこちらに詰め寄って来て、フィーアの作戦では無いと分かる。


「あー、ごめんなさい。ちょっと、うっかり吸い込んじゃったみたいでして」


「えぇい!また貴様か!以前も海の水を勝手に持っていくなと言ったであろう!」


「はい〜」


「今回ばかりは許さんぞ!」


そんな怒れるリヴァイアサンが戦闘態勢に入ると、


「それはまた今度で〜」


「あっ!おい、貴様・・・!」


フィーアは転移のゲートを開き、強制的にリヴァイアサンを送り返した。


「お主なぁ〜・・・」


「えへへ、続きしよっか?」


「はぁ、今ので興が削がれたわい。続きはまた、今度にするのじゃ」


「は〜い」


とフィーアとの戦いは終えて、回復薬を貰い怪我を治す。


「ところで、ティー。今日本気出して無かったよね?」


「うん?いや出しておったが?」


「それあくまでも、出せる範囲でって事でしょ?」


「当然じゃろう、妾が本気で戦ったらこの場所が焦土と化すじゃろうが」


「別に人も住んで無いんだし、良いと思うけどなぁ〜」


「よく無かろう。勇者の発言とは思えんの」


「まぁまぁ、今の時代の勇者じゃないから良いんだよ。それでも、昔みたいに本気のティーと戦いたいよね」


「そのうちな、そのうち。妾も最近は守りながらの戦いが多いし、体が鈍っておるんじゃ」


「なんか大昔のリッチにも苦戦したんだっけ?」


「なんで知っておるんじゃ」


「精霊王から聞いた」


「結構お喋りな奴なんじゃの・・・あの時は、コタケ達とあの森を守らんといけんかったからの出せる力も限られておったんじゃ。だから、制限された力でも戦える様に特訓中なんじゃ」


「ティーも大変だね」


「まっ、あの家は退屈せんからな。それくらいはするのじゃ」


「そっか。まぁ、コタケ君が居なかったらあそこにティーが居る事も無くて、また会う事が無かったかもしれないから感謝だよね」


「確かにそうじゃな」


と笑い合うのだった。



「さて、それじゃあ目的も済んだし帰ろっかー」


「待つんじゃ」


そう言って、帰ろうとするフィーアの腕を掴み帰るのを止める。


「パフェの事、忘れておらんじゃろうな?」


「えーっと・・・」


「約束したよな?」


「はい・・・」


その後、再び街に戻りしっかりとフィーアにパフェを5杯奢らせるのであった。

次回の更新お休みさせて頂きます。

次は11月26日の更新となりますので、よろしくお願いします。

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