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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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紅葉

「最近肌寒くなって来たし、皆んなで紅葉狩りに行かない?多分時期的にもピッタリだろうし」


「もみじがり?」


「狩り?何処かに戦いに行くのか?」


ある日の買い物終わりの帰り道に俺はそう言って、アリーとエレオノーラさんが反応する。


「戦うんじゃなくて木々の紅葉を楽しむんですよ」


「紅葉というと確か木の葉っぱが赤く染まったりする事ですよね」


「そうそう・・・あれ?もしかして見た事無い?」


「ここら辺の木は緑色のままですからね」


「冬もそのままなの?」


「いえ、冬になると葉っぱは落ちますよ」


「紅葉はその葉っぱが落ちる前に色づくんだけど、ここじゃあ見れないのか」


「もしかしたら他の方なら知ってるかも知れません!」



その日の夜。

夕食後、みんなに紅葉している木を見た事が無いかと聞いて見たのだが、


「妾の国にも無かったの」


「私も見た事なーい」


「エルフの森は年中、緑の葉が付いたままなので残念ながら」


「シエルさんとメアリーさんは・・・」


「里にそんな木は無かった」


「私も知りませんね」


と言った感じだった。


「ルインはどう?」


「私は景色なんてこれっぽっちも気にした事が無いですからねー」


ルインはアハハと笑ってそう言う。

アンさんとリビアさんも知らないし、ベルも当然知らないと言う。


「最後の砦、ヒルズは何か知ってる?」


「私も基本的に精霊の国からは出ないので・・・申し訳ないです」


「だよね」


「ただ、エムネス様に聞けば分かるかも知れません」


紅葉狩りは中止かなと思ったら、ヒルズはそう言った。


「なるほど、確かにそうかも」


「良ければ私が明日聞いて来ましょうか?」


「うん、お願い」



そして翌日。


「どうだった?」


「1つだけ東の方にその様な場所があるとの事です」


「おぉ、やった!」


「ただかなり遠いみたいで、ティーフェン様に乗っても時間は掛かるみたいなんです」


「うーん、そっかー。あんまりティーに負担をかけ過ぎるのもね」


「なので、精霊王にお願いして私が一足先に現地に行きましたので、転移で移動が可能です」


「ほんとに!?流石、ヒルズだね。大助かりだよ」


「お褒め頂き光栄です」


「それじゃあ早速、明日向かおう!」


〜〜〜〜〜〜


翌日。

天気は快晴で、絶好の紅葉狩り日和だ。

前日に話していた通り、ヒルズにゲートを開いて貰い転移で向かう。


「それじゃあ出発!」


意気揚々とゲートを潜り抜けると、視界の先には赤色や黄色に染まった木々が一面に広がっていた。


「わぁ〜、綺麗ですね」


出て来た場所は山の中腹の開けた所で、見晴らしもとても良い。


「皆様、早速ですが食事にしましょう」


アンさんが呼びかけて、シートを敷いて弁当箱を広げる。


「うむうむ、アンとリビアの料理は相変わらず美味いのじゃ!」


「それに晴天の下で食べるお弁当も格別ですね。流石、私のメイドさんです!」


「ふふ、ありがとうございます」


と2人は嬉しそうにした。


ご飯を食べ終えてからは、体を動かす事にした。

木で作った60cm程のラケットを使い、コルクで出来た先端に鳥の羽を付けたシャトルを使ってお互いに打ち合う。

バドミントンの様にネットは無いので、どれだけ長く打ち合えるかなどを競っていく。


「えいっ!」


「ほっ!」


「あっ、落としちゃった」


「いえーい、ママの勝ちー」


「うー、もう一回!」


オルフェさんとベルが仲睦まじく競っている。

そして、その隣では、


「ハッ!」


「クッ!」


エレオノーラさんとメアリーさんの2人が、ギリギリ目で追える速度でシャトルを打ち合っていた。


「2人ともー、ラケットが壊れ無い様に程々にねー」


念の為、注意をしておくが案の定耐えきれずバキッとラケットは真っ二つに折れてしまった。


「すまん、コタケ殿。直してもらっても良いか?」


「次は壊さないで下さいね?」


「善処する」


壊れたラケットをすぐさま修理するが、また出番が来そうだと思うのだった。


その他の人はと言うと、喋ったり読書をしたり寝たりと各々のしたい事をしていた。

俺は俺で色づいている木々を満足するまで眺める。


ちなみに、ヒルズがエムネスさんに聞いた話によるとこの場所の木は年中この色をしているそうだ。

季節によって移り変わりがあった方が良いが、これはこれでいつでも紅葉が楽しめそうだった。


そんなこんなで、のんびりしていると夕暮れ時となった。

夕陽を帯びた景色も素晴らしかった。


「それじゃあ帰るとしよっか」


ヒルズにゲートを開いて貰おうと待っていると、側の草むらからガサガサと何かが動く音がした。


「ちょっと、見て来ますね〜」


ルインがそう言い草むらへと消えていくと、


「ぎゃー!」


という悲鳴と共にすぐに戻って来た。


「お、お、お化けがいました!」


何を言ってるんだこの幽霊はと皆んなが首を傾げていると、草むらの中から4m程の紅葉した葉を付けた木が動いて出て来たのだ。

その木には、目と口を模した穴が開いていた。


「こいつはトレントだな。森の中で木に擬態して人を襲う魔物だ」


とエレオノーラさんが教えてくれる。


「結構強い魔物ですか?」


「そこまで強くは無いが、並の剣では体を貫通出来ずに折れてしまう上に、弱点は火なのだが生息している場所が森のせいで火を使え無いと言う少し厄介な所がある」


「そう聞くと結構強そうですね」


「まぁそうなのだが、我々の敵では無いと言う事だな」


その言葉と同時に、メアリーさんが足止めをしてリッヒさんが斬り込んでいく。

トレントは、応戦しようとするがメアリーさんの槍で枝を止められて微動だに出来ない。


「本来なら枝を伸ばして攻撃して来るのだが、アレでは無理だな」


そして、リッヒさんが胴体に短剣を投げ込むと口の中に入りそのまま貫通して大きな穴が開き、トレントは音を立てて倒れるのだった。


「倒したんですか?」


「いや、このままだと穴が塞がってまた復活する。最終的には細かく斬るか火で燃やすかだな」


「やっぱり結構厄介ですね」


「そう言う訳だから、ちょっと下がっていてくれ」


エレオノーラさんはそう言いながら剣を抜き、目にも止まらぬ速さで斬り刻み、トレントは消滅した。


「よし、これでオッケーだ」


「流石ですね」


「木の少ない場所なら楽なんだが、こうも密集しているとどうしてもな」


それでも、3人で一瞬で倒したのだから凄い。


「ふふ、結局エレオノーラが言った通りの紅葉狩りになりましたね」


「あっ、確かに」


紅葉した木の魔物を狩ったのだから、その通りだなと思い皆んなで笑うのだった。

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