軍団
今回短めになります。
「あれ?クロは何処行ったんだろ?」
ある日、クロに用事があったので家の中を探していたのだが見つかる気配がしなかった。
クロ以外のスライム達も家にはいない様だ。
「あっ、ドラちゃん。クロが何処に行ったか知らない?」
ドラちゃんは手を横に振って知らない様子だった。
「うーん、見回りに行ったのかな?」
そう考えて家の周辺も探してみる事にした。
しばらく歩き回っていると、茂みの奥からポヨンポヨンと言う音が聞こえて来た。
もしかしてと思い茂みの奥に行ってみると、そこにクロ達がいた。
「あっ、いたいた!クロ、ちょっと用事が・・・って、えっ?」
俺はそう言いながら、クロの後ろを見て固まってしまった。
そこには、100匹近いスライムの軍団がいたのだった。
「えっと?何これ?もしかして敵だったりする?」
俺の言葉にクロは違うと反応する。
「じゃあクロ達の仲間なの?」
今度はそうだと反応した。
クロはスライム達の始祖の生まれ変わりで、他のスライムを従える力を持っているので納得なのだが、数があまりにも多い。
クロはこの状況を説明しようとしているが、俺には分からなかったので、
「そうだ、ベル連れて来るからちょっと待ってて」
同じ魔物同士でクロが伝えたい事が何となく分かるベルに聞いてもらう事にした。
「わぁ〜、スライムさんがいっぱい!」
大量のスライムにベルが興奮していた。
「ベル、クロが何て伝えたいか聞いてもらえる?」
「うん!え〜っと、なになに?家の周りの安全を確保する為に少しずつ仲間を集めていた・・・だって!」
「そうだったんだ。てっきり何処かに戦いにでも行くのかと思って心配したよ」
「そんな事しないよだって」
「クロ、ありがとう」
お礼を言うとクロは嬉しそうにした。
「ところで、このグレーっぽいスライムはどんな能力を持ってるの?」
薄いグレーに半透明のスライムが100匹のうち半分近くを占めている。
「ただのスライムで物理攻撃しか出来ないらしいよ」
「普通のスライムなんだ。じゃあ、赤色とか青色のスライムもチラホラいるけど、この子達も魔法は使えるの?」
「使えるけどそんなに強い魔法じゃないんだって」
確かにここに居る100匹のスライムはクロ達と比べると二回り程体が小さかった。
「まぁ、クロ達のレベルの魔法をポンポンと撃てたらマズイよね」
とそんな感じで話していると視界の端にキラッと光る物が目に入った。
その方向に視線を送ると、そこには銀色に輝くスライムが居たのだった。
「うわっ、なんか凄い子がいるね」
「その子は、攻撃はあんまりしてこないけど逃げ足が速いから何かあった時の連絡要員なんだって」
「そ、そうなんだ・・・」
(何だか倒したら、大量の経験値が入りそうな見た目だな・・・)
「皆んな常に家の周りをウロチョロしてるから、これからよろしくだって」
「守ってくれてありがとう」
「まだまだ増やすみたいだよ?」
「多いに越した事は無いけど、あんまり増やし過ぎない様にね」
分かってくれたのかクロは俺の言葉に反応してくれたが、知らぬ間に数が増えて行くだろうなと思うのであった。
 




