ボス戦
2体目の中ボスをエレオノーラさんが難なく倒し、16階17階と順調に進んでいる。
そんな中で、エレオノーラさんからこのダンジョンのボスの注意事項を聞いていた。
「ボスの名はリッチだ。火・水・風・土の4つの属性が全て使える上に今まで出て来たスケルトン達を召喚する魔法も持っている」
「凄い厄介そうな敵に聞こえるんですけど・・・」
「Bランクの中ではかなり強い方だ。1番良いのは敵に攻撃をされる前に速攻で倒す事なんだが、それじゃあコタケ殿の練習にならないからな何度か攻撃を受けて貰う事になるだろう」
「私達3人で倒せるのでしょうか?」
「そこは問題ない。メアリー頼りにはなるが、あの槍の火力なら問題なく倒せるだろう」
「では、私はしばらく本気を出さない方が良さそうですね」
「あぁそうだな。何かあれば私達がカバーするから、コタケ殿もそんなに身構えなくて大丈夫だぞ」
今までそれ以上の強さの魔物と戦っているのだろうが、その殆どがティーや他の人達が前線で戦ってくれていたので、緊張して来るのだった。
ボス戦での動きの説明などを受け長ら、18階19階と進んで行き、遂に20階への階段の前までやって来た。
「2人とも準備は出来ているか?」
俺とメアリーさんは同時に頷き、俺を先頭に20階へと降りて行く。
真っ暗な広間の周りの松明に火が灯っていき最後の1本にに火が付くと、周りから黒いモヤが発生し広間の真ん中へと集まっていく。
しばらくするとモヤが形を成していき、ボロボロのマントを羽織り頭に崩れかけた王冠を載せた体調6m程の大きなスケルトンが出現した。
「あれがリッチだ。手筈通りに私とコタケ殿、メアリーの二手に分かれるとしよう」
敵の攻撃をなるべく分散する為に二手に分かれる作戦だ。
リッチの背後に4つの魔法陣が浮かび上がったので、俺とエレオノーラさんを守る様にシールドを展開し、離れた所に移動したメアリーさんの周りにもシールドを展開する。
今回の練習は、別々の場所に2つのシールドを展開すると言うものだ。
何度か練習はしていたので、展開自体は出来たものの少し不安だ。
リッチが魔法陣を完成させ、火の玉と岩を俺の方に飛ばして来て、メアリーさんの方には氷の塊と風の刃を飛ばして来た。
こちらに飛んで来た魔法は難なく防ぐ事は出来たのだが、メアリーさんの方のシールドは氷の塊を防いだ瞬間にパリンと割れてしまった。
「あっ!」
思わず声を上げて、風魔法を防ぐ新たなシールドを急いで展開しようとしたが間に合わずメアリーさんに直撃・・・とはならず、メアリーさん自身の力で防ぐのだった。
「コタケさん、強度が足りてない様です」
「ごめんなさい、次は気を付けます」
「1回防げたのであればまずまずだ!でも今は次の攻撃に備えるんだ」
1回目の攻撃が終わったと思ったら、リッチの前方に黒い沼の様な物が現れていた。
そして、そこから剣や弓など様々な武器を持ったスケルトンが合計で20体召喚され半分ずつこちらに向かって来る。
流石に数が多すぎてメアリーさんの防御にまで気にかける事が出来ないので、自分の防御に集中する事になった。
「そのままシールドを維持して、攻撃のタイミングを見計らうんだ。こいつらが召喚されている間はリッチは回復に専念するから攻撃の心配はしなくて大丈夫だ」
エレオノーラさんの指示の元、敵の攻撃を防いでいるが近接武器を持った敵の攻撃が終わると遠距離からの攻撃が飛んでくるので、なかなかタイミングが掴めないでいた。
「うーん、どうにか攻撃出来ないか・・・」
何か方法は無いかと考えながらタイミングを計ろうと辺りを見ていると、メアリーさんがシールドの外から槍を飛ばしているのが目に入った。
「あっ、そうか・・・そうすれば良いんだ」
俺はすかさずシールドの外に魔法を展開して、遠距離攻撃をしてくるスケルトン目掛けて放つ事で倒す事が出来た。
「ほう、なるほどな・・・」
エレオノーラさんが関心した様な声を上げた。
遠距離攻撃をする敵を倒し終えたので残りの敵も倒していく。
俺とメアリーさんが、召喚されたスケルトン達を倒し終えると再びリッチが攻撃を再開したので、先程と同じ様に離れた場所へのシールドな展開の練習をする。
今回は魔法を受けても破られる事は無かったが、ヒビが入り耐久面でまだまだ問題がありそうだ。
そんな感じで1時間程同じ事を繰り返していくのだった。
「ハァ、ハァ・・・」
「流石に疲れが溜まって来たな」
流石に長時間の耐久戦をするのはきつい。
「これ以上は厳しいかもしれないです」
「そうだな今回はここまでにしよう・・・メアリー、トドメを刺してくれ」
「分かりました」
すると、メアリーさんは数え切れないほどの槍を沢山出現させて、それでリッチを滅多刺しにするのだった。
「オオォォォォ」
リッチは雄叫びをあげながら、塵となって消えていった。
「2人ともお疲れ様」
エレオノーラさんが労いの言葉をかける。
「凄い疲れました・・・」
「だが、動き方はかなり掴めてきただろ?それに、シールドを展開しながら魔法を外に展開出来るのに気付いたのは良かった」
「メアリーさんがやっていたのを参考にしたんです。考えてみれば結構単純な事でしたけどね」
「それでも自分で考えれたのは成長の証だ」
「そ、そうですかね」
素直に褒められるのは久々だったので嬉しかった。
「そろそろ宝箱の確認しませんか?」
話しているとメアリーさんが、リッチを倒した事で広間の中央に出現した宝箱を見ながらそう言った。
「これだけ頑張ったから良い物が入ってれば良いんだけど」
そう言いながら宝箱を開けてみると、中には赤色の指輪と緑色の指輪が1個ずつ入っていた。
「これも何か効果が付与された物なんですかね?」
「恐らくそうだろうな。とりあえず地上に戻ってギルドで鑑定して貰うとしよう」
指輪をしまい、奥に出現したダンジョンコアのある部屋へと向かい、それひ触れて一瞬で地上に戻って来たのだった。
辺りは赤く染まり夕方になっていた。
もう少しで鑑定士が帰ってしまう時間になるらしく急いでギルドへ向かって鑑定をして貰った。
「こっちの緑の指輪は疲労回復の効果で、赤色の方が精神安定の効果が付いているのか・・・」
鑑定の結果にエレオノーラさんが、腕を組んでいる。
「今回活躍したのは2人だからな、どちらか1つ選ぶといい」
俺がどちらにしようかと考えていると、
「赤色の方を貰っても良いでしょうか?」
とメアリーさんが言った。
「もしかしたら、私の暴走の時に役立つかもしれませんから」
「そう言う事なら、メアリーさんが使って貰っても大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
「それじゃあ俺は疲労回復の緑の指輪か。皆んなで使うのが良さそうだな」
「よし、決まった様だし帰るとするか」
「動いてお腹が空いたのでそうしましょう」
そう言ってダンジョンをクリアした俺達は我が家へ帰るのだった。
ちなみに緑の指輪はリビングに、"ご自由に使って下さい"と書いて皆んなが使える様に置いたのだが、アリー、アンさん、リビアさんの家事をよくする3人が頻繁に利用する事になるのだった。
次回の更新1日遅れまして、9月18日になります。




