第二回ダンジョン攻略②
鍛錬の為にBランクのダンジョンに挑戦している俺とエレオノーラさんとメアリーさんは、5階層の中ボスを倒し終えて次の階層へと進んで行く。
ガシャンガシャン
鎧を来たスケルトンが歩いている音が響き渡っている。
「本当にさっきの中ボスが普通に徘徊してるんですね」
「一応Bランクの中でも難易度は少し高めの所だからな。それでも敵はアンデット系しか出ないからコタケ殿の聖剣とは相性は良いぞ」
「そうだったんですか?」
「聖剣は魔に属する者、魔物や魔族には絶大な効果を発する。その中でもアンデット系のスケルトンには特に効きやすいんだ」
「私も魔族ですからね、コタケさんとは戦いたくは無いです」
メアリーさんはそう言うが、戦ったら戦闘経験の差で普通に負けてしまいそうだ。
そんな事を話していると、2体のスケルトンと接敵した。
1体は剣をもう1体は弓を持っている。
「よし、コタケ殿は盾を展開だ」
エレオノーラさんの指示で盾を展開すると、スケルトンもこちらに気付いて攻撃態勢に入った。
まず、剣を持ったスケルトンが剣を振り上げて一気に接近してくる。
ガキンと大きな音を立てて展開されたシールドが防いでくれる。
すると、後ろの弓を持ったスケルトンが矢を放って来た。
しかも、何本も連射してくるのでシールドを閉じる暇が無い。
当然ながらシールドは自分自身の攻撃も防いでしまうので、展開しながらの攻撃は出来ない。
「後ろの弓兵は私が倒しますので、コタケさんはそちらの敵をお願いします!」
メアリーさんがそう言うと共に後方から血の槍を放ち、一瞬で弓を持ったスケルトンを粉々にした。
その瞬間に展開していたシールドを閉じて聖剣で剣を持っていたスケルトン真っ二つにしたのだった。
「シールドを保ちつつ攻撃出来ないのは少し不便だな」
「内側から攻撃出来れば便利なんですけどね、一応後方のシールドは保ちつつ前方だけ消すっていうのは出来そうなんですけど」
「しばらくは攻撃中の不意打ち対策にそれを練習していこう。遠距離の敵はメアリーにお願いする」
その後は順調に攻略は進んで行き、10階層の手前に到着した。
「この先の中ボスは、また強い奴なんですか?」
「実はこのダンジョンの10階に中ボスはいないんだ」
「という事は普通の敵が徘徊してるんですかね?」
「そう思うだろうが、実は敵が一切出現しない階層になっているんだ」
「そんな階層もあるんですね」
「この先に行ってみれば分かるのだが、広い部屋にギルドが持ち込んだ休憩用の椅子と机やベッドが置いてある。ランクが高く階層の多いダンジョンはそんな感じで休憩出来る階層が定期的にあるんだ」
そうエレオノーラさんから説明を受けて実際に10階に降りて行くと、確かに1つの広い部屋に椅子やベッドが置かれていた。
折角なので、ここで持って来た弁当食べる事にした。
「そういえば、メアリーさんはどうして今日のダンジョン攻略について来ようと思ったんですか?」
「私が暴走しない様に力に慣れておこうと思いまして」
メアリーさんが再び暴走しない様に対策を考えているが、かなり特殊なケースらしく大賢者さんでもすぐには分からないそうで止まっている状況だ。
「コタケさんの修行の機会を奪ってしまって申し訳無いです・・・」
「そういう事なら、いつでもお手伝いするので大丈夫ですよ」
「ダンジョンの宝箱は色んな効果が付随した装備も出るからな、もしかしたら関係のある物が出るかもしれないな」
弁当を食べ終えた後は、攻略を再開する。
「この先の敵もスケルトンなんですか?」
「そうだ。だが、新しい武器を持った奴が出て来る」
エレオノーラさんに言われて慎重に進んで行ったが、接敵する事なく13階まだやって来た。
「止まってくれ」
急に言われてその場で立ち止まる。
「この通路の先にさっき言った敵がいる様だ」
エレオノーラさんが指す通路は奥がT字路になっている。
そこをよく見てみると右から左に移動する人影があった。
気付かれない様にハッキリと見える位置まで近づいて行くと、フードの付いたローブを羽織り両手で杖を持ったスケルトンが歩いていた。
「あれが新しい敵ですね」
「見た目通り魔法を使うスケルトンだ。少々厄介な所があってな、試しに一回攻撃を受けてみてくれ」
そう言われて相手が気付く所まで接近すると、こちらを向いて魔法陣を展開し始めたので、こちらもシールドを展開する。
そして、魔法陣を展開し終えると火の玉と氷の塊を放って来たが、危なげ無く防ぐのだった。
「魔物が2つの属性の魔法を使えるとは驚きですね」
メアリーさんがそう言う。
「ここで出現する魔法を使うスケルトンは全ての個体が火・水・風・土の4つの属性からランダムで2つの属性を扱えるんだ。しかも、極稀に3つ以上の属性が使えたら闇属性の魔法を使える奴もいる」
「凄い厄介そう・・・」
「普通のパーティーなら苦戦するだろうから、なるべく戦闘は避けるだろう」
「私達は問題なく倒せそうですね」
そう言う様にメアリーさんが、槍で容易くスケルトンを撃ち抜いた。
「こんな感じで、ここからは魔法攻撃も気を付けないといけないのだが、大賢者殿のネックレスを付けているから殆ど問題は無さそうだな」
その後も何度か接敵しつつも問題なく進んで行き、15階に降りる階段までやって来た。
「さて、この先にいる中ボスだがスケルトンホースという名で骨の馬に乗って長槍を装備したスケルトンが1体と、さっきの魔法を使うスケルトンが3体出てくる。ここもコタケ殿の練習にと言いたい所だが、そろそろ私も体を動かしたいから譲って貰っても良いか?」
「ダンジョンに誘ってくれたのは、エレオノーラさんですから構いませんよ」
「最後のボス戦前の休憩だと思ってくれ」
そう言い、エレオノーラさんを先頭に15階へと向かう。
すると、説明通りに部屋の真ん中に骨の馬に乗ったスケルトンと後方に3体スケルトンが出現した。
敵はこちらに気が付くと、まずスケルトンホースが長槍を構えながら勢いよく突進して来た。
エレオノーラさんは落ち着いて剣で長槍を弾き返し、相手がのけ反った瞬間を見逃さず追撃を加えて、上に乗っていたスケルトンをすぐに倒してしまった。
そのまますぐに、残った骨の馬に飛び乗ると後方のスケルトン達に向かって進み出した。
スケルトン達はエレオノーラさんに向けて魔法を放つが、華麗な手綱捌きで全てを避けて馬に乗ったまま3体とも倒すのだった。
「まぁ、ざっとこんな感じだな」
俺は呆気に取られて、メアリーさんはパチパチと拍手をしている。
「倒すのが速すぎて流石というか何というか・・・」
「良い準備体操になったな」
と軽々と言うのだった。
「その馬はどうするんですか?」
「しばらくしたら勝手に消えるからこのままにしておくよ」
「でも、エレオノーラさんって馬にも乗れたんですね」
「冒険者時代の移動は馬だったからな慣れたものだよ」
馬に乗って颯爽と駆け抜ける姿はとても格好良かった。
「さて、ここからはラストスパートだな」
「この後の階に今の中ボスが出るとか無いですよね?」
「流石に通路が狭いからそれは無いな」
確かに機動力が損なわれるので、弱くなってしまいそうだ。
「それじゃあ、ボスを目指して残りも頑張るぞ!」
と16階への階段を降りて行くのだった。
思う様に時間が取れなかったので今回はここまでにして、次回でダンジョン攻略はラストになります。




