アリシア視点①
今回から2、3話くらいアリシアから視点のお話になります。
私の名前は、アリシア・ウッドフォード。
マゼル王国のウッドフォード公爵家の1人娘にして、この国の第一王子の婚約者でした。
幼少の頃より、次期王妃として相応しくなれる様に誰よりも努力して来ました。
しかし、我が公爵家の事を嫌っていた、もう一つの公爵家が派閥内の伯爵家の令嬢を使い王子に取り入り私は婚約を破棄され、良くない噂を持つ貴族の所へ嫁がされる事になりました。
父と母は最後まで必死に抵抗をして下さいましたが、ただでさえ派閥が弱くなってしまった、我が家に迷惑をかけたくなかった私は、その貴族との結婚の申し入れを受けました。
「遂に明日には相手の所へ出発ですか・・・これも家の為ですからね・・・」
何度か社交界でその貴族とは会った事はありましたが、女性を舐めまわす様な視線で見て身震いしたのを思い出しました。
「私も素敵な殿方と恋をしてみたかったです・・・」
その日は泣きながら眠りにつきました。
そして翌日、相手の貴族の護衛の騎士達がやってきました。
どうやらこちらから連れて行ける従者は3名のみになる様です。
普通であれば、こちらの家からも護衛の騎士をもっと出すはずなのですが、相手の貴族の意向な上にあの公爵家の息もかかっているので私は大人しくその提案を受け入れて、私の専属騎士であるエレオノーラと専属メイドのアンとリビアの3名を連れて行くことにしました。
相手の領地に向けて出発し3日程が経過しました。
「エレオノーラ、あとどれくらいで着くことになりますか?」
「この様子だとあと5日程で到着するでしょう」
「そうですか・・・」
「そういえば、相手の護衛達ですがあれは騎士の格好をしただけで中身は全くの別物です」
「それはどういうことですか?」
「この3日間、魔物との戦闘を見ていましたが、騎士達で有れば統率された動きをしますが、あの者達は動きがバラバラでお互いに獲物を横取りされまいといった動きでした。恐らく、領地の冒険者達に高額な依頼を出し騎士の格好をさせたのでしょう」
「エレオノーラが言うので有ればそうなのでしょうね・・・でも何故わざわざその様なことを」
「目的はよく分かりませんが、あの者達は私とアンとリビアの体に視線を向けながら下卑た笑いをしていましたので、依頼終了後、こちらの従者は好きにして良いと言われているのでしょう」
「はぁ、まさかここまで酷い状況だとは思いませんでした。確か明日は野宿になるんでしたよね?」
「そうですね、魔の森の付近を通る為に近くに宿はなく野宿をする事になります」
「そうなると、エレオノーラ達もあの者達の近くにいるのは危険ですし、離れた場所で別々に野宿をした方がいいかもしれませんね」
「しかしそれでは魔物が森から出てきた時に対処できなくなる可能性もあります。戦えるのは私だけですし、特にあの森は強い魔物ばかり生息していますから」
「大丈夫です、もしもの場合は私たちがお嬢様の壁になりますのですぐにお逃げ下さい」
アンとリビアがそう私に言ってくださいました。
「ありがとう、でも私は死にに行く様なものですし、ここで人生を終えた方が幸せかもしれませんね・・・」
ここしばらくの出来事で、かなり滅入っていた私は生きる意味も分からなくなっていました。
「決めました。明日の夜に私は魔の森に入ります。そしてそこで死のうと思います。なので、貴方達はその際にウッドフォードの領地へと戻りなさい」
「そんな事は絶対にさせません!私達は貴方に救われたのですから、何処までも付いて行きます」
そうですとメイドの2人が続けて言う。
「貴方達まで死ななくても良いのですよ」
「いいえ、死地だろうがなんだろうが、必ず最後までお供します」
(ここまで私の事を思って下さっていたのですね・・・)
「そうですね、貴方達が付いてくるので有れば簡単に死んではなりませんね。では、1度魔の森に入り死を装ってから、何処か辺境の地に逃げることにしましょう」
「ありがとうございます、お嬢様」
生きる選択肢を取った私に3人は笑顔を向けてくれた。
そして翌日の晩、相手の護衛達の隙を突いて、私達4人は魔の森へ入って行きました。
今日で投稿から、1カ月になりました。
想像よりも多くの人が見て下さって、ビックリしました!
今後も楽しんで貰える様に頑張りますので、応援お願いします!




