告白
「今日は畑を作って少し疲れたし早めに休むか」
食料安定化の為にそれなりの大きさの畑を作ったので、夕食を食べ終えた俺は休む為に自室に戻っていた。
すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえたので、ドアを開けるとアリシアさんが立っていた。
「アリシアさんどうかしましたか?」
「すみません、今お時間大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫ですよ。よければ中へどうぞ」
「はい失礼します」
アリシアさんを部屋に招き入れ、部屋の椅子に腰掛けた。
「すみませんコタケ様、お疲れの所に押し掛けてしまって・・・」
「いえ、全然問題ないですよ。それで、何かあったのですか?」
「えっと、そのですね・・・」
アリシアさんはどこか歯ぎれが悪そうにしていた。
「あっ!もしかしてそろそろ他の国に行かれるんですか?」
「えっ?あっ!違います。そういったことではなくてですね・・・」
初めてアリシアさんに出会った時、何処か辺境の地に逃げると言っていたので、遂にその時が来てしまったのかと思ったが違った様だ。
「私的にはずっとここに居させて欲しいというかなんというか・・・」
「?」
ここでアリシアさんが1度深呼吸をした。
「あの!コタケ様!私と結婚して下さいませんか!」
「え?ん?けっこん・・・?」
あまりの衝撃的な発言に思わず思考を停止してしまった。
「こんな私ではやはり相手にはなりませんよね・・・」
「いや!そんな事は無いです!アリシアさんは綺麗ですし、エレオノーラさん達だけでなく俺にもいつも優しくしてくれる素晴らしい人です!」
「き、綺麗なんてとんでもない」
アリシアさんは照れて顔赤くしていた。
「今のはお世辞でもなく本当に思った事です。でも、なんでいきなり結婚なんて、しかも会って間もない俺なんかと・・・アリシアさんにはもっと良い人が見つかると思うんですが」
「コタケ様、ご自身をそんなに卑下なさらないで下さい。私はここ最近良い事が全くありませんでしたが、コタケ様は私達を快く受け入れて下さり、食事だけで無く住む場所も下さりました。そんな、お優しい所に私は惹かれたのです・・・」
「そして何より、先日の探索の際に魔物から身をていして私のことを守ってくださったことです。お恥ずかしい話、私は昔、自身のピンチに駆けつけてくれる殿方いると夢見ていました。先日のコタケ様はまさにそのようでした」
(そういう風に思ってくれてたんだな・・・)
「アリシアさんのお気持ちはわかりました。でも、俺達はまだ会って日が経ってないですしお互いの事も知らない事ばかりですので・・・」
「そうですよね、やはりご迷惑ですよね・・・」
「なので、まずは婚約という形でどうですか?」
先程の俺の言葉を聞いて俯いていたアリシアさんがパッと顔を上げた。
「正直な所、俺自身もアリシアさんに気がないわけでは無いですし・・・アリシアさん自身、婚約には良い思い出は無いでしょうが、これからお互いの事を知っていき、それでも気持ちが変わらなければ、次は俺から気持ちを伝えたいのです」
アリシアさんは少し考えてから、
「そうですね、最終的にどうなろうと、まずはお互いの事をもっと知る事が大事ですよね!」
笑顔でそう答えてくれた。
「じゃあこれからまたよろしくお願いします?」
「ふふ、よろしくお願いします!」
俺とアリシアさんは新たな関係になった。
「では、今日はこれで失礼しますね」
「アリシアさんもお休みなさい」
「あ!そうです!良ければこれから私の事はアリーと呼んで下さいませんか?親しい人たちからはそう呼ばれていますので、あと敬語も不要ですよ」
「えっ!うんわかったよ、アリー」
と少し照れながら言うと、アリーも照れて赤くなっていた。
「あの、あとですね、私の方もコタケ様では無くてワタルさんとお呼びしても良いですか?」
「まぁ、大丈夫ですよ・・・」
「ありがとうございます。ではワタルさん、お休みなさい」
確かに家族以外の異性から、そう呼ばれると少し照れくさかった。
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