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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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迷路

ある日、買い物から帰って来たティーが大きなヒマワリ畑を見つけたと言った。

何でも、魔の森から遠くない場所にあるみたいで皆んなで行く事になったのだった。


「うわっ!本当にあるね・・・」


ヒマワリ畑を見て俺はそう言った。

ここら辺は何度も通っているが、今までヒマワリが生えているのは見た事は無かった。


「夏だから急に成長したのかな?」


「それにしたって限度があるじゃろ」


ヒマワリは高さ3mとかなり高い。こんな物があれば流石に気付くはずなのだが・・・


「あそこに入り口の様な物がありませんか?」


リッヒさんが何かを見つけて指差す方に行ってみると、ヒマワリ畑の中に続く細い道が出来ていたのだった。


「何だか迷路みたい」


シエルさんがそう言う様に、入り口から見える道の先は二手に分かれていて入り組んでいそうだった。


「入っても大丈夫かな?」


「魔物の気配はしないから恐らく大丈夫だろう」


「それじゃあ折角だし入ってみよっか」


「先頭なら私に任せてくれ」


「あっ!私も一緒に行きますよ」


エレオノーラさんが先頭を申し出て、ルインも先頭を歩くと言ったので2人にお願いする事にした。

ヒマワリ畑の中に入って行くと、周りは背の高いヒマワリに囲まれて全く景色が一緒だったので迷いそうだった。


「これは迷ったら大変そうだね〜」


オルフェさんがそう言った瞬間、ビューと強い風が吹き思わず目を瞑ってしまった。

そして次に目を開けると、目の前に居たはずのエレオノーラさんとルインが居なくなっていたのだった。


「あれ?2人が居ない・・・」


他の人に何処に行ったのか確認しようと後ろを振り返ると、そこにはアリーとシエルさんの2人しか居なかったのだった。


「他の人達は?」


「私も気付いた時には隣のシエルさんと目の前のワタルさんしか居なくなってて・・・」


「私も同じ」


「うーん、これははぐれちゃった?」


と唐突に他の人達とバラバラにはぐれてしまったのだった。


〜〜〜〜〜〜


「先頭を歩いてたら後ろとはぐれてしまったな」


「風が吹いたと思ったら皆んな居なくなってましたね」


「うーむ、剣でヒマワリを切るのも申し訳ないしな」


「あっ!それなら私が通り抜けて探して来ましょうか?」


「そうだな、ルイン頼んだ」


「はい、行って来まーす」


ゴツン


「あいたっ!」


「どうした?」


「何か見えない壁にぶつかって通れませんでした・・・」


「そんな事があるのか・・・」


「こんなの初めてです」


「仕方ない。この迷路を攻略する他ないな」


「それはそれで冒険みたいで楽しいですね」


「危険が無いとも限らないし、早くお嬢様達を見つけよう」


〜〜〜〜〜〜


「いつの間にかはぐれておったのじゃ」


「全然気付きませんでしたが魔法か何かですかね?」


「そんな気配は無かったからの・・・ヒマワリが勝手に動いたとかかの?」


「それはそれで怖いですね」


「とりあえず迷路を進んで行けば誰かに会うじゃろ。アンは妾の後ろをついて来る事じゃな」


「分かりました。お願いします」


〜〜〜〜〜〜


「リビアちゃん、ヒマワリの種って食べれるんだっけ?」


「急にどうしたんですか?」


「なんか食べれるって聞いた事があったから、どんな味なのかなーって」


「私も食べた事が無いので分かりませんが、あっさりとした味と聞いた事はあります・・・というよりも早くここから抜け出さないと行けませんよ」


「そーだね。誰かと合流しなきゃね」


「オルフェさん、魔物の気配とかはありませんか?」


「今の所は無いけど何か出たら守ってあげるよ〜」


「私は戦えないのでお願いしますね」


「はーい、任されました〜。それじゃあ1番乗り目指して頑張ろー!」


〜〜〜〜〜〜


「たーんけん!たーんけん!」


「ベルちゃん1人で行ったら危ないですよ」


「はーい」


「ヒルズさん、コタケさん達の場所って分かったりしますか?」


「先程から確認しているのですが、何かに阻害されていて分からないんです。リッヒさんは魔法は使えますか?」


「魔法自体は発動出来るんですが、ヒマワリに向けて放とうとすると、かき消されるんですよね」


「ヒマワリ自体が何らかの結界でも発動しているのでしょうか?」


「ともかく少し危険もありますが、進むしか無さそうですね」


「はい、注意して進みましょう」


「ベル探検隊、1番乗り目指してしゅっぱーつ!」


〜〜〜〜〜〜


他の人達とはぐれてから20分ほど迷路を彷徨い続けた。

初めはシエルさんに空を飛んでもらって皆んなを探そうと思ったのだが、翼を広げて飛ぼうとした瞬間、


「いたっ!」


ゴンッという何かにぶつかった音と共にシエルさんは飛ぶ事が出来なかった。

なので、仕方なく迷路を進んで行く事にした。


「結構歩きましたが、まだゴールが見えてこないですね」


「誰1人として出会わないしね。なんか本当にゴール地点に向かってるのか怪しくなって来たよ」


「今の所、魔物が出て来てないのは幸いですね」


「何か聞こえる」


アリーと話していたらシエルさんが突然そう言った。

耳を澄ましてみたが俺には何も聞こえなかった。


「あっちの方から聞こえる」


そう言いシエルがどんどん進んでいくので後を追って行く。

すると、迷路を抜けて開けた場所に出て来たのだった。


「あー!やっと見つけたー!」


そしてそこには、はぐれた筈のオルフェさんとリビアさんの2人が居た。


「お2人とも大丈夫でしたか?」


「大丈夫でしたよ。アリシア様達もご無事だった様で何よりです」


「他の方達は見てないですか?」


「私達は見てないですが・・・」


とリビアさんが言った瞬間、ガザガサとヒマワリ畑から音が鳴りそちらを向くと、


「やっと見つけたのじゃ」


「疲れましたー」


「1番乗り出来なかったー」


残りのはぐれたメンバーが出て来たのだった。


「皆んな大丈夫だった?」


「特に魔物も出なかったので危険もありませんでした」


ヒルズがそう答えて他の人達も頷いた。


「それにしてもここはなんだったんだろうね?」


「あっ、ワタルさん。あちらの方に小高い丘があるので見渡してみませんか?」


アリーが指差す方には10m程の丘があったので、登ってみる事にした。


「わぁ〜きれい〜」


目の前にはヒマワリの花が太陽の光を受けて輝きながら一面に咲いており、雲一つない青空とマッチしていた。

こんな時に、写真を撮れる物があれば思い出として残せるのになと思っていると、


「スケッチしたい!」


とベルが言った。

ベルの画力はかなりの物なので、これに期待しつつマジックバックから画用紙を取り出そうとすると、最前列のヒマワリの高さが少し伸びた様に感じた。

ジーッと見つめているとその横に生えていたヒマワリが急に伸びたのだった。


「ねぇ、今そのヒマワリが急に伸びたんだけど・・・」


「そんなわけないじゃろ?」


「本当だって、よく見ててよ」


他の人達もジーッと見つめていると、周りのヒマワリがピョコピョコと伸びたのだ。


「本当じゃな・・・」


「何これ〜」


不思議に思い見ていると、


「皆さんヒマワリの下の方を見て下さい」


リッヒさんがそう言うので見てみると、ヒマワリの根本から足の様な物が2本生えていた。

足と言っても人の様な形をしているわけではなく、先っぽが丸まった茎の様な感じだった。


「あはは、なんか今にも動き出しそ〜」


オルフェさんがふざけてそんな事を言っていると・・・



ザッザッと本当に前に進み出したのだった。


「「え???」」


皆んな口を開けてポカーンとその光景を見ていた。

前のヒマワリが進み始めると、次は後ろのヒマワリがニョキっと伸びて足を生やし前に進んで行き、後ろのそのまた後ろとヒマワリが進み大行進が始まっている。

しばらくすると最後尾のヒマワリが立ち上がり、俺達の横を通り過ぎて行った。

目の前に広がっていた筈のヒマワリ畑は、いつの間にか跡形もなく消え去った。


「何だったのあれ?」


「初めて見たのじゃ」


「あんな魔物は聞いた事も無いが・・・」


と誰1人として分かる人はいなかったのだった。


「結局、絵は描けませんでしたね」


アンさんがそう言い、あまりの出来事に忘れていたがベルに絵を描いて貰おうとしていたのを思い出した。


「大丈夫!覚えてるからお家に帰ったらお絵描きするよ!」


ベルがそう言うので、俺達はヒマワリ畑があった場所から帰るのであった。


後日、このヒマワリ達が何だったのか魔王ラヴィさんの家にある本に載ってないか調べてみると、何でも1番陽当たりの良い場所を求めて移動する植物なのだそうだ。

1本1本に魔法などを阻害する力がある様だが、それ以上の事は何も分かっていないらしい。

こんな変な植物に会う事はもう無いだろうが、衝撃的な景色に忘れる事はないだろう。


ちなみにベルが描いた絵が、この移動中のヒマワリだったのだ。

どうやら印象に残った上に面白かったから描いたそうなのだが、出来れば普通のヒマワリの状態の時を描いて欲しいと皆んなして思ったのだった。

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