食料問題の解決
なんとか危機的な状況を乗り越えた俺たちは、無事拠点に帰ってくることができた。
拠点に着いた頃には辺りも暗くなっていたので、ひとまず夕食を摂ることにした。
「今日はいつもの肉を薄めにカットし、採れたての野菜と炒めてみました」
メイドのアンさんがいうには、野菜炒めを作ってくれたみたいだ。
「野菜の旨味もあってとても美味しいですね」
とアリシアさんが言ったので、俺も一口入れてみると・・・
今まで肉と調味料だけだったせいか、とても美味しかった。
「本当に美味しいですね!」
「ありがとうございます」
アンさんがお礼を言う。
「でも、野菜がなくなったら、また採りに行かないとダメですよね・・・」
今日は魔物に襲われた事もあってあまり気乗りしない。
すると、メイドのリビアさんが、
「その必要はございません」
と言ったのだ。
「どうしてですか?」
「実は今日採れた4つの野菜の種を回収しておきましたので、こちら植えればわざわざ拠点を出て採りに行かなくても良いのです」
いつの間にかメイドの2人で、野菜の種を回収してくれていたみたいだ。
出来るメイドさんはやはり違う。
しかし、ここで俺は1つ疑問が出た。
「種を植えたとしても育つまでかなり時間が掛かるんじゃないですか?」
「えぇ、普通はそうなんですが、魔法を使う事で早める事ができるんです」
「魔法を使うんですか?」
「はい、本来であればこちらの野菜達は収穫までに2〜4ヶ月程は時間がかかりますが、魔法を使う事でどれも1ヶ月で収穫する事が出来ます」
「それはすごいですね!でもその魔法を使える人はいるんですか?」
「いますよ。人ではないですが・・・」
「え?」
「コタケ様のお供の内の茶スライムさんですが、見たところ土系の魔法が使える様です。そして、その中に“プロモート”と言う魔法が有り、それが土の中に含まれる栄養を作物などに強制的に送る事のできる物なんです」
「そんな便利なのがあるんですね。一応その魔法が使えるかクロに確認して貰いますね」
と言いクロに聞いて貰うと、どうやら茶スライムはその魔法をきちんと使える様だった。
「どうやら魔法を使う事はできるみたいです」
「それは良かったです、ちなみにその魔法は何度も使う訳ではなく、2週間に1度のみになります」
「それは何でですか?」
「この魔法を使いすぎると、野菜が美味しくなる事が無く、さらに土地自体が死んでしまうのです。昔、この魔法を積極的に使い作物を育てていた国があったみたいなんですが、作物の質は低くさらに土地に何を植えても育たなくなり、その国は滅んだそうです」
「そんな事があったんですね・・・」
「ですので、2週間に1度という頻度が味を落とす事もなく、土地にも優しいのです」
「なるほどそうなんですね。じゃあ早速明日から野菜を植えるための畑を作りましょう」
こうして、安全に食料を安定化させる事ができそうになったのだ。
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