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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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俺は夕食を食べ終えて、一風呂浴びて夜風に当たりながら家へと戻ろうとしていた。


「ふぅ〜、やっぱり温泉が家にあるとなかなか良いなぁ〜」


お風呂でリラックスして、あとは寝るだけだなと考えながら歩いていると、上空からヒューっと何かが落下して来る様な音が聞こえた。


「ん?何の音だ?」


不思議に思って顔を上げた瞬間、目の前にドーンとけたたましい音をあげて何かが衝突して地面に穴が空いたのだった。


「ゲホッ、ゲホッ」


砂煙が舞い、しばらく収まるのを待ってから、恐る恐る穴を覗いてみると、そこには1人の女性が横たわっていたのだった。


「今の音は何だ!?」


音を聞いて、家の中に居た人達も飛び出して来た。


「コタケ殿、どうしたのだ!?」


「空から急に人が落下して来て・・・」


「「空から人が!?」」


俺がそう言うと、皆んな驚いたので穴の中を見る様に指をさした。


「この女性が落ちて来たのですか?」


「うん・・・」


「とりあえず中に運びましょう」


女性は気を失っている様で、エレオノーラさんが担いで家の中へと入ったのだった。



女性をソファに横向きに寝かせて、改めて見ると普通の人では無い事が明らかだった。

髪は白色で肩まで伸びて、服装は古代ギリシアの様な白色の布を纏っており、何より背中から膝の裏まで伸びた真っ白な翼が生えているのだった。


「誰かこの人の正体分かる?」


「もしかして、私を迎えに来た天使とか?」


ルインがそんな事を言ったが、


「恐らく、翼人族かと・・・」


とアリーが違うと言った。


「翼人族?」


「はい、名前の通り翼を持つ人々の事で、背中から生えている翼を使い空を自由に飛べるそうです。時折存在は確認されていましたが人前に姿を現すことは、まず無いはずなのですが・・・」


「妾も何百年か前に飛んでいる姿を1度だけ見たの」


「そんな人がどうして空から・・・」


と話していると、


「うぅ・・・」


「あっ、目を覚ましそう」


女性は、少し苦しそうな表情をしてから、目を開いた。


「ここは・・・」


「えっ〜と、はじめまして?ここは俺達の家です」


「・・・」


とりあえず声を掛けてみたのだが、無反応だった。

女性はキョロキョロと辺りを見回してから、もう一度俺の方に視線を向けた。


「初めまして!私、アリシアと申します。よろしければ貴女のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」


とアリーが思い切って話しかけると、


「シエル・・・それが私の名前」


と話したのだった。


「シエルさんですね!素敵なお名前です。それで、シエルさんは何故空から落ちて来たのでしょうか?」


「空から・・・あぁ、確かこの森の中に灯りが見えたから、それを目指して来たら途中で力尽きて落ちたんだっけ?」


「そ、そうなんですね。お怪我とかはありませんか?」


「体は丈夫だから問題ない。ただ・・・」


シエルさんは話していると、グゥ〜とお腹の音が鳴ったのだった。


「お腹が空いた・・・」


「アン、今日の夕食の残りを持ってきて貰える?」


「かしこまりました」


アンさんは、すぐ様キッチンに向かい料理を温め直して持ってきた。


「毒とかは入って無いので、安心して下さいね」


「それは心配してない」


そう言うと、シエルさんは料理を勢い良くかき込むのだった。

料理を全部食べ終わったタイミングを見計らって、アリーが再び質問を始めた。


「シエルさんは、翼人族で間違いないのでしょうか?」


「うん、そう。この翼が証拠」


と言ってバサッと翼を広げた。


「綺麗な翼ですね」


「ありがとう」


シエルさんは少々ぶっきらぼうな感じだが、悪い人では無さそうだった。


「それで、翼人族の方は他の種族の前にほとんど姿を現さないと聞いた事があるのですが、シエルさんはどうしてこちらに?」


「私は・・・里から抜け出して来たの・・・」


「里と言うと、翼人族の方達が集まってるのでしょうか?」


「うん、私達の里は秘境にあって翼人族しか出入り出来ないから他の者に見つかる事も無い」


「そうでしたか・・・しかし、そんな大事な事を私達に喋ってもよろしいのですか?」


「ご飯のお礼。他に聞きたい事はある?」


「えっと、先程は抜け出したと言ってましたが、家出みたいなものですか?」


と俺が聞くと、首を横に振った。


「家出では無い・・・けど、里の人達の反対を押し切った勝手に出て来た」


「それはまたどうして?」


「私達、翼人族は生まれてからずっと里の中で暮らして外に出る事は無いの。偶に里の近くに警備の為に出る事はあるけど・・・そんなんだから外の世界に興味が湧いて見たくなったから抜け出して来た。でも、それは失敗だった」


「失敗?」


「それなりに大きな国の側を通ったら、兵士の弓に翼を射抜かれて、怪我して飛べなくなった。私はその国で檻の中に入れられて奴隷として買い手が付くのを待ってたんだけど、急いで翼を治癒させて、逃げ出してガムシャラに飛んで来たの」


「なるほど、それで急いでたらお腹が空いたて力尽きたと・・・」


「そう言うこと」


「それにしても、この世界に奴隷ってあったんだ」


「ほとんどの国では奴隷は禁止されているが、奴隷売買で成り立っている国もある。その国に禁止されている各国の馬鹿な貴族どもが買いに行くから、容易に叩く事もできないんだ」


そうエレオノーラさんが説明してくれた。


「じゃあ私を捕まえた国っていうのも、そこ?」


「恐らく、そうだろうな。本人の前で言うのは申し訳ないが、翼人族を捕まえたとなると大きな話題になるし、かなりの額もついただろう。奴隷になったら何をされるか分からんからな逃げて正解だ」


「それだったら、もしかして今頃、私の事探してる?」


「そうだろうが、その国はここからかなり離れているし、この森の中に入ってくる事は無いだろうから。今の内はここにいれば安全だろうな」


「やっぱり・・・でも、外は危ないって言う里の人達の言葉を無視した私の自業自得だし、ここに居たら貴女達にも迷惑をかけそうだから私は出てく」


シエルさんはそう言うと立ち上がるのだった。


「ちょ、ちょっと待ってください!今外に出るのは危険です!」


とアリーが前に立ちはだかる。


「でも、ここに居たら貴女達にも危険が・・・」


「先程も言ってましたが、この森の中に入ってくる人はそうそう居ません。それにこの家にいる人達はとても強いですから頼りになりますよ!」


「でも、貴女達にはメリットが1つもない・・・どうしてそこまでしてくれるの?」


「ん〜、私達も状況は違えど訳あってここに集まって来ましたからね。困った時はお互い様ですよ!」


「そう・・・やっぱり思った通り貴女達は優しい」


「思った通りですか?」


「私達翼人族には、相手の心を少しだけ読む事の出来る力がある。例えば、そこの角の生えた女性はお酒を飲みたいと思っている」


とオルフェさんを指して言った。


「げっ!バレてる!」


「お主、さっきまで飲んでおったじゃろうが」


「こんな感じの力を持っているから、さっき目を覚ましてから貴女達の心を読んだら本気で心配してくれてたから信用する事にしたの」


「あっ、だから毒の心配もしてないって言ってたんですね」


「そう。でも、勝手に心を読んだ事は謝る。誰しも隠したい事はあるだろうから」


「いえいえ、とんでもないです。初めて会ったのですから、不安でしたでしょうし大丈夫ですよ」


「その中でもそっちの2人の心は読めなかったから、少し不安で・・・」


とティーと俺を見ながら言ったのだ。


「そっちの小さい女性の方は・・・」


「ティーフェンじゃ」


と言いかけた時にティーが名乗った。

そう言えば、まだアリーしか名乗っていなかった。


「ティーフェンさんは何となく強い人というのは分かったけど、そっちの男性は・・・」


「コタケです」


「コタケさんは、失礼だけどあんまり強く見えなかったから・・・」


「そ、そうですか・・・」


改めて言われると、ちょっとショックだった。


「その、俺はちょっと特殊な事情があるから」


恐らく、別の世界からやって来た事が関係してシエルさんには心を読む事が出来ないのだろうと考えた。


「詳しい事情は分からないけど、他の人達がコタケさんの事を好いているのは分かったから。特にアリシアさんは」


「へっ!?」


「他の人達とは違った好きって感情が凄い伝わってくる」


「ほぉ〜、お熱いのぉ〜」


「シ、シエルさん、シッーですよ!」


アリーは顔を赤くして、慌ててシエルさんを止めるのであった。


「コホン、それはともかくシエルさんがこれから泊まるとなると必要な物を揃えないといけませんね。それに寝る場所の確保もしないといけませんね」


「私は外で構わない」


「駄目ですよ!しっかり家の中で寝てもらいます。部屋の空きが無いので、私の部屋を使って下さい。私はワタルさんの部屋で寝れば問題無いですからね!」


「そう・・・ありがとう。こんなに親切にしてくれるなんて思ってなかったから凄く嬉しい」


「あっ、でも家のお手伝いとかはしてもらいますからね!」


「それくらいは任せて欲しい」


としばらくシエルさんが住む事となったのだった。



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