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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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運動会:午後の部③

借り物競争、玉入れと終えて、遂に最後の種目であるリレーが始まろうとしている。

やはり運動会の締めの競技といえばこれだろう。

各チームから代表4人を決めて1人200m走る事になる。

勝利したチームには20点が与えられる。

現在の点差は199点対180点で19点差なので、ここで相手が勝ってしまったら、1点差で逆転負けしてしまう。

我がチームからは、エレオノーラ、フィーア、オルフェの3人に加えて俺も出場することになった。

初めはクラニーさんが出る予定だったのだが、


「あらあら、なんだか足が痛くて動けませんわ。困りましたね〜」


とわざとらしくこちらを見ながら言ってきたので、仕方なく参加する事になったのだが、相手チームからはティー、リッヒ、アイラ、メアの4人が出場するので不安しかない。


「そんなに気負わなくても良いぞ」


とエレオノーラさんがフォローしてくれたが、ここまできたら白チームに勝ちたいので、気合いを入れて行く。

走る順番は、エレオノーラ、オルフェ、フィーア、ラストに俺が走る。

相手は、メア、アイラ、ティー、リッヒの順番で走るので、何とか前の3人に差を大きく広げて欲しい所だ。


まず、エレオノーラさんとメアさんの2人が位置についてバトンを渡される。


「白チームの勝利の為にも本気で行きますよ!」


「私も手を抜くつもりはないからな!」


昼食時は仲良く食べていたが、戦いの事となると2人とも本気モードだった。


「皆さん準備は良いですね?」


審判役のアリーが声を掛ける。


「それでは位置について・・・よーい」


バンッ


とスタートの合図が鳴り響いた。

2人とも勢いよく飛び出してお互いに全く譲らない形だ。

午前の徒競走の時とは違いメアさんは、最初から本気で走っているのだが、エレオノーラさんはそれに問題なく続いている。

100mをきった所で、エレオノーラさんが更に速度を上げる。


「流石エレオノーラ様ですね・・・でも私もまだまだいけますよ!」


メアさんも勢いを増して、お互いに抜かし抜かされという状況が続いて、残り50mをきった所でエレオノーラさんが更にラストスパートをかけ前に出た。

メアさんも同じくラストスパートをかけるが、なかなかエレオノーラさんに追いつけず、10m程離されてしまった。

そして、そのまま第2走者のオルフェさんとアイラさんが待つゴールに入ってくる。


「あとは任せたぞ!」


「りょーかい!それじゃあアイラちゃん、おっさき〜」


エレオノーラさんからバトンを継いだオルフェさんがリードしたままスタートした。

少し遅れてメアさんもゴールに到着した。


「すみません、遅れました」


「いえ、問題ないですよ!」


アイラさんは、そう言うとバトンを受けとり勢いよく走り出した。

オルフェさんとの差は20m程に広がっていたのだが、だんだん差を縮めて行く。


「うえぇーー!?速すぎー!」


すぐ様横並びになり、オルフェさんを抜き去って行った。

オルフェさんも速度を上げて何とか奮闘するが、差は広がっていき30mはリードされてしまった。


「龍王様、よろしくお願いします」


「任せるのじゃ!」


先に到着したアイラさんが、第3走者のティーにバトンを渡した。

それから5秒後に、オルフェさんもゴールに到着する。


「はぁ、はぁ、ごめん・・・全然ダメだった〜」


「問題ないよ」


フィーアさんは、そう言いバトンを受け取るとドンッと一気に飛び出して行った。

物凄いスピードで走り後方には砂煙が舞っていた。

ティーとの差をどんどん埋めて行き、50mを少し過ぎた所でティーを追い抜かしたのだった。


「げっ、抜かされたのじゃ!」


フィーアさんは速度を落とすどころか更に上げていき、ティーはその後を追うがフィーアさんが速すぎるのと、


「ゲホッ、ゲホッ、前が見えんのじゃ」


フィーアさんによって巻き上げられた砂が舞ってティーの行手を妨害していたのだった。


「なんなのじゃあいつ!妾に恨みでもあるのか?」


と今日はフィーアさんに、散々な目に遭わされて怒るティーを他所に勢いそのままで、フィーアさんはゴールまでやってきて俺にバトンを渡すのだった。


「あとはよろしく!」


「頑張ります!」


フィーアさんは、最終的に70mくらいの大きな差を作ってくれたのだ。

最終走者である俺の相手はリッヒさんなので、最後に必ず追いついてくるだろうから、何とか最初から最後まで全力で走りきらないといけない。


「あれ?意外と行けるぞ?」


100mを走り俺はそう思った。

この時点で体力が尽きると思っていたのだが、まだ余裕がありそうで、日頃からアリーと一緒にランニングをしている成果なのだろう。

しかし、リッヒさんも既にバトンを受け取って差をどんどん詰めて来ている。

俺が150mの地点に差し掛かろうとすると、リッヒさんは100mに達していた。

残り50m、息もかなり上がり後ろからは猛スピードでリッヒさんが追いかけてくる。

周りからは、


「頑張れー!」


と両チームの応援が聞こえる。

160m、170m、180mとゴールがだんだん近づいてきて、リッヒさんも近づいてくる。

190m、残り10mとなった所で遂にリッヒさんが横に並びかけて来た。

しかし、ここまで全速力だった事もあってリッヒさんもかなり疲弊している様子だった。

俺は歯を食いしばり、ラストスパートを掛ける。

リッヒさんもそれに追従して、お互いに全く差の無い状態に思える。


「うおぉぉぉ!」


俺は声を上げて自分を鼓舞し目の前のゴールテープ目掛けて全力を出した。


バンッ、バンッ


と魔道具の音が2回鳴り響き、ゴールの合図が出される。


「はぁはぁ、結果は・・・」


リッヒさんが前に行く事はなかったものの、ゴールした瞬間も隣に姿があったので、ほぼ同時にゴールをしたのだろう。


「え〜っと結果発表ですが、私の目では同着に見えたのでクロさんに判定して貰いたいと思います」


審判役のアリーだけでは判断がつかなかった様で、側にいたクロが旗で判定する様だ。


「それでは結果をどうぞ!」


アリーの合図でクロがパッと旗を上げる。

その旗の色は・・・





白だった。

クロによるとリッヒさんが、半歩リードしていた様だった。


「というわけで、勝者は白チームです!これにより20点が与えられますので、白チームの逆転勝利となります!はい、皆さん拍手〜」


パチパチパチと大きな拍手が響いた。


「私達の勝ちだったんですか・・・?」


リッヒさんもどちらの勝利かまでは分からなかった様だ。


「あれだけ差があったのに負けて申し訳ないです」


俺は赤チームの席へと戻り、皆んなに謝った。


「そんな事無いですよ。コタケさんが最後まで頑張っていたのは分かりましたから!」


とテンメルスさんが言い他の人達も頷いてくれた。

今回は惜しくも1点差で敗れてしまったが、また次回があれば勝利したい。


その後、表彰式を行った。


「合計200点により、白チームの勝利をここに讃えます」


と俺は言い、白チーム代表のアリーに賞状を手渡すのだった。

ちなみにこの賞状は後日、白チームの残りのメンバーにも郵便で送るのだった。


表彰式を終えると、そのまま屋敷へと戻って打ち上げとなった。


「え〜、皆さん今日1日お疲れ様でした!この場で疲れを癒して行って下さい。では、乾杯!」


俺の音頭で開幕した。

皆んなワイワイと騒ぎながら進んで行ったのだが、まず初めに子供達が次第にウトウトとし出して、4人とも固まってソファの上で眠るのだった。

そんな可愛らしい姿を見ていると、我々大人達も疲れが溜まっているので眠くなって来てしまい、明日には皆んな帰るので疲れを残さない為に今日は早めに切り上げようとなり、打ち上げを終えるのだった。

この時に1人だけ駄々をこねて、お酒を飲むのを止めなかったのは言うまでもない。



そして翌日、午前中は帰って行く人達の見送りをした。

1名が二日酔いでダウンして参加していなかったが、皆元気そうに戻って行った。

午後からは使用したグラウンドの後片付けを行い、片付いた所で帰ろうかと思ったところ、


「せっかくだから、もう1泊して行きなさい」


というオーウェンさんの言葉に甘えて、その日は反省中のオルフェさんにはお酒を与えない様に宴会を楽しみ、翌日家へと帰るのだった。

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