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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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運動会:午前の部

俺の挨拶でスタートした第1回魔の森の家運動会。

まずは、チーム決めの為のくじ引きが行われた。

参加者は全員で28人となるので、それぞれ14人の2チームに分かれる事になる。


くじ引きの結果はこうだった。


赤チーム: コタケ、エレオノーラ、オルフェ、ルイン、ヒルズ、クラニー、テンメルス、ベルム・ラーブルク、アウエ・ラーブルク、フィーア、フラン、大賢者、ラヴィ、エムネス


白チーム: アリー、アン、リビア、ティー、ベル、リッヒ、ホープ、オーウェン、ヴァルナ、ユリア・ラーブルク、アイラ、ララ、メア、ネアン


まぁまぁ、バランスの取れたチーム分けになった様な気がする。

オルフェさんが作ったハチマキを配り、それぞれのチームの席へと向かう。


「コタケさん、あちらのチームが気合いを入れてるみたいなので私達もやりましょう!」


テンメルスさんがそう言い、白チームを見てみるとアリーが中心となって円陣を組んでいた。


「よーし!それじゃあ白チームに絶対勝つぞー、えい、えい、おー!」


「「おー!」」


と赤チームも気合いを入れて、第一種目の徒競走が始まった。

距離は100mで1レース4人の合計7レース行い、各チームはメンバーを相談して2人ずつ選出する。

各種目にはポイントが設定されており、最後に合計点で勝敗を決める。

徒競走の1位には10点、2位には5点、3位には3点、4位には1点のポイントが与えられるので、誰を何処で出すかの戦略が重要となって来る。


「まずはあっちの出方を確かめた方が良くない?」


オルフェさんがそう言うと、


「では、私が1番手を貰いますわ!」


とフランさんが名乗りをあげた。


「でしたら私もご一緒しましょう」


続いてクラニーさんが立候補して、1レース目の選手が決定しコースへと向かった。

そして、白チームの1レース目のメンバーはヴァルナさんとララさんで、相手はいきなり魔王というカードを切り最初から全力だ。


「テンメルスさん、ヴァルナさんは運動出来るほうなんですか?」


「いや、妻は運動は得意では無いので恐らく自分から立候補して様子見要員だと思います」


ティーのお世話係もしているので動けるほうだと思っていたが、これなら2人とも3位以上は取れるだろう。


「それでは、準備して下さい」


スタートの合図やゴールテープを持つ人は、各チームの手が空いている人達で行う。


「位置について、ヨーイ・・・」


バンッ


とクラッカーの様な魔道具を使いスタートの合図となる。


まず初めに駆け出したのは、当然の如くララさんだった。

流石は魔王と言った所だが、その後に続いているのがクラニーさんだった。

以前、オーウェンさんに勝負を挑まれた時に1度戦ったが、やはり前騎士団長の娘と言う事もありかなりの身体能力を誇っている。

その後ろには3番手にフランさん、4番手にヴァルナさんがいる。

50mを過ぎたところでクラニーさんが勝負に出る。

ギアをどんどん上げていき、遂にはララさんを抜かした。


「「頑張れー!」」


と皆んなの声援を背にクラニーさんが更に差を広げようとすると、ララさんが急加速し始めた。

グングンと差を縮めていき、クラニーさんを抜き返しそのままゴールした。

続いて、クラニーさん、フランさん、ヴァルナさんの順でゴールした。


「申し訳ありません。1位を逃しました」


「むしろララさん相手にあそこまで接戦になるとは思いませんでしたよ」


「魔王とは伺ってましたが、やはりお強いですね」


「それでも、お2人とも良い走りでしたよ」


「次の機会があれば勝ちたいですね」


続いて2レース目。


「相手はいきなり強い手札を切ってきたから次は温存すると思う。だからここで私が出てポイントを稼いでこよう」


エレオノーラさんの提案により、2レース目はエレオノーラさんとテンメルスさんの息子のベルム君が出ることになった。

対する白チームは、アリーとテンメルスさんの娘のユリアちゃんで、エレオノーラさんの狙い通りだった。


「エレオノーラ、手加減はしませんよ!」


「ふふ、それはこちらのセリフです!」


スタートの合図と共にエレオノーラさんが駆け出す。

他の3人を置き去りにして、どんどん前に進んで行き1位でゴールした。

その後に、ベルム君、アリー、ユリアちゃんの順でゴールした。


「流石エレオノーラですね、全く追いつけませんでした」


「やるからには全力でいきますから」



続く3レース目。

赤チームからはエムネスさんと大賢者さん、白チームからはネアンさんとメアさんが選ばれた。


「お主には絶対負けん!」


「私だって負けないよ!」


エムネスさんとネアンさんは後の2人を他所に盛り上がっていた。

スタート同時に、その2人が駆け出した。

両者譲らない攻防を広げていたが、残り30mとなった所で突如として後ろから黒い影が2人を抜き去って行った。

その影の正体はメアさんだった。

序盤は温存し、後半に一気に獣人特有の脚力を生かしてスピードアップして来たのだ。

2人が呆気に取られているうちにメアさんは1位でゴールする。

ハッと先に我に返ったエムネスさんが1歩リードし、2位でゴール。

3位にネアンさんで、その後30秒と大幅に遅れて大賢者さんが4位でゴールした。


「くっ、まさかあの様な伏兵が潜んでいたとはネアンとの勝負に勝ったのは良かったが悔しいな」


「まぁ、メアさんは獣人ですから仕方ないかと・・・それよりも大賢者さん、流石に遅すぎません?ほぼ歩いてる様な感じだったんですけど」


「ほら、私も歳ですからね。走るとギックリ腰になるんですよ」


と言うが、7000年は生きている大賢者なのだからそう簡単になるとは思えなかったが、それ以上は追及しなかった。


3レースを終えて、合計点は赤チームが29点、白チームが28点の1点差で大接戦だった。


「よし、このまま点差を広げていこう!」


続く4レース目は赤チームからはテンメルスさんとその娘のアウエちゃん、白チームからはオーウェンさんとベルが出走だ。


「父として子供達に格好悪い姿は見せられません」


「私こそ娘にはかっこいい姿を見せないといけないのでね」


テンメルスさんとオーウェンさんの父親対決が始まった。


「うおーーー!」


勢いよく飛び出したのはオーウェンさんだった。


「はっはっはっ!どうだついてこれまい!」


このままオーウェンさんが逃げ切るのかと思った瞬間、


「ぐはっ!」


ゴキッという音共にオーウェンさんが膝をついた。


「アイタタタ、こ、腰が・・・」


どうやらギックリ腰になった様だ。


「お先に〜」


テンメルスさんが颯爽と横を駆け抜けて1位でゴールをした。

オーウェンさんは結局リタイアで4位となり、ベルが2位、アウエちゃんが3位となった。

これで赤チームは更にポイントを稼ぐ事ができた。

ちなみにオーウェンさんはアリーの回復魔法でギックリ腰の治癒を受けていた・・・


続いて5レース目。

赤チームからはオルフェさんとラヴィさんの魔王コンビ、白チームからはリッヒさんとアイラさんが出る事となった。


「魔王が2人・・・負けるわけにはいきません!」


「ふっふっふっ!私達魔王コンビに簡単に勝てると思わないでね、アイラちゃん!」


とオルフェさんとアイラさんの間に火花が散っている。


「位置についてー、ヨーイ」


バンッ


まず前に出たのは、アイラさんだ。

そのすぐ後ろにオルフェさんがピッタリと付いてきている。


「ふん、大口を叩いた割にはそんなものか」


「はぁはぁ、ちょっと速くない?」


いい勝負をしているかと思ったが、アイラさんとオルフェさんの間に少しずつ差が開いてきている。

さらに後ろから、リッヒさんが追い上げてきて・・・


結果、1位がアイラさん、2位リッヒさん、3位オルフェさん、4位にラヴィさんとなった。


「もぉ〜、2人とも速すぎ!」


「日頃から鍛えていますので」


「リッヒさんの言う通りです!グータラな魔王とは違うんですよ」


「う〜、ラヴィちゃんなんか見てよ走りすぎで力尽きちゃって倒れてるよ」


「疲れました、もう動けないです・・・」


ラヴィさんは力尽きてうつ伏せの状態でだら〜んとなるのだった。


5レース目は1位と2位を取られた事で、赤チーム合計46点、白チーム合計49点と逆転されてしまった。


続く6レース目は、こちらからはヒルズとルイン、相手からはアンさんとリビアさんの登場だ。


スタートするとすぐに前に出たのはヒルズだ。

ヒルズは常に飛んでいるので、この徒競走も走るのではなく飛んでいるのだ。

本気を出して飛んでいるヒルズに、アンさんとリビアさんはなかなか追いつけずにヒルズが1位でゴールした。

そして、2位にリビアさん、僅差で3位にアンさん、4位はルインだった。

ルインはヒルズの様にがっつり飛んでいるわけではなく、フワフワと浮いているのであまりスピードは出ない様なのだ。


この6レースの結果により、なんと両チーム合計57点の同点となったのだ。


「これは最後は重要だね」


ラスト7レース目に出走する、俺とフィーアさんは位置についていた。

相手はティーとホープだ。

流石にフィーアさんとティーにはついていけないだろうから、何とかしてホープには勝ちたいが、先程ヒルズが1位だったのを考えると、同じく飛んでいるホープに軍配が上がりそうだ。


「ようやく、私の出番ね!アンタらなんか置き去りにしてやるんだから!」


「絶対に負けないからね!」


「妾もお主に負けるつもりはないのじゃ!」


何処からそんな自信がくるのか分からないが勝ち誇る様に胸を張るホープを他所に2人がヒートアップしてきたところで、スタートの合図が鳴った。

バッと一気に飛び出して、あっという間に置いてけぼりとなった。

両者全く譲らず並んでいる。

他の人達も2人の白熱したバトルに大盛り上がりだ。


「はぁぁぁぁ!」


「負けんのじゃぁぁぁ!」


もう少しでゴールとなる所で、ティーの膝が一瞬カクンとなった。

その影響でティーは失速してしまい、フィーアさんが僅かに前に出て1位でフィニッシュし、ティーは2位となったのだ。


「やったー!ティーに勝ったー!」


「ぐぬぅぅ、悔しいのじゃ」


「最後失速した様に見えたけど」


俺がそう聞くと、


「こやつと運動会が始まる前に無駄に戦ってせいで、少し疲れが出たんじゃ!」


ティーはそう答えるのだった。


「ん〜、私の作戦勝ち?」


フィーアさんはテヘッと言った様な顔で首を傾げた。


「何が作戦勝ちじゃ!あれが無かったら妾が勝っておったのに!お主とはしばらく戦わん!」


とティーは地団駄を踏むのだった。

ちなみに俺の結果は3位だった。

ホープに警戒していたが、ヒルズとは違い日頃から動いていなかったのが祟り、最初は俺よりも前にいたが少しずつ失速していき半分を過ぎた所で抜かしたのだった。


この7レース目の結果により、赤チーム合計70点、白チーム合計63点と逆転したのだった。


これで全てのレースが終わりかと思いきや、クロ達によるスペシャルマッチが始まる。

今回の運動会の内容では、クロ達の参加は難しそうだったので観戦とお手伝いをしてくれていたのだが、今のレースを見て走りたいと言ってきたので、急遽5匹のスライムによる徒競走が開催される。


「位置について、よーい・・・」


バンッ


クロ達は一斉にスタートして並んでいる。

ピョンピョンと跳ねて駆ける姿は可愛らしかった。

皆んな同じ速度かと思ったが、クロがだんだんリードしていき1位でゴールした。

続いて、2位に赤スライム、3位に緑スライム、4位に青スライム、5位に茶スライムだった。

ただ、クロ以外はあまり差がなくゴールしていた。

スペシャルマッチをして、満足そうな表情をしたクロ達は次の種目の準備に取り掛かりに行った。



第一種目を終えて20分程休憩したら第二種目の綱引きを行う。

一回きりの勝負で、勝利したチームには15点が付与される。


「よーし、それじゃあ張り切っていこう!」


順番は前からテンメルスさんの子供2人から始まり、クラニー、フラン、大賢者、テンメルス、ヒルズ、エレオノーラ、ルイン、コタケ、ラヴィ、エムネス、フィーア、オルフェの順である程度力を分散させた形だ。

1番後ろを任されたオルフェさんは責任重大だが、


「大丈夫、大丈夫!まっかせて!」


と軽く返事をし、少し心配になるのだった。


対する白チームは前から、ユリア、ベル、ヴァルナ、アン、リビア、ホープ、オーウェン、アリー、アイラ、ネアン、リッヒ、メア、ララ、ティーの順で後ろに力のある人達を集めていた。


時間差で音が鳴る魔道具を真ん中にセットして配置につく。

シーンとグラウンドが静かになり、合図を待つ。

セットから20秒が経過した所でバンッと合図が鳴り一斉に綱を持ち上げお互いに力一杯引き始めた。


「オーエス!オーエス!」


掛け声を上げて、重心を思いっきり後ろへ傾けて綱を引っ張る。

綱の真ん中には白色の紐が巻かれて下にはラインが引いてあって、ジャッジはクロがつけ、勝負の時間制限は3分間だ。


開始から1分が経過したが中心が全くズレていないので拮抗している。


「皆んながんばれー!」


後ろからオルフェさんの掛け声が聞こえる。

白チームもティーの掛け声により一層力を込める。


そして、2分が経過した所で事件は起きる。

ビューッと強い風がグラウンドに吹いた。

すると後ろから、


「うわっ!フィーアちゃんの髪の毛が顔に当たる!」


どうやら、風によってなびかれたフィーアさんの髪がオルフェさんの顔に当たり、それが気になる様だ。


「あっ、やばい鼻がムズムズしてクシャミが・・・」


と不穏な事を言い出した。


「オルフェさん耐えてー!」


皆んなでクシャミをしないでと必死に訴える。


「あっ・・・もう、ダメ・・・はっ、はっ、ハックション!」


オルフェさんがクシャミをしたのと同時に綱を握る力も緩まり、相手の力が勝ってしまい、綱を一気に引っ張られて、赤チームは前に倒れ込んでしまった。


すかさずクロが、白チームの勝利と白色の旗を掲げる。


「勝利じゃー!」


ティーの音頭で、白チームは大盛り上がりだ。

対してこちらのチームは、


「うえーん、ごめんなさーい」


と落ち込むオルフェさんを励ます事となるのだった。


綱引きの結果により、白チームに15点が加算され逆転されてしまった。


「次の種目で絶対巻き返そう!」


「「おー」」


と気合いを入れ直し、1時間のお昼休憩と入るのだった。




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