危機
昼食を摂り終えた俺たちは探索を続ける為、午前中とは違う場所へと来ていた。
「では、先程と同じく二手に分かれましょう」
と俺が提案すると、
「すまない、ちょっと待ってくれないか?」
先頭に立っていたエレオノーラさんが何かを見つけた様でそう言った。
「何かありましたか?」
そう言いエレオノーラさんの側まで行くと、そこには動物の足跡が残っていた。
「恐らく、4足歩行の生き物だな。足跡を見るにここを通ったのはつい最近の様だ」
「じゃあ近くにいる可能性があるんですか?」
「その可能性は高い。それにここは魔の森だ危険な生き物可能性が高いから、今回は纏まって動いた方が良いだろう」
「そうですね、その方が良さそうです」
それから俺たちは午前と同じく食べれそうな物を探した。
結果的にキャベツが見つかったのみだった。
「そろそろ拠点に戻る頃合いじゃないでしょうか?」
エレオノーラさんに質問した。
「そうだな、これくらいで切り上げた方が良いだろう」
そして俺たちが帰路に着こうとした時、目の前に1匹のオオカミが現れた。
「くっ、先程の足跡の正体はこいつか!」
「エレオノーラさん、こいつはなんですか?」
「ハイウルフという魔物だ。基本的に群れで行動するんだが、足跡は1匹分しかなかったから早めに叩いた方が良いだろう」
そう説明した時、目の前のハイウルフが、
ワォォォン
と遠吠えをした。
「これはマズイ!」
エレオノーラさんがそう叫んだ時、ハイウルフの後ろからぞろぞろと他のハイウルフが出てきたのだ。
「まさか奴らこちらの様子を窺ってタイミングを見計らっていたのか・・・」
ハイウルフ達は全部で10匹になっていた。
「エレオノーラさんこいつら戦って勝てる相手ですか?」
「強すぎるという事はないが、私1人では流石に厳しい」
「では、俺たちも戦いに参加します」
「そうしてくれると助かる。私は4匹程引き受けるからそちらは二手に分かれて3匹ずつ相手取ってくれると助かるんだが問題無いか?」
「分かりました。俺とクロは左にいる奴らを水スライムと緑スライムは右側の奴らを頼む」
そうクロに伝えてスライム達と二手に分かれた。
「お嬢様は危険ですので、後ろの方で待機していて下さい」
「えぇ、エレオノーラとコタケ様もご武運を!」
「エレオノーラさんが強いからといって、一人で4体はきついだろうから早く終わらせて加勢に行くぞ!」
そうクロに言い、腕輪を剣に変化させ戦闘態勢に入った。
「そういえば、クロが戦闘している所を見た事が無いんだが何か魔法を使えたりするのか?」
クロに問いかけてみると、見てろと言わんばかりに魔法陣を展開した。
すると、3匹のハイウルフ達が急に何かに押しつぶされたかの様に腹ばいになった。
そしてクロがどうだ!とこちらを見てきた。
「これはなんだろう?重力系の魔法とか?」
正解とクロは飛び跳ねた。
「よし、ナイスだクロ!このまま3匹を仕留めよう」
そしてハイウルフ達の側まで行くと、俺たちも重力魔法の影響を受けるかと思ったが、相手が腹ばいにも関わらず何も問題なかった。
(もしかして指定の相手のみに影響があるのかな?それだったらクロってかなり強くないか?)
そして俺は3匹のハイウルフの首を切り落とした。
そうすると、魔物の体は急に無くなりその場に紫色をした宝石の様な物が落ちた。
「これが魔石なのかな?」
ひとまずその魔石を回収して俺はエレオノーラさんの援護をしようとそちらを見ると、4匹だったハイウルフが2匹に減っていた。
どうやら既に2匹を仕留めていた様だ。
「さすが現役の騎士だ。俺の心配なんていらなかったかな」
ちなみに赤スライムと緑スライムだが、それぞれ魔法を展開し火の玉を槍状に変化させたり、風の刃を飛ばして難なく敵を倒していた。
「とりあえずエレオノーラさんの所に向かおう」
そう言い俺が動こうとした瞬間、アリシアさん達がいる近くの草むらからもう1匹のハイウルフが現れたのだった!
「きゃあ!」
後ろからの悲鳴にエレオノーラさんが振り向いた瞬間、前にいたハイウルフ2匹も動き出した。
「くそっ!お嬢様早くお逃げください!」
防御に回ってしまったエレオノーラさんはアリシアさんにそう告げた。
しかし、アリシアさん達は恐怖からかその場から動けずにいた。
そして、アリシアさん達の側に現れたハイウルフは襲いかかろうと動き出した。
それを見た俺は迷わずアリシアさん達の元へ急いだ。
(くっ、間に合え!)
そして、ハイウルフがアリシアさんに飛びかかって襲おうした所で、剣を盾に変化させた俺がその間に入り込んだ。
「うおぉぉぉぉ!はぁぁ!」
なんとか間一髪でアリシアさんの元に間に合い盾でハイウルフを押し退けた。
その勢いで腕輪を盾から剣に変化させ、ハイウルフを切り倒した。
「はぁはぁ、アリシアさん大丈夫ですか?」
「は、はい、大丈夫です。コタケ様の方こそケガなどされてませんか?」
そう心配してくれたアリシアさんの肩は少し震えていた。
「お嬢様!」
後ろから残りのハイウルフ達を倒したエレオノーラさんとスライム達がやってきた。
「ご無事ですか?」
「えぇ私は大丈夫よ。エレオノーラの方もケガしてない?」
「ご心配ありがとうございます。私は大丈夫です。それよりもコタケ殿助かった。お嬢様を助けてくれて本当にありがとう!」
「私からもお礼申し上げます。あなたは私の命の恩人です」
そう言いアリシアさんとエレオノーラさんは、俺に深々と頭を下げた。
「頭を上げてください。当然のことをしたまでです」
「それでも、あそこで動くことのできたコタケ殿の勇気は素晴らしいものだ」
エレオノーラさんが褒めれくれた。
少し小っ恥ずかしいな。
そして、一息ついた俺たちは全ての魔石を回収して帰路についた。
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