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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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それぞれの1日:side オルフェ

「ママー起きてー!」


「ぐはっ!」


午前8時、寝ている私の上に元気に飛び乗ってくるベルによって目を覚ます。


「ベル・・・いつも言ってるけど、その起こし方はママ死んじゃうから」


「でも、こうしないと起きないでしょ?」


だんだんと私の事が分かってきたベルは、かなりヤンチャになってきた。


「まぁいいや、さっ!ご飯食べに行こっか」


「うん!」


魔法で自分とベルの服を変えて下の階に降りて行く。


「おはよ〜」


私とベルが起きた事で、全員が揃い朝食となる。

今日の私の予定は特に無いので、午前中に狩りの手伝いをした後に、ベルと遊んでから午後には街に出掛けようと思う。



朝食を終えて、狩りの手伝いへとやってきた。

今日はリッヒちゃんが1人で行く様で私はそのサポートをする。


「オルフェさん、よろしくお願いします」


「リッヒちゃんもよろしく〜」


私達2人は家から少し離れた所にやって来た。

そこには、体長が4、5mはある大きなイノシシが群れをなしている。

私が魔法で土の壁を作り出し数匹を囲って、その上からリッヒちゃんがトドメをさす。

残ったイノシシは一目散に逃げて行くが、敢えて追うことはしない。

イノシシが群れている場所は何箇所かあるが、狩り過ぎると絶滅してしまう可能性があるので逃して、日によって狩場も変えている。


「それにしても、他のお肉も食べたいよね〜」


我が家で使う肉は、このイノシシ肉とツノが生えたウサギの肉で、それ以外の牛や豚の肉といった物は街で買い出しに行った時にたまに買うくらいだ。


「我が家の消費量は凄いですからね。こうやって自分達で取った方が安上がりですし」


「それもそうなんだけど、やっぱり牛の肉は恋しいよ」


「それなら、家の庭で飼育でもしてみますか?」


「普通の牛って、こんな所に住めるの?」


「確かに、ここには普通の生き物の方が少ないですからね」


「そうなんだよね〜。まっ、機会があったらコタケ君にでも相談してみるか」


それから2時間程で狩りを終えて家に帰ってきて、お昼ご飯が出来上がるまで1時間ちょっとはありそうなので、ベルと遊ぶ事にした。


「ベルは何してたの〜?」


「お絵描き!」


「そっかー、ママにも見せて貰っても良い?」


「うん、良いよ!」


そうして、絵を見て驚いた。


「うまっ!?」


ベルの側で、手紙を書いていたエレオノーラちゃんの姿を描いていたのだが、とてもリアルで上手だったのだ。


「絵の才能もあるとか、うちの娘天才すぎる!」


「ママも一緒にかこ〜」


「よーし、ママの腕前を見せちゃうぞー!」


と2人してエレオノーラちゃんの姿を描く事にした。

それから、手紙を書き終えたエレオノーラちゃんがこちらに気づいた。


「ん?2人とも何をしてるんだ?」


「エレオノーラちゃんの絵を描いてたんだー。見てよベルの絵を上手くない?」


「おぉ、これは確かに凄いな!こんなに綺麗に描いてもらえるとなんだか照れるな」


「本当のエレオノーラお姉ちゃんは、私の絵よりも綺麗だよ」


「ベルは、おませさんだな」


ベルにそんな事を言われたエレオノーラちゃんは嬉しそうだった。


「それでオルフェも描いたのだろう?見せてくれないか?」


「もっちろんいいよー!うますぎて驚かないでねー」


そして私は、スケッチブックに描いた絵を2人に見せた。

すると2人は口を開けてポカーンとしていた。


「なになに?うますぎて声も出ない?」


「はっ!いや、その・・・なかなか良いと思うぞ、うん」


「な〜んか、歯切れ悪くない?」


「そんな事は無いぞ、ベルも良いと思うよな?」


「う〜ん、なんか斬新!」


「斬新?私的には普通なんだけどな」


「これが普通なのか・・・服はなかなか良い物を作っているのだが絵は・・・」


エレオノーラちゃんはボソボソと何か言っていた。

ちょうど、コタケ君が側を通ったので見て貰ったのだが、何処か微妙な反応で、


「んー、キュビズムだね」


と良く分からない事を言われた。


「まぁ、独特だけど良いと思うよ」


「そう?ありがとう?」


結局他の人にも見て貰ったが、全員同じ様に微妙な反応だった。

私の絵が分からないなんて、皆んなもまだまだだ。

ちなみにこの2枚の絵は、エレオノーラちゃんにあげて部屋に飾って貰っている。


そして絵を描き終わったら、ちょうどお昼ご飯が出来ていたので食べる事にした。

お昼を食べた後は、街に用事があるので買い出しに行くアリシアちゃんとティーフェンちゃんについて行く。


「それじゃあ私は用事を済ませてくるし、2人は買い物してきていいよ」


街に到着して、私は色々と巡らないといけないので2人とは別行動をする。


街を歩きながら目的地が無いか探し回っていた。

しばらくすると、目的の場所を発見したのでそこに向かった。


「こんにちは〜」


カランカランという鈴の音と共に扉を開けて、私は1つの建物に入った。

そこには男性用、女性用問わず様々な服が売られていた。


「はい、いらっしゃい」


辺りをキョロキョロと見回しながら歩いていると、


「何かお探しですか?」


と30代くらいの男の店員が声を掛けて来た。


「え〜っと、実は自分で服を作ってるんですけど、良ければここで置いてもらえないかな〜って思いまして」


「自作の服ですか・・・ちなみに今はお持ちなんですか?」


「もちろん持ってますよ」


「よければ、見せて頂いても良いですか?」


そうして私は自分で作った服を取り出した。

そして店員は服を見てから少し間をおいて、


「うちでは無理ですね」


と言ったのだった。


「えっ!どうして・・・?」


「正直・・・」


私は置けない理由を聞いて店を後にするのだった。

その後も服屋を8軒回ったが、どこも相手にしてくれなかった。


「ここで最後にするか」


10軒目の服屋へと入り、女性の店員がいたので自作の服を置けないからと聞いてみた。


「物にもよりますけど・・・」


そう言われて、他の店でも見せた服を取り出した。

店員はそれを見るや否や、


「あー、これはちょっと無理ですね」


と言われた。


「一応、理由を聞いても?」


「今の流行は地味な色がメインなんです。この服は正直派手な色なので売れないかと」


この店も、1軒目や他の店と同じで色が派手なのが理由だと言った。

今回作った服は、黄色のワンピースで腰の辺りに小さなリボンをあしらっている。

私は今まで自分の好きな様に服を作って来ていたから、世間の流行などは全く気にした事がなかった。


「デザインは悪くは無いんですけどね、すみません」


私はそのまま店を後にして帰路に着いた。


「あっ!オルフェさーん、こちらでーす!」


買い物を終えた2人が私を呼び止めた。


「どうでしたか?服を置いてくれそうなお店は見つかりましたか?」


「それが・・・」


2人に事情を説明すると、


「なるほど、そんな事が・・・私も今はオルフェさんに服を作って貰ってますし、実家ではオーダーメイドの服でしたので流行には詳しくなくて、お力になれず申し訳ないです」


「いーよいーよ、アリシアちゃんはいつも私の服を褒めてくれるからね!」


「そもそも妾達の中に、そう言うのに詳しい奴はおるか?」


「エレオノーラはそういった事に興味は無いですし、アンとリビアもほとんどメイド服しか着ませんからね」


「リッヒも興味は無そうじゃし、ルインはそもそも服を変えれんしの・・・全滅じゃ」


「あはは、ベルも分かんないだろうしね〜。はぁ、まぁ今回は縁がなかったっていう事で」


そうして私達は家へと帰って行った。


「いただきまーす」


家に到着すると、夜ご飯がちょうど出来て全員揃っていたので食べる事となった。


「オルフェさん、なんか元気ない?」


とコタケ君が聞いて来た。


「実はね・・・」


2人に話した事を他の人達にも話した。


「そっか、流行りに乗りたい店側の気持ちも分かるから難しい所だよね。それにしても何で急に服を売ろうと思ったの?」


「それは・・・私もちょっとくらいはこの家の生活の手助け出来ないかな〜って思って」


「あのオルフェにも、そんな考えがあったとは驚きじゃな」


「ちょっと〜、ひどくな〜い?」


「ママ働き出すの?」


「ベル、ママは立派に魔王として働いてるんだよ」


「そうか?」


エレオノーラちゃんがそう口にして、皆んなもうんうんと頷いているが、魔王も立派な職業だ!


「まぁ、それはともかく、オルフェさんも狩りの手伝いとか皆んなの服を作ってくれたりして、我が家に役立つ事をしてくれてるんだから、そんなに考えなくても大丈夫だよ」


「そっか・・・それなら私は今後も自分の作りたい物だけを作ります!」


「オルフェさんには、それが一番似合ってますよ!」


アリシアちゃんも賛成してくれた。


「はぁ〜、でもこうも色んなお店に断られると悲しくなっちゃうよね。なんかモヤモヤするし今日はヤケ酒だー!」


「なんでそうなるんじゃ」


傷ついた心を癒すために、私はお酒を大量に飲むのだった。

5時間程、飲んでそろそろ寝ようと部屋に戻る。

ベルは先に部屋に戻りベッドの上で眠っていた。

起こさない様にと静かに同じベッドに入ったのだが、ベルの鼻がスンスンと音を立てると目を開いて、


「ママ、お酒くさい・・・」


「そう言わずに、一緒に寝ようよ〜」


「うー、今日はティーおばあちゃんと一緒に寝る!」


そう言ってベルは部屋から出て行った。


「ベルぅ〜」


追いかけ様にも、酔っていた私はそのままガクッと意識を失うのだった。

そして翌日、お昼過ぎに目を覚ました私にティーフェンちゃんのお仕置きが待ち受けるのだった。

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