探索
エレオノーラさんとの剣術訓練を始めて1週間程経った。
いつも通り皆んなで夕食を摂っているとアリシアさんが、
「こうも毎日同じ食事だと少し飽きてしまいますね」
と苦笑いしながら話しかけてきた。
この世界に来てから、毎日の食事はこのウサギの肉だった。アリシアさん達が来た事で所持していたマジックバックに入っていた調味料を使う事で味がついた事はいい事だったが、流石にそろそろ飽き飽きしていた所だ。
「そうですね、俺もそろそろ他の物も食べてみたいですし、何より食事が偏りすぎて体に悪そうですしね」
と俺は答えた。
「ならば、この周辺に何か食べれそうな物が無いか探索してみてはどうだろうか?」
そうエレオノーラさんが提案した。
「それは良い考えです。早速明日、皆で行きましょう!どうですかコタケ様?」
「もちろん大丈夫ですよ」
翌日、俺達は周辺の探索をする為に拠点から少し離れた所に来ていた。
今回は、俺とアリシアさん、エレオノーラさん、メイドのアンさん、リビアさんと護衛にクロと水スライム、緑スライムを連れてきた。赤スライムと茶スライムは拠点の防衛の為にお留守番をして貰っている。
「何か良さそうな物は見つかりましたか?」
俺はメイドの2人に聞いた。
彼女達は、鑑定魔法というのを使えるそうで、それを使えば食べられる物かどうか判断出来るそうだ。
「いくつか、食べれそうな野菜を見つけてきました」
そう言いリビアさんがカゴの中を見せてくれた。
そこには赤くて丸い物と緑色の細長い物と紫色をした棒状の物があった。
(ん?トマトときゅうりとナス?)
前世で食べていた野菜とそっくりの物が出てきた。
「これは、赤色の物がトマトで緑色の物がきゅうりで紫色の物がナスと言います」
(まさかの前世と見た目だけでは無く、名前までもが一緒だった)
「あぁ、やっぱりそうなんですね・・・」
「おや?ご存じでしたか」
「まぁ何度も食べた事はありますので」
「では、今後の食事に使用しても問題は無さそうですね」
と話していると、エレオノーラさんと別の場所で周辺を調べていたアリシアさんが戻って来た。
「そろそろ、いい時間ですので昼食に致しませんか?」
「そうですね。早速ですので採れたて野菜も食べてみましょう」
とアンさんが答えた。
「あら、何が採れたのですか?」
そう言いアリシアさんがカゴの中を覗くと、突如アリシアさんがワナワナと震えた。
「ねぇ、アン?ここにある赤い物はトマトに見えるのですが・・・」
「えぇそうですね。そちらはトマトになります」
「うぅ、どうしてなのよー!」
とアリシアさんが涙ながらに叫んだ。
一体どうしたんだと俺が不思議な顔していると、
「お嬢様様はトマトが苦手なのだ」
ボソッとエレオノーラさんが耳うちしてきた。
(まぁ確かに前世でもトマトが苦手な人はいたしな)
「ねぇアン、私の分のトマトは他の方に分けて差し上げても大丈夫ですよ?」
と提案したが、
「ダメです!ただでさえ食事が偏っているのに好き嫌いで食べないのは許しません!」
とアンさんに怒られていた。
そこでアリシアさんは涙目ながらに俺の方見て助けを求めてきたが、俺は頑張ってと言わんばかりに親指を立てた。
それを見たアリシアさんは膝から崩れ落ちた。
その後、アリシアさんはきちんとトマトを食べたのだが、しばらく苦い顔していた。
次回はこちらのお話の続きです!