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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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ありふれた景色

ララさんのお城で1泊した翌日、前日に約束した通りララさんがオススメする場所に連れて行って貰う事になった。


朝食を終えて準備をして、目的地までは歩いて行くそうだ。

この街は北、東、西は平野となっており畑で小麦などを栽培している。

そして南には、緑豊かな森が広がっていた。

今回向かうのはその森の方らしい。


「今から向かうのはどんな所なんですか?」


「私が疲れた時に心を休める為に行く場所です」


ララさんは、それだけしか教えてくれなかった。


「あっ!危ない所では無いので安心して下さいね」


とりあえずは戦ってストレス発散をする様では無さそうなので安心だ。


「そう言えばエレオノーラさんに昨日の優勝賞品の1年分の筋肉増量剤が届きましたがどうされますか?」


とララさんが聞いた。


「もう届いたのですか・・・」


エレオノーラさんは苦笑いしつつそう言った。


「もし不要でしたら知り合いに渡しますが?」


「是非そうして下さい」


と全て他の人に譲る事になったが、筋肉増量剤と言うのが一体どんな物なのかは少し気になる所ではあった。


話しながら歩く事20分で森へと到着した。


「ここからは少し坂道となっていますので気をつけて下さい」


急な坂ではなかったが、更に20分歩き200mくらいの標高に達した所で、洞窟の目の前で止まった。


「この先にあるんですか?」


「えぇ、そうです。暗いですから足元に気をつけて下さいね」


魔法を使える人達が、小さな火を灯し洞窟内を照らしながら歩く事5分、外の明かりらしきものが見えてきた。


そして洞窟を抜けると、緑の木々に囲まれた小さな池と小屋が建っていた。

木々は風に揺らされ、そこから木漏れ日が差し込み温かな雰囲気のある場所だった。


「素敵な場所ですね」


「偶然見つけて、それ以来静かに過ごしたい時には来ているんです」


「あの小屋は、元々あったんですか?」


「いえ、私が一から建てました。今でこそ綺麗に見えますが、初めは慣れなくて、ボロボロの小屋ができた物です」


ララさんは笑いながら言った。


「どうして、ここに俺達を・・・?」


いつも1人でゆっくり過ごしているなら、他の人を連れて来たくないはずだ。


「たまには、誰かと話しながら過ごしてみたかったんです。ほら、私は独り身ですから。コタケ殿達を見ると羨ましくて」


「なに〜ララちゃん寂しかったんだ〜?」


「そ、そうだ!なにか悪いか!」


ララさんは顔を赤くしながらそう言った。


「あはは、かわいい〜」


「その、普段から森に住んでいるからつまらないと思うかもしれないが・・・」


「そんな事ないですよ。俺達の住んでる所とは全く違った場所なので」


魔の森は太陽が全然入り込まない程木々がうっそうとしているので全体的に暗いのだ。

それでも、家周辺は木々を切っているお陰でまだ明るい方だ。

それに対して、この森は太陽の光がよく差し込み明るく、鳥のさえずりも聞こえてくるので、とても落ち着くのだ。


「それなら!」


とララさんは、バサッとシートを広げると、その上に3つのバスケットを置いた。


「まずは、食事としましょう!」


シートの上に置かれたバスケットの中には、サンドイッチなどの食べ物が入っていた。


「いただきまーす」


皆んなで一斉に食べ始めた。


「ん〜おいしい〜!」


皆んな口々にそう言った。


「これは城の者に作ってもらったのか?」


「いえ、実は自分で作りました・・・」


ティーが聞くと、ララさんはそう答えたのだった。


「えぇー!ララちゃん料理できたの!?」


「まぁ、ちょっとだけ・・・」


「なんか負けた気分」


「なんならラヴィも作れるぞ」


「うそでしょ!?」


「そもそもラヴィは1人で暮らしているんだから自炊出来ないといけないだろう」


「じゃあ料理できないのって私だけ・・・」


「オルフェも母親になったのなら少しは料理を練習した方がいいだろ?じゃないと、ベルの母の味があそこの2人に取られるぞ?」


とララさんの手料理を調べながら食べているアンさんとリビアさんを指差しながら言った。


「ぐぬぬ・・・善処します」


「でもララさんが料理をするなんて意外でしたね」


「ここでゆっくりしたり、料理をしたりすると気分が紛れるんです。貴族社会は何かと気苦労が多くて」


「その気持ち分かります!」


ララさんの言葉に強く反応したのはアリーだった。


「そう言えばアリシアさんも、公爵家の出身でしたね」


「はい、私も国にいた頃は派閥だのと大変な思いでした。王様であるララ様は更に気苦労があって大変ですよね?」


「そうなんですよ。私の国にも2つの大きな派閥があるのですが、どちらかに肩入れし過ぎない様にバランスを取るのも大変で・・・」


と2人の会話が弾んでいった。

お昼を食べ終えるとそれぞれ自由に過ごしていた。


ベルとルインがヒルズを追いかけて、鬼ごっこ?の様な遊びをしている。

オルフェさんは、


「弟子にして下さーい!」


とアンさんとリビアさんに頭を下げていたり、エレオノーラさんとティーとリッヒさんは食後の運動と言い、戦闘訓練をしている。

アリーとララさんは、まだ貴族社会の話をしている様で時折、『毒』などの危険な言葉も聞こえてくる。

クロ達は、何処だろうと辺りを見回すと温かそうに日向ぼっこをしていた。

俺もそこに行き一緒になって寝っ転がった。


「はぁ〜、落ち着く〜」


温かな日差しにリラックスしていると、だんだんウトウトして眠たくなって来てしまった。




「ワタルさん、起きて下さい」


と俺を呼ぶアリーの声が聞こえて来た。


「あっ!起きましたか?」


「あれ?もしかして寝てた?」


「ふふ、それはもうぐっすりと」


どうやら気持ち良過ぎて眠ってしまっていたらしい。

俺の周りには、他の人達も集まっており何やらニマニマと笑っていた。


「なにかあった?」


「ワタルさんが、可愛らしい寝顔で眠ってましたので」


皆んなに寝顔を見られてしまった様で、とても恥ずかしい・・・


「おや?目を覚ましましたか」


ララさんが木々をかき分けながらやって来た。


「丁度良かった。こっちについて来てください」


そう言うので、ララさんの後を追い木々の中へと入って行った。

長い時間寝てしまっていた様で、辺りは夕暮れ時ですっかり赤く染まっていた。

ガサガサッと木々をかき分けなかながら抜けると、目の前には夕陽に染まり黄金色に輝く小麦畑と、城下街を見下ろす事ができた。

街では、街灯がポツポツと灯り、酒場と思われる場所に多くの人が入って行くのが見える。


「私はここからの景色がとても好きなんです。民達のなんでもない日常を見る事で、この景色を守っていきたいと思えるんです」


「素敵ですね」


「さて!私のしたかった事も出来ましたし帰りましょうか!」


行きと同じ道で城へと帰ると夜になったので、そのままもう1泊させて貰う事になった。

そして翌日、


「皆様、我が国はどうでしたか?」


「とても良い所でした」


「それは良かったです。またいつでも来て下さい」


「次会う時はもっと砕けた口調でも大丈夫ですよ」


「えっ?」


俺の言葉にララさんは驚いた。


「気付いてないかもしれませんが、オルフェさんと話す時は砕けた感じで、他の人と話す時は改まった感じだったので」


「確かに昨日、オルフェに堅いと言われて直そうとしましたが、無意識のうちに・・・」


「まぁ、もしそっちの方が楽なら無理強いはしませんが」


「いや、次からは気をつけるとしよう!と言うわけで改めてまた遊びに来てくれ!」


「えぇ、楽しみにしてます」


そして、ドラゴンに乗ってレイザさんの案内の元、我が家へと帰って来たのだった。

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