鍛錬
新しく家を建て終えて、昼食を摂り終えた所で、
「アリシアさん。エレオノーラさんと少しお話しをしたいのですが、大丈夫ですか?」
とアリシアさんに問いかけた。
「? えぇ、もちろん大丈夫ですよ?エレオノーラ行ってきなさい」
「承知しました」
アリシアさんの許可も得たので俺はエレオノーラさんを連れて家の外に出た。
「それで話とは何だ?」
「よければ、俺に剣術を教えてくれないでしょうか?」
「それくらいなら別に構わないのだが、何故剣術を学びたいんだ?」
「今はスライム達が守ってくれていますが、この森はかなり危険な場所の様ですし、自分の力である程度身を守れる様にしたいからです」
「なるほど、そういう事か・・・では明日より剣術の指導を行おう」
「ありがとうございます」
翌日、エレオノーラさんとの剣術訓練が始まった
「では、まずどれくらいの事ができるか模擬戦で試してみよう」
「いきなり模擬戦ですか・・・剣術のけの字も知らないんですが大丈夫ですかね」
「いきなり、剣を扱える者などいはしない、コタケ殿がどれくらい動けるか確認したいだけだ。気負わずに攻撃してこい。それと使うのは真剣だ」
「えっ!それは危なくないですか?」
「心配するな怪我を負ってもお嬢様が治癒魔法で助けてくれる」
と後ろで訓練を見学しているアリシアさんを見ながら言った。
(まさかアリシアさんが魔法使えるとは驚きだ)
「よし、では始めるぞ。いつでもかかってこい!」
そう言われて、俺は腕輪を剣に変化させてエレオノーラさんに突撃した。
キン キンとお互いの剣がぶつかり合う。
エレオノーラさんは、手加減してくれているのか俺がついていけるレベルの速度で攻撃をしてくれている。
その後、しばらく打ち合いをしていたが、流石にこちらの体力が持たなくなってきた。
俺がはぁはぁと息を切らしてきた所で、
「よし、ここまでだ」
「あ、ありがとうございました」
「コタケ様、お疲れ様です」
疲れている俺に、アリシアさんが水を持ってきてくれた。
「それで、エレオノーラ。コタケ様の実力はどうでしたか?」
「正直なところここまで動けるとは思っていなかった」
「え?本当ですか?」
エレオノーラさんにそう言われて俺は驚いてしまった。
「あぁ、コタケ殿は剣術を知らないと言っていたが実際の動きは中級の冒険者くらいといったところだった」
「えっと、中級の冒険者ってどれくらいのレベルなんですか?」
「そうだな、まずコタケ殿は冒険者のランクという物を知っているか?」
「いえ、知らないです・・・」
「では、そこから説明しよう。冒険者のランクはFランクから始まり依頼をこなしていく事で、ランクが上がっていく仕組みだ。ちなみに最高ランクはSランクで数多くいる冒険者の中でもほんの一握りしかいない。このランクの中で中級と言われるのがDランクとCランクだ。DランクはオークというFランクやEランクの者には厳しい魔物1体を1人で倒せる力がある。そしてCランクはこのオークを2〜3体を1人で倒せる力がある。コタケ殿の実力はそのDランクとCランクの間といった所だ」
「なるほど・・・」
「でも、何故初心者のコタケ殿にここまでの力があるのかが謎だ」
と2人で悩んでいると、
「コタケ様が持っている腕輪の力じゃ無いでしょうか?」
とアリシアさんは言った。
それを聞いた俺は少し考えて、
「その可能性はありそうですね。剣術だけじゃなく、今まで家を建てた経験も無いのに簡単に作れてしまいましたからね」
「なるほど、コタケ殿の力はその腕輪から来ているのか・・・しかしそれでは今後成長する事は無いだろうからしっかりと訓練をしていかないとだな。それに少し剣が使えたからといって今の体力では十分に戦えないな」
(確かに腕輪に頼りっきりはダメだし、今回の模擬戦も10分も持たずに息切れしていたから体力も上げていかないと・・・)
「よし、では明日からコタケ殿にはこの拠点周辺を走り込んでもらいその後から私と打ち合いながら指導していく事にしよう」
「明日からよろしくお願いします」
こうして、エレオノーラさんとの鍛錬が始まった。
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