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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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ルードフラワー

ルードフラワーと呼ばれる花を探しに、フリードリークと言う寒い国へ大賢者の転移魔法でやって来たのだが、目的の花を探していると、先行していたルインが青色のドラゴンを引き連れて戻って来たのだった。


「なに連れて来とるんじゃー!」


「ごめんなさいー!見えてないと思って近づいたらバレちゃいました!」


とルインは泣きながら、こちらへ合流した。


「仕方ないのじゃ・・・」


ティーはそう言うとドラゴンの姿へと変身して、咆哮を上げた。

ドラゴンは、ティーの姿に驚き警戒しながら歩みを止めた。

青色のドラゴンの大きさは20m程に見え、ティーの半分くらいだった。

少し見合った後に、ドラゴンがティーに突進して来た。

ティーは右の前足を振り上げてドラゴンの顔面へと叩きつけた。

ドラゴンはドシーンという音と共に倒れ込んだのだが、


「なんじゃこいつ、めちゃくちゃ冷たいんじゃが!」


とティーにも少しダメージがあった様で、火の魔法で前足を暖めていた。

ドラゴンはすぐさま起き上がり、ティーに勝てないと思ったのか、次は俺とルインの方を向いて突進して来た。

俺はすぐさま腕輪を盾に変化させて身構えたのだが、ドラゴンの足が真上に来た瞬間に、


(あっ!死ぬかも・・・)


と予想以上の大きさにそう思ってしまい目を瞑った。

しかし、俺は踏み潰される事はなく、キーンと言う音と共にドラゴンがドシンドシンと後ろへよろめいた音がした。

目を開けると前にはエレオノーラさんが立っていた。

どうやら、剣で相手の足を弾き返した様だ。


「早く後ろに避難するんだ!」


エレオノーラさんの指示の元、俺とルインはその場から距離を取った。

ドラゴンは、すぐさま体勢を立て直して再びエレオノーラさんへと前足を振り下ろした。

すると今度は、ティーが横から突進してドラゴンを吹っ飛ばした。


「グルゥゥゥゥ」


ドラゴンは、うめき声をあげて少し怯んでいた。


「どうじゃ?相手出来そうか?」


「意外と重い一撃でしたが、まだ何とか大丈夫そうです」


「かなりの力で殴ったのじゃが、全然傷がついておらんの・・・」


ティーはドラゴンの様子を見てそう言い、2人で作戦を立て始めた。


「あれ?そういえば大賢者さんは?」


ドラゴンと遭遇してから、戦いに参加していないのを思い出した。


「あそこでウロチョロしてますよ?」


ルインが指差した方を見てみると、大賢者は雪をかき分けながら何かを探していた。


「大賢者さん何してるんですか!?」


「もうちょっとで集まりそうなんですよ、待ってて下さいね」


とよく分からないが何かを探して集めている様だった。

その間にも、エレオノーラさんとティーの2人でドラゴンに対峙していた。

ティーがドラゴンからの攻撃を防ぎ、エレオノーラさんが隙をついて剣でドラゴンの懐に入り攻撃したり、逆にエレオノーラさんがドラゴンの注意を引き、その間にティーが火の魔法をドラゴンに放つなど色々と試していた。


「はぁはぁ、全然倒れませんね・・・」


「攻撃が効いておらん様に見えるんじゃが?」


「一応近くで見ると傷は付いているのですが、あまり気にしている様子は無さそうです」


「なるほどの、自我が無いのかもしれんな。もしあったら龍王である妾に敵対する事なぞ、ほぼないじゃろうしな」


「それにしても、どうやって倒しましょうか?」


「あの2人にも手伝ってもらうかの?」


とティーがこちらを見て来た。


「そうですね。コタケ殿!すまないが、遠距離からの攻撃を頼めるか?それとルインには相手を撹乱して欲しい!」


「了解です」


俺とルインはエレオノーラさんの指示に従い戦いに参加する事になった。


(遠距離からの攻撃・・・弓とかかな?)


そう思い腕輪を弓に変化させたのだが、よくよく考えたら射る為の矢を持っていない事に気がついた。


(うーん、どうしようかなぁ?魔法で何か作れるかな?)


どうにかして矢を作れないかと考えた結果、魔法で氷の矢を作り出した。

試しに弓に氷の矢をセットして撃ち放った。

矢はしっかりとドラゴンの体の側面へとヒットしたのだが、カキンッと弾かれ矢が刺さる事は無かった。


「コタケ殿、ドラゴンの体は氷の鱗で覆われているから別の柔らかい所を狙うんだ」


とエレオノーラさんが戦いながらアドバイスしてくれた。

俺は何処か狙う場所はないかと模索し、目を狙う事にした。

だが、動き回っているドラゴンの目を狙い通りに撃つのはかなり難しかった。


「ほ〜ら、こっちですよ〜」


俺が苦戦しているうちにもルインがドラゴンの注意を引いていた。

ドラゴンはルインに対して何度も攻撃をしていたが、スカッとすり抜けて全く攻撃は効いていなかった。


「ドラゴンなんて怖くないですねー!」


と調子に乗っていると、ドラゴンは口をガバッと開けてルインを食べようとした。


「ギャー!食べられるー!」


それに驚いたルインが一目散に逃げ出した後、ドラゴンはバクっと口を閉じ動きを止めた。

俺はその瞬間を逃さず、目を狙い矢を放ち見事命中した。


「ギャオォォォォ」


片目を射抜かれたドラゴンはジタバタと暴れだした。


「ナイスだ、コタケ殿!」


そこにすかさずエレオノーラさんとティーが追撃を入れると、ドシーンとドラゴンは遠くへ飛ばされて倒れた。


「やったー!倒せました!」


とルインが喜んだ。

俺も倒したと思い、一息つこうとした瞬間、


「ガオォォォォ」


と再びドラゴンが起き上がったのだった。


「しぶとい奴じゃの〜」


なかなか倒せないドラゴンに辟易していると、後ろから、


「いや〜皆様、お待たせしました〜」


と何かを探していた大賢者が戻って来た。


「そういえばお主がおるのをすっかり忘れておったわ。というか今まで何をしておったんじゃ?」


「こちらを探してたんですよ」


そう言う大賢者は、直径3cm程の石を20個くらい両手に持っていたのだ。


「石?」


「はい、ただの石ですが、これをこうするんです」


と言って両手を振り上げると、石が凄い勢いで上空へと上がっていった。


「今何したんですか?」


「魔法で石を遥か上空に飛ばしました」


一体なんなのだろうと思っていると、


「メテオ」


と大賢者がボソッと呟いた瞬間、赤く光った物体が空からドラゴンへと降りそそいだ。

謎の物体はドラゴンの体を貫通して体の隅々に穴をあけた。


「グオォォォォ」


とドラゴンは叫びながらそのまま息絶えた。


「もしかして、倒したんですか?」


「はい、終わりましたよ」


と大賢者はドラゴンをあっさりと倒してしまった。


「今のは一体なんじゃ?」


「私のオリジナル魔法で、石を遥か上空に飛ばして目標地点へと落下させるんです。落下の際にも加速させて、更に火の魔法も追加させる事で熱を持ち流星の様に相手へと降りそそぐんですよ」


「だからメテオって言ってたんですね」


「ただ、この魔法には欠点がありまして、手元に石が無いと発動出来ないんです。なので、今回の様に雪で埋もれたりしていると探すのに手間取っちゃうんですよね」


「なかなか不便そうですけど、他の物で代用とか出来ないんですか?」


「色んな物で実験はしてみましたが、結局普通の石が1番安定したんですよね」


「それなら常に石を持っておくしか無さそうですね」


「今回は準備をしていなかったのが仇になりましたよ」


「ともかく倒せたのじゃし、良しとするのじゃ。それよりも戦利品の確認はしなくても良いのか?」


「おぉ!そうでした!初めて見る魔物だったので素材に期待ですね!」


と楽しそうにドラゴンの死骸へと向かう大賢者の後をついて行ったのだが、側まで行くと違和感があった。

それは、倒したはずのドラゴンの色が青色から茶色へと変わっていたのだった。


「おかしいですね?先程まで青色のドラゴンと戦っていた様な気がするんですが?」


「なんならちょっと小さくなっておらんか?」


ティーの言う通り、体の大きさも20mから10m程に縮んでいたのだった。


「これは、アースドラゴンだな」


死骸を見てエレオノーラさんがそう言った。


「色んな地域に生息している一般的なドラゴンだが、どういう事だ・・・?」


結局、アースドラゴンの素材は必要無いとの事で死骸は燃やして灰にしたが、大賢者は見るからに落ち込んでいた。


「ひとまず、当初の目的通りルードフラワーを探すの再開しよう。ルイン、先程何か見かけなかったか?」


「本物を見た事が無いので分かりませんが、それらしき物ならドラゴンに追いかけられる前に見かけました!」


と言うので、ルインについて行き、丘になっている所を登ると、バラと同じ形をした空色の花が一面に咲いていたのだった。


「綺麗ですね、これが目的の花なんですか?」


「あぁその通りだ。この辺一帯にしか咲かない花だ。とりあえず10本程あれば問題無いそうだから早速摘んでしまおう」


とその花を摘み、マジックバックへと収納した。


「なんか、あそこら辺だけ荒れてませんか?」


ルインが何か気づいた様で指を差してそう言った。

ルインの言う通りその場所だけ、花が食い散らかされた様になっていた。


「状況的には、さっきのドラゴンがやったんじゃろうな」


「ふむ、そうすると先程のアースドラゴンがルードフラワーを食べ突然変異を起こして、あの様な姿になった可能性がありますね。前例が無いので分かりませんが、これは1度持ち帰って調べてみた方が良さそうですね」


と大賢者も花を数本摘んでいた。


「それじゃあこれで目的も達成したし、帰ろうか?」


「それでは皆様を転移させますね」


「あっ!帰りの分は大丈夫ですよ」


「もしや龍王様に乗って帰るのですか?」


「実は知り合いに転移魔法を使える様になった人がいまして、その人に自分達の家に帰れる魔法陣を作って貰ったんです」


「私以外にも転移魔法を使える人が居たんですか!?」


大賢者はラヴィさんの話を聞いて、とても驚いていた。


「最近になって覚えたそうですよ」


「それは凄いですね、もしかして私以上に魔法の才能を持っているのでは無いですか?」


「どうですかね?本人は魔法が好きみたいですが」


「今度、是非お会いしたいです」


「人見知りな人ですけど、伝えてみますね」


そうして、別れの挨拶を済ませて大賢者は先に転移でラーブルクへと帰っていき、俺達も魔法陣を使い家へと帰る事にした。

ティーが魔法陣に魔力を通すと、光に包まれて一瞬で森の家へと到着していた。

知らない場所に出たらどうしようと考えていたが、問題なく無事に戻ってくる事が出来た。


翌日、エレオノーラさんは街へと向かいルードフラワーをギルドへと渡して来た。

その際に、住み着いていたドラゴンを倒したと伝えると追加で大量の報酬を用意すると感謝されたらしい。


それから、今回は家に残っていた人達へのお土産もあった。

それは現地に積もっていた雪だ。

皆んな雪を見た事が無いと出発前に聞いていたので、マジックバックに入れてあった樽に雪を詰め込んで来たのだ。


「わぁ〜、冷たくて気持ちぃ〜」


と初めて雪を触ったベルは大喜びだった。


「それにしてもこの大量の雪はどうするのですか?」


アリーにそう聞かれた俺は、おもむろに雪を丸めてオルフェさんの方に投げた。


「うわっ!冷たっ!」


「こうやって、遊ぶんだよ」


「やったなー?覚悟しろー!」


オルフェさんは雪玉を投げて反撃したが、瞬時に腕輪を盾に変化させて、それを防いだ。


「あっ!ちょっとそれ反則ー」


「ふふ、楽しそうですね。私も参加します!」


とその日は皆んなで雪合戦をして遊んだのだった。







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