表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/530

ある日、エレオノーラさんが神妙な面持ちで買い出しから帰って来た。


「エレオノーラ、どうかしたのですか?」


「実はギルドである依頼を受けてくれないかと言われまして・・・」


Sランクの冒険者であるエレオノーラさんに頼む依頼と言う事は、かなりの難易度の予感だ。


「そんなに大変なんですか?」


「とある花の採取を依頼されました」


「花の採取?あまり難しそうには聞こえませんが・・・」


「その花はルードフラワーと呼ばれている物なんです」


その名を聞いてもアリーは、あまりピンと来ていない様子だったのだが、近くにいたリッヒさんが手を挙げて、


「私、その花聞いた事あります。確か寒い所にしか咲かない花ですよね?」


「リッヒの言う通り、この花は北のフリードリークという寒い国にしか咲かない貴重な物で、主にすり潰して薬として使用されているのです」


「なるほど、それで取りに行くのも大変なんですね」


「気温の問題も確かにありますが、今は1年の中でも暖かい方なんです。それでも-10℃程ですが・・・」


「気温の他に何か問題があるのですか?」


「その花が咲いている場所にドラゴンの様な生物が住み着いたと言われまして、本来で有れば定期的に地元の者が採取し輸入されているのですが、その生物が住み着いた事で近づけなくなったと各地のギルドに依頼が回っているそうなのです」


「そんなに急を要する物なんですか?」


と俺は聞いた。


「希少な病気を治す為の薬としても使われているのだが、それを管理している国の在庫がほとんど無いそうで急いでいる様だ」


「それでエレオノーラは依頼を受けるのですか?」


「流石に場所が遠すぎるので断ろうかと、もしティーフェン様に移動をお願いできても片道で1日はかかりますので」


「確かに遠いですが、あまり納得した表情をしてませんね?」


「今回の依頼の難易度はSランクのみなんですが、私以外に動ける者が居ないそうでして・・・」


「なら受けましょう!」


とアリーが即答した。


「しかし、ティーフェン様の都合もありますし・・・」


「そこは私が何とかお願いしてみましょう!」


「よろしいのでしょうか?」


「勿論ですよ!」


そう言いアリーは早速ティーを連れて来た。


「片道1日か・・・流石に遠くないか?」


「そこを何とかお願い出来ないでしょうか?」


「う〜む・・・おっ!そうじゃ!ラーブルクにまだ大賢者がおるかもしれん。彼奴なら転移魔法で飛ばせるかもしれんぞ」


「なるほど!確かに大賢者様なら出来そうですね」


「だとすると、あとは帰り道が問題ですが・・・」


「ラヴィさんから貰った魔法陣の紙は使えないのかな?」


俺はふと思い、そう言った。


「恐らくあの紙は、この家とラヴィの家を繋いでおるんじゃないのか?だから出来ないと思うんじゃが」


「実際に本人に聞いてみますか?」


という事で、ラヴィさんの家へとやって来た。


「なんか、また散らかってるんだけど・・・」


片付けを手伝って以来まだ来てなかったのだが、以前と同じとまではいかないものの、再び家の中に本が散乱していた。


「あっ、み、皆さん、こんにちは」


「こんにちは、ラヴィさん。その、また本が散乱している様に見えるのですが・・・」


「す、すみません!ついクセで。い、今片付けますね」


アリーにそう言われて、すぐに魔法で本を元の位置へと戻した。

片付けが終わったところで、


「そ、それで皆さんは何をしにいらしたのでしょうか?」


「1つ聞きたい事があるんじゃが、この魔法陣の紙はどこからでも妾達が住んどる家に帰る事が出来るのか?」


「い、いえ残念ながら、この場所からのみになります・・・」


と申し訳なさそうに言った。


「やっぱりそうじゃな」


「も、もしかしてそう言った魔法陣が欲しいのですか?」


「急遽必要になったので、もしそれが出来たら良かったのですが、ラヴィさんが気にしなくても大丈夫ですよ」


アリーはそう言ったが、ラヴィさんは少し考えてから、


「2日程頂ければ作れるかもしれないです」


「本当ですか!?」


「もしかしたら作れないかもしれませんが・・・」


「可能性があるだけでもありがたいです!是非作って頂けませんでしょうか?」


「わ、分かりました。やってみます」


こうして、何とか帰りの手段も出来そうになったのだ。

その日はエレオノーラさんが再び街に行き、クエストを正式に受けて来たのだった。



そして2日後、再びラヴィさんの家へとやって来た。


「あっ、皆さんいらしたのですね・・・」


「ラヴィさん、魔法陣の方はいかがでしょうか?」


「い、一応完成はしました・・・」


「おぉ、それは凄いのじゃ!」


「た、ただ、1回しか使えない上に、もしかすると上手く転移出来ないかもしれないですが・・・」


「その時は、またティーに頑張って貰うしかないよね」


「流石に場所が分からんとキツイが、それしかないんじゃよな」


そうして、ラヴィさんから魔法陣の描かれた紙を受け取り、家へと戻り出発することとなった。

今回のメンバーは、エレオノーラさんに加えて俺とティー、そして寒さを感じないルインも一緒に来る事となった。


「頑張って索敵しますね!」


とルインはとても張り切っていた。

ルイン以外は防寒着に加えて、ティーに魔法をかけて貰い寒さを防ぐ事となった。

ちなみに、俺は大賢者から貰った魔法反射のネックレスを付けているのだが、自分にプラスとなる魔法は反射しない様に作られている様だった。


「それじゃあ、出発するのじゃ」


まずは、大賢者に会いにラーブルクへ向けて出発した。

ティーには少し急ぎめで飛んで貰い3時間半程でラーブルクへと到着した。


「龍王さま!本日はいかがなされましたか?」


城の兵士が駆け寄って来た。


「大賢者はおるか?」


「大賢者様なら、国王陛下と仕事部屋にいらっしゃる筈です」


と言われたので、そちらへと向かった。

部屋に到着し、ノックをすると中からテンメルスさんの声が聞こえ、入室した。

中では、テンメルスさんが椅子に座り仕事をし、ソファには大賢者が紅茶を飲みながら座っていた。


「これは、ティーフェン様にコタケ殿達ではありませんか。本日お越しになる予定はありましたかね?」


テンメルスさんは少し驚いた表情をしながら言った。


「今日はお主に用があったのではない」


「と言う事は、私でしょうか?」


大賢者はそう聞いて来た。


「あぁ、そうじゃ」


「それで一体、どう言ったご用件ですか?」


「妾達をフリードリークと言う国へと転移魔法で飛ばせるか?」


「フリードリーク・・・確か北の地にある国でしたね。一度訪れた事はあるので皆様を送る事は可能ですが、そんな所にどの様な用事が?」


「何でも、そこにしか咲かない花の側にドラゴンみたいな生物が住み着いたらしくてな、輸入が出来なくなっているそうじゃ」


「あの国にしか咲かないと言う事はルードフラワーですね。あれは貴重な物ですから、確かに輸入が出来なくなるのは困りますね」


「そう言う事じゃ。と言うかテンメルスは聞いておらんのか?」


「我が国でも聞いておりましたが、対応出来る者が居ない為、放置されておりました」


「遠い上に高ランクの冒険者がおらんとかえって危ないからの、そうなるか。それはともかく、早速妾達を飛ばして貰いたいのじゃが良いか?」


「少々お待ち下さい」


大賢者はそう言うと、テンメルスさんに耳打ちした。


「分かりました」


何を話したのかは分からないがテンメルスさんは一言だけそう言って、転移魔法を使って貰えるらしいので俺達は防寒着へと着替えた。


「それでは皆様、準備はよろしいですか?久々の場所ですので成功するかは分かりませんが、安心して下さい」


「そんなこと言われたら、安心出来んのじゃが」


そして、大賢者は転移魔法を発動して俺達は光に包まれ目を瞑った。

次に目を開けるとそこは、一面雪の積もった銀世界が広がっていた。


「わぁ〜!これが雪ですか!私、初めて見ましたよ!」


と一面の雪にルインは大喜びだった。


「うぅ〜寒いのじゃー」


ティーはどうやら寒さには苦手らしい。


「これは成功したのか?」


白い息を吐きながらエレオノーラさんはそう言った。


「勿論、大成功ですよ!」


すると、俺達の後ろから声が聞こえて来た。

エレオノーラさんはバッと構えて、後ろを振り向くとそこには、大賢者が居たのだった。


「あの、何してるんですか?」


「いえ、皆様のお話を聞いていたら私も久々に冒険をしたいと思いましてね。ついて来ちゃいました」


どうやら先程、テンメルスさんに耳打ちしていたのはこの件だった様だ。


「さて、それじゃあ早速出発しましょうか!」


張り切っているルインと大賢者を先頭に俺達は歩き始めた。


「ところで、その花は何処に咲いているんですか?」


俺はエレオノーラさんに聞いた。


「情報によれば、山の頂上付近に咲いているとの事なのだが・・・」


辺りを見回すと標高4000m程の大きな山があった。


「あれを登るんですか・・・?」


「流石に慣れない登山になるだろうから私もキツイな」


とエレオノーラさんでもそうだと言う事は俺にはもっと厳しいのではと思っていたが、


「そう言う時こそ妾の出番じゃな!」


そう言ってティーはドラゴンの姿へと変身して俺達を乗せ飛び始めた。


「素晴らしいですね!ドラゴンの背中に乗るのは初めてですよ!」


ティーに乗った大賢者は大興奮だった。

そしてあっという間に山の頂上付近へと到達したので、ここからは歩いて花を探し回ることにした。


「私、先に行って見て来ますねー」


とルインがフワフワと浮きながら花を探しに先へ行った。


「ところで、大賢者さんは何で俺達について来たんですか?」


「先程もお伝えした様に冒険がしたくなったからですよ」


とニコニコしながら答えた。


「ほんとかのう?」


ティーは訝しげな表情で言った。


「勿論ですよ、あわよくば住み着いた魔物の素材を取れたらななんて考えてはいませんよ」


「いやもう言ってるじゃないですか・・・」


「もしかしたら新種の魔物かもしれませんからね。実験の材料として欲しいんですよ」


「まぁ、俺達が使う事はないと思うので全部差し上げますよ。転移魔法のお礼もありますし」


俺がそう言うと、大賢者はとても嬉しそうな表情をした。


「ん?あれは何だ?」


すると、1人警戒を続けていたエレオノーラさんが何かに気付いた。

エレオノーラさんの視線の方向を見ると、何かフワフワと浮いてこちらに来ていた。


「ルインじゃないかな?」


「みなさ〜ん」


と遠くから声が近づいてくる。

やはりルインであったのだが、何処か慌てた感じで様子が変だった。


「みなさーん!早く逃げてくださーい!」


ルインが叫びながらこちらへ向かってくると、その後ろからドシンドシンという足音と共に大きな影が現れた。


「なんか後ろに見えるんじゃが?」


「みなさん、ドラゴンですー!」


ルインの言葉と共に影がハッキリと見え、


「ガオォォォォォ!」


と青色のドラゴンが咆哮を上げながら現れたのだった。


面白いと思ったら、是非ブックマーク登録なども投稿の励みとなりますのでお願いします!

あと、誤字報告して下さった方ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ