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第二の人生を得たので、自由に暮らしていこうと思います  作者: コル


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追跡

とある朝、玄関のドアが激しくノックされている音で俺は目を覚ました。

1階に降りてもエレオノーラさん達が起きて来てない様なのでかなり早い時間だ。


「はい〜」


眠たげな声を出しながらドアを開けると、そこには商人のコリンさんが居た。


「あれ?どうかしましたか?」


今日はコリンさんが来る日では無かったはずだが・・・


「朝早くからすみません!至急皆さんにお伝えしないといけない事がありまして!」


コリンさんは何やら慌てた様子だったので、急いで他の人達も起こしてリビングに集まった。


「皆さん、こんな時間から大変申し訳ございません!」


「それで慌てた様子でしたけど、どうしたんですか?」


「テンメルス様より手紙を預かって来ておりまして。こちらを早急にティーフェン様にお渡して皆さんにも伝えてもらいたいと」


そう言って、鞄から1枚の手紙を取り出してティーが開封した。


「なになに?とある人物がラーブルクにやって来たから急いで帰って来て欲しいと・・・どう言う事じゃ?」


「私も誰かは聞かされて無いのですが、かなり慌てた様子でしたよ」


「ん〜どうしたものかの、こっから国までかっ飛ばしても2時間弱と言ったところじゃが・・・」


「俺達も行った方が良いのかな?」


「そうじゃな、他の者達にも伝えて欲しいと言う事だからそうなんじゃろうが、一度に全員は運べんぞ?」


「先に数人で行く事にして、残りの人は後からって感じにする?」


「そうじゃな・・・別に危険は無さそうなんじゃよな?」


「そういった雰囲気ではありませんでした」


「分かったのじゃ、急いで準備をして向かうとしよう」


ひとまず、ティーに加えて俺とアリーとエレオノーラさんの4人で先に向かう事となった。


「それじゃあ、しっかり掴まっておれ、でないと吹き飛ばされるからの」


ティーはそう言うと物凄いスピードで飛び立った。

普段はゆっくり飛んでくれているが、今回は急ぐために俺達の体にギリギリ負担が掛からないの速度だった。

それから2時間が経った所でラーブルクのお城へと到着した。


「ティーフェン様、お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」


白髪でダンディーなおじさまの執事長のハウザーさんが出迎えてくれた。

そのまま俺達は、城の2階にある謁見の間へと案内された。


「どうぞ中へ」


開かれた扉を抜けて中へ入ると、テンメルスさんとヴァルナさんの他に、以前ティーの今後についてを話し合った際に会った、この国の大臣達がまだ朝の6時頃なのに集まっていた。


「全員揃いましたので、これより緊急会議を開きます」


テンメルスさんが開始の宣言をして皆静まりかえったのだが、


「ちょっと待つのじゃーー!」


とティーが待ったをかけた。


「ティーフェン様、いかがなされましたか?」


「いかがなされましたか?じゃなくての、妾達はとある人物が来たから急いで来て欲しいとしか聞いとらんのじゃ!まずは、その人物が誰かを教えるのじゃ!」


大臣達もうんうんと頷いているので、まだ事情を知らない様だった。


「そうでしたね、まずはそちらも併せて説明しましょう。まず今回集まって頂いた理由は・・・大賢者と思われる人物が入国したからです」


「何じゃと?」


ティーは驚き、周りの大臣達もざわつき始めた。

アリーとエレオノーラさんも驚いていたのだが、俺はあまりピンとは来ていないが、この世界に来てから大賢者という名は何度か耳にはしている。

街の門に設置される魔法を感知する魔道具の設計をしたり、空中都市を浮かす動力となっていた石も作っていたはずだ。


「なぜ大賢者が入国したと思われたのでしょうか?」


大臣の1人がテンメルスさんに質問した。


「過去何度か、他の国でも大賢者が出入りしていた事があります。その際に、パールという名の冒険者のカードを提示しているのです」


「なるほど、それで今回その名前の冒険者の入国が確認されたと・・・」


「そうです」


「ですが、たまたま同じ名前の冒険者が入国した可能性もあるのでは無いのでしょうか?」


大臣達も、色々な可能性を考慮して話し合っている。


「私も初めはそう思いましたが門番からの報告によると、その者のカードには冒険者ランクが書かれていなかったと・・・」


確かに俺が持っている冒険者のカードにも大きく Dとランクが刻まれている。


「他の国でも、その様なカードが確認されています。更には、門番達にその人物の特徴を聞いた所、年老いた男性だった、若い女性だったと全く別の事を言うのです。恐らく、幻惑の魔法を使ったのでしょう」


「なるほどの、大賢者本人なら門に設置されておる魔道具に反応されずに魔法を使えると、そう思ったのじゃな」


「えぇ、その通りです」


「それで、これからどうするのじゃ?」


「至急皆で、手分けして探して来て欲しいのです」


「はぁ、そう言う事か・・・まぁ、妾も一度会ってみたいから良しとするが、妾以外も呼んだのは意味があるのか?」


「もし、本当に大賢者その人ならコタケ様達も会われた方が良いと思いましたので・・・余計でしたかね?」


「いえ、俺も気になっていたので」


「恐らく会って損は無いかと思います」


「それなら俺も捜すのを手伝いますよ」


「助かります」


そして、俺達はアリーとティー、俺とエレオノーラさんの二手に分かれて城下街を探す事となった。

ちなみに大臣達も、直属の部下を動かしておりかなり大掛かりだった。


「それにしても、何でここまでして探し出すんですかね?」


歩きながら、エレオノーラさんに質問してみた。


「まぁ、大賢者だからな。助力をして貰えればかなりの恩恵となるはずだ」


やはりこの世界において、大賢者とはかなりの人物の様だ。

ただ、見た目の特徴が全く分からないので、それらしい人物を探そうにも難しい状況だった。

それからしばらく歩いていると、街のメインストリートへとやって来た。

朝早い時間帯だが、仕事場に向かう人や商人などが行き交い人通りも多いので、それらしき人が居ないか確認してみたが、当然分からなかった。


「ん〜、本当にいるのかな?」


と考えつつ歩いていると、前を歩いていた老齢の男性のポケットからハンカチがポトっと落ちた。


「すいません、ハンカチ落としましたよ?」


俺は、そのハンカチを拾い男性の方を叩いて呼び止めた。

振り向いた男性はハンカチを見て、


「あぁ、すいませんのう・・・」


と受け取ってのだが、こちらの方をジッと見つめて来た。


「どうかされましたか?」


「いえ、ここら辺ではあまり見かけない顔つきでしたので、観光客の方かな思いまして」


「えぇ、そのようなものです」


俺は、この老人が近くに住んでいる人と思い、大賢者らしき人を見かけなかったか聞こうとしたのだが、


「今日、この辺りで不思議な人を・・・」


「おーい、コタケ殿ー!」


とエレオノーラさんの呼ぶ声が聞こえたので後ろに振り向いた。


「見つけたぞ、一瞬居なくなっていたからヒヤッとしたぞ!」


いつの間にか、はぐれてしまっていたみたいだ。


「すいません」


「ところで大賢者らしき人は見つかったか?」


「見つかっては無いんですけど、こちらのご老人に何か聞いてみようと・・・」


再び前を向くと、そこには誰も居なかった。


「老人?どこだ?」


「あれ?さっきまでここに居たんですけど・・・別の所に行っちゃったかな?」


と結局聞き込みをする事は出来なかった。

それからも、歩き回り探したのだがやはり見つける事は出来ず、一度城へと戻る事にした。

城へと戻ると何やら使用人の人達がバタバタとしていた。


「どうしたんだろ?」


すると、使用人達の中に混じっていたハウザーさんがこちらに気付き近づいて来た。


「コタケ様、お帰りでしたか。急いで謁見の間にお戻り頂けますか」


ハウザーさんに促されて、謁見の間へと戻るとテンメルスさん、大臣の他にアリーとティーも戻って来ている様だった。

 

そしてもう1人、玉座の前には先程ハンカチを落とした老人が立っていたのだった。


「おや?あなたは・・・先程お会いした方ではありませんか」


「ど、どうも・・・?」


何故この老人がここに居るのだろうと思い、テンメルスさんと大臣達は何やら話し込んでいるので、アリーとティーの方へと向かった。


「なんであの人がここに居るの?」


「なんじゃ?もう会っておったのか?」


「落としたハンカチを拾って、少しだけ喋ったんだけど・・・」


「そうか・・・妾はな、あの老人が大賢者じゃと思うんじゃ」


「えっ!あの人が大賢者!?見るからに普通のお爺さんなんだけど・・・」


「見た目はな。じゃが、あの老人とその周りからはなんの気配を一切感じんのじゃ」


「どういう事?」


「老人の周りだけがぽっかりと穴が空いているかの様に、空気、魔力などの様々な物を感じ取れんかったのじゃ。それで、怪しいと思い近づいたらこの老人を見つけたのじゃ」


「流石は龍王様ですね!」


話を聞いていたのか、老人が急に喋り出して、テンメルスさん達も老人を注視した。


「魔法で認識を阻害していたのですが、龍王様には通じなかった様ですね」


「妾も注意深く見ておらんだら気付かんかったわい」


「それにしても、そちらの男性にも魔法の効果が全く無かったので、とても驚きましたよ」


その老人はこちらを見ながらそう言った。

俺がこの老人を見つけられた理由はそれだったらしい。


「それで、お主が大賢者で間違いないのじゃな?」


「いかにも、私が大賢者・・・」


老人が手をパンッと叩いた瞬間、洋服から軍服の様な見た目にフードを被った格好に変わり、更には老人の見た目から白髪の20代前半くらいの若い男性へ変化し、


「またの名をウルファ・アークホルムと申します」


と告げたのだった。






今回で遂に100話目となりました。

自分でもこれだけ続けられると思ってなかったのでビックリです!

ずっと呼んで下さっている方や、ここ最近になって読み始めて下さった方など様々だと思いますが、皆さんのおかげで続けられています。

これからも頑張りますので、ぜひ応援お願いします!

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