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第8話 魔女に頼られる/少年を頼る

「これからってどういうこと?」

「……そういや……どうすればいいんだろう……」

「えっ?」


 そうだよ……。何が『大事なのはこれから』だよ。これからの何が大事なんだ!? 


「ねえ……もしかして、何も考えてないの?」

「…………………………………………………………………………………はい」

「ええっ!?」


 ミエダの顔から悲しそうな顔が消えた。驚きの顔(呆れを含む)に変わった。俺の顔からは冷や汗が出た。俺は国で親父の顔に泥を塗ったし、ミエダは先代の魔王の娘だし。本当にどうしよう、これからについて……。


「ちょっ、ちょっと、何も考えてないのに『大事なのはこれから』とか言ったの!? 馬鹿じゃないの!? ちょっと期待した私の気持ちを返して!」

「仕方ねーだろ! こんなきれいな女の子が泣いてんだから、男として、何とか泣き止んでほしいと思うだろーが!」

「きっ、きれいな!? ……そっ、そうね、そうよね。それなら仕方ないかも……」


 よし! 文句を言われたが、きれいな女の子と言ったら納得してくれた。しかも、なんか少しニヤケてるし。ちょろいな。

 この後は、これからについて二人で話すことにしよう。そのためにも、すぐにここから脱出しなければならない。


「なあ、これからについてなんだけどさ、まず外に出て二人で決めないか? こんなとこにいつまでもいたくないだろ?」

「そうね、私にとっては最悪の場所だもの。二人で一緒に出口を探しましょう。ゼクトのことだから分からないんでしょう?」

「う……確かに分からないな……無我夢中で走ってたらここにいたからな。どうやって来たのかも覚えてないし……。ミエダは覚えてないのか?」

「悪いけど覚えてないわ。何年もたってるんだから」

「そうか、なら探し出すしかないな」


 俺もミエダも出口は分らないので、とりあえず俺が来た道を辿ることから始めた。


 ……だが、それはすぐに終わった。途中で行き止まりになっていたのだ。って、ええ!?


「何でだ!? 行き止まりのはずがないのに!?」

「ここまでで、合ってるのよね?」

「そうなんだ! だけど、道が消えてる、いや塞がってるのか!?」

「……多分、ダンジョンの仕業よ。ダンジョンには侵入者を閉じ込めるタイプのものがあるから、私たちがいるのがそれなのよ」

「なんだって!?」


 なんてことだ、ダンジョンそのものが敵になり、俺たちを閉じ込めるなんて……。

 俺が来た道以外の出口を探すことになるが、それは最終的には……。


「ゼクト、私達でダンジョンを攻略しない?」

「やっぱりそうなるか…」

「うん」


 ダンジョンは出口以外に脱出する方法がある。

 ダンジョンの一番奥の部屋にいる上級の魔物を倒すことでダンジョンを攻略し、帰還用の魔法陣を発動させることだ。そうすれば、魔法陣の上に乗るだけで、ダンジョンの外に出られる。学園ではそう習った。

 

 ミエダの口からダンジョンの攻略という案が出るということは、ミエダは経験があるかもしれない。俺の方は実戦そのものが無いからミエダの足を引っ張らないだろうか……。


「私はダンジョンに入ったことないから、ゼクトを頼らせてもらうけどいいかな?」

「……は?」

「私ね、一度しか戦ったことが無いの。ダンジョンの知識も古いから、今の時代を生きるゼクトの知識の方が頼れると思うの。だからお願いします」

「…………」


 うわーお、自分で言いだして俺頼みか、俺には実戦を一度もしたことが……? いや待てよ、俺はミエダの封印を破ったから実戦はもう経験したじゃないか! しかも成功してるし!

それにミエダの言うように俺の知識の方が最新で正確なはずだ。なんだか自身が持ててきたぞ。


「よし分かった! 俺のできる限りミエダを守る! なんせ俺には望んだわけじゃないけど魔王の力がある! いやな力だけどとことん利用するぜ!」

「……さっきまでと違って前向きね。それなら私もゼクトを守るわ。何しろ私は魔女と恐れられた女よ、もちろん望んだわけじゃないけどね」

「なんだよ、ミエダだって前向きになってんじゃん」

「ふふふ、ゼクトのおかげよ。それじゃあ、二人で力を合わせて攻略しましょう」

「おう!」


 ついに俺もミエダも前向きになれた。ダンジョンを出た後のこれからもすぐに決められるかもしれない。今の俺たちに具体的な案が無くてもだ。

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