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空飛ぶ艦隊  作者: osagi
9/17

<空を眺めて>

 いつものように空軍基地からは飛行戦闘艦の艦隊が飛び立っていく。そしてそれが陣形をなして飛んでいくと俺はそれを見送って再び歩き始める。



・・・・・



 あの戦闘のあと、俺はしばらく空を飛んでいた。大空にただ一人、帝国に帰る燃料も残っておらず俺だってそのまま墜落してしまおうかとさえ思った。しかし・・・。


 「死ぬときはみんな一緒ですからね」


 ルノカの言葉がどうしても頭から離れなかった俺は、悪あがきとしてエンジンを一度切る。今日は風がある、滑空とエンジンの再始動を繰り返せば何とかなるかもしれない。それに駄目でもともと、気楽にやってみよう。


 空を飛び数時間。俺は、山や岩、飛行艦や飛行船の残骸といった航路の目印となっているモノたちを次々と飛び越えていく。帝国に近づくにつれて風が弱まっていくが、地平線の向こうには帝国から一番近い目印である廃坑となった鉱山と帝国の石造建築を支えてきた石切り場跡のある岩山、そしてその二つをつなぐような細長い丘が見えてきた。あと少しだ。


 「ああクソ!上がらねえ」


 すでに燃料は尽き、何とか滑空だけでここに来たのだ。あの細長い丘を越えればあとは帝国まで緩やかな下り坂が広がっているだけなのに飛行機は一向に上昇してはくれない。あと少しといったところで丘に飛行機は衝突し、跳ね上がった機体は頂上を超えて坂を滑るように滑走していく。轟音と衝撃音が響き続け俺の顔にも小石か何かがぶつかってくる。



・・・・・



 あの時のことはこれ以上覚えてはいない。空軍基地の管制塔が砂煙の上がったのを確認して俺は救助されることになったのだが、俺にはその時の記憶はないのだ。そして俺は墜落した時の骨折で地上勤務となり、ようやく最近になって再び第一線に出られるぐらいに回復してきた。とはいっても俺が実際にまた飛行機に乗ることができるのかどうかは上の判断次第ということなのだが・・・。


 艦隊が飛び立つと、格納庫群の一つから練習機として使われているニューイーグルが運び出される。ファルコンや余剰となった飛行機は解体されて再利用されるので生き残った数少ない機体であるが、前まであれに乗っていたレイン隊長やチャックがもうこの世界にいないということを思うと・・・。


 俺がそんな光景を見ながら歩いているとようやく目的地に着いた。それは新設された格納庫であり、横にあるドアから中に入るとそこは小さな部屋につながっていて憲兵が三人ほど詰めている。身分証を出し、出る際は身体検査を行なうことを説明されてようやく俺は中に入れた。


 「・・・・」


 目の前に現れたそれに俺は言葉が出なかった。目の前には力強さを感じさせる機体があったのだ。色は青色で塗装されその姿は美しい。

 そして、しばらく機体に見とれていると整備兵たちの中に混じっていた年を取った男が近づいてきた。




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