<空中の滑走路>
ルノカとの模擬戦闘を終えた俺は正式に復帰することになった。しかし、どういうわけか俺が配属されたのはルノカと訓練生四人のいる教育隊であり、俺はそこで二人目の教官として指導に当たる。飛行母艦に搭載される飛行機が四機であることを考えると中途半端な数であるが、軍人である以上は命令通りにやるだけだと引き受けた。
そして、俺が教官となった初日。俺は練習生たちとの顔合わせもすることなく、まずは正式採用となり俺たちが乗ることになる機体を受け取るため、ルノカとともに格納庫を訪れた。
「おお、来たか!」
格納庫ではフイアット博士が俺たちを待ち構えていた。格納庫内には六機の飛行機が並べられており、すぐにでも飛び立てそうなほど整備が行き届いている。
「飛行機はいつでも飛べるし、飛行母艦だってすぐにでも空を飛べるぞ」
「飛行母艦?」
「あれ、言ってなかったか?これだ」
見れば格納庫には一隻の飛行母艦が斜めに格納されている。テストパイロットとなって今まで何度も来ているはずなのだが、今まであまり気にしたことがなかった。
「これは・・・」
俺はそれを見て思わず言葉が出る。
「これが最新鋭のデルタ型飛行母艦、シーラスだ」
今まで俺たちが乗っていた飛行母艦の名前を引き継いだ飛行母艦シーラス。確か区分けではアルファ型が装甲のない型を表し、ベータが防弾されたもの、前まで乗っていたチャーリーが気嚢内を区画化して与圧もしたものだったはずだ。そのため次はどんな型になっているのか気になるが、何よりも俺の気を引いたのは飛行母艦の上についた大きな板であった。
「見ての通りこの飛行母艦の上部には陸上と同じように滑走路があってな―――」
博士によれば滑走路であると同時に気嚢を守る装甲の役目を果たしているためたとえ爆弾を落とされても問題なく、そのうえ区画が今までは四か所に分かれていたものが縦に六ケ所だけでなく上下に分けることによって十二か所という数まで増えていて少しの損害なら何事もなかったかのように飛行できるのだという。
「それに搭載できる飛行機が六機になってな、今まで以上に有利に戦えるぞ」
「六機ですか!?」
「そうだ、まあ君が隊長として頑張ってくれ」
「頑張ってね隊長さん」
博士とルノカから激励を受けるがいきなりのことに緊張しかない。
「俺がやるんですか」
思わず出た言葉であるが、博士は俺のこの言葉に思いがけない言葉を返してきた。
「当たり前だろう。ルノカ君が君をテストパイロットに推薦までしたんだからな。ほかに誰がいる」
「ん?」




