<ルノカ>
ホークの試験飛行も一段落して模擬戦闘を行なうこととなった。普段はこのようなことはないのだがホークと同時期に研究され、先に採用となった飛行機を捨ててまでホークを採用する価値があるのかということを検証する必要があるのだ。そして模擬戦闘の相手だが・・・。
「ファルコ!」
背後からの声と駆け寄ってくる音に俺は振り向こうとするが、それは足音を乱したかと思うと俺の背中へと衝突した。
「うおぉぉ。どうした、大丈夫か」
「ご、ごめん!転びそうになって」
飛行服で走ろうとするから転びそうになるのだが、俺とルノカが会うのは久しぶりなのだから仕方がない。ルノカは体勢を立て直すとまじまじと俺の機体を見る。
「これが試作機?性能的にはどんな感じなの?」
「運動性能は良くなったな。それにエンジンも最新式で時速400kmは出る」
「こっちの飛行機よりも50kmは早いんだ。それで武装は機銃だけ?」
「ああ、前と同じ12.7㎜機銃だけど、威力は改良して上がっているらしい」
俺とルノカの話は盛り上がる。
「性能はこっちが上か、じゃあ後は、機体とパイロットの技量次第ね」
「そうなるな」
「私も結構うまくなってるからね、今日の模擬戦に負けるつもりはないよ」
「そうか、頑張ってくれよ教官さん」
模擬戦の相手はルノカなのだ。俺が負傷して前線を退いている間に部隊がなくなったルノカは教官として空を飛んでいた。前までならありえなそうな人事だったが、今のルノカはかなりの実力者だ。十指に入るほどのパイロットといってもいいだろう。
ルノカはあの日乗艦できなかったことやレイン隊長、チャックの死に対する怒りをぶつけるかのように訓練に没頭し、実力をつけるとともに技術にも磨きをかけてきた。そして今では成績優秀者から選出したエリート部隊を率いているのだ。ほかの生徒とは違って実戦的な訓練を早く取り入れた独立した教育隊であり、すでにほかの同期生よりも早く飛行訓練も行なっている。
「それにしても、教官とはなぁ。練習生も結構やるだろう」
「訓練で自信をつけてくるのはいいんだけどね。この前舐め切った態度取ってきたからその自信をへし折ってやったわ」
「ははは」
もはや笑うしかない、勝気で自信家なのがルノカなのだ。それぐらい平気でやってのけるだろう。
「それじゃあ、私はもう行くね。またあとで」
「おう!」
俺はルノカの言葉に答えると模擬戦の準備に取り掛かった。




