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変わる世界

僕の人生を一言で表すと、「生きづらい」


性別によって生き方を決められるのは嫌だ。


恋愛観の決めつけ。「普通」の決めつけ。

「自分自身」の決めつけ。


「男なら女を、女なら男を必ず好きになる」


そんな当たり前だと決めつけられている事が僕には生きづらかった。


普通とは一体なんなのか。

どうして自分の生きたいように生きてはいけないのか。


今日も僕はマリオネットで生きざるを得ない。


人が居る場所では笑顔で、誰もいない場所では無表情であり感情など無くしている。


その笑顔が偽りだと気付かず人々は今日も僕に踊らされる。


学校に着き、次の講義の準備をしていると不意に後ろから声をかけられた。


「柚子、コミックとか見たりする?」


どうやら声をかけてきたのは僕の数少ない友人である雪だったようだ。


僕はあまりコミックを読まないのでクラスメイトと話が合うことがない。


「あんまり見ないかな」


僕がそう言うと雪は予想通りという顔をして笑った。


「やっぱりねー。オススメの青年コミックがあるんだけどさ、読んでみない?」


ふむ、青年コミックか、、、。

読む気は進まないが雪がオススメしてくれているのだから読んでみよう。


これまでも雪に何冊かコミックをオススメされて全て読んでみたがどれも僕の好きな系統だった。


雪は僕の好きな系統を把握しているようだし、今回も当たりのコミックだろうな。


雪に貸してもらったコミックはアニメにもなっている大人気青年漫画らしい。


僕はその漫画の主人公はとてもまっすぐな子だと思った。この子のような考えを持った人間が多くいれば世界は変わっていくだろうなと思った。


まっすぐで素直で純粋で勇気があって迷いの無い子。


理想の子だと思った。

それと同時に僕はそんな人間になれないということを悟った。


学校では明るくして、家庭では親のご機嫌取り。

本当の僕を出せる居場所なんか無かった。


自分でも自分がわからなくなっていた。


午後の講義が終わったのか、ちらほらと帰宅する生徒たちの姿が見えた。


おしゃべりしながら帰る人、カフェに入っていく人、待ち人を待っている人。


みんな幸せそうで羨ましいな。


いつか僕もあんな風に幸せになれるのだろうか。



僕は淡い期待を胸に夕焼けの街を歩いていった。









いつもの朝のニュースだった。


「昨日午後7時頃、〇〇通りでトラックにはねられた白木柚子さん19歳が今日未明死亡しました。」


さぁ、非日常の始まりだ。


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