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その8 善人になりたい男

今日は連投です!

まあ、読む人いないと思いますけどね

 ある日、像の前に1人の男は現れた。

「我は汝の願いを叶える者。汝の願いは何だ?」

「俺は、先週刑務所を出てきたんだ。詐欺でな。生まれながら人を騙すことしかできなかった。根っからの悪人さ。それなのに、弁護士の先生は俺に優しく、そして親切にしてくれた。もちろん、仕事だからというのもわかる。だが、俺はどう頑張っても人を騙すことしかできないんだ。だから、俺を善人にしてほしい。人を疑わず、そして優しくできる人に!」

「承知した。汝の願いを叶えよう」

 像から、淡い緑の光があふれる。その光が男をゆっくりと包んだ。

「ありがとう。これであの人に恩返しができる」

 男は、ゆっくりと歩いて、洞窟を出て行った。


 その後、しばらくして、謎の男が洞窟にやってきた。

「善人になりたいか…あの男はその後誰であろうと信じるようになってしまったが故に詐欺にひっかかり多額の借金を背負っても保証人や連帯保証人になり続けたそうだ。その結果破産。それでも、未だに他人を信じ続けているそうだ。最近は病気として扱われ、精神病院に入ったと聞く」

「我がしたことは間違っていたのだろうか…?」

「お前から質問がでるとは珍しいな。そうだな、お前はお前の使命を果たしたから、お前自身が気に病む必要はない。寧ろ、そういう人間を利用し、騙した者たちが悪であるだけだ」

「そうか…」

「性善説と性悪説。お前は知っているか?性善説は人は生まれたときは善であり、成長するにしたがって悪行を学ぶ。それに対して性悪説は人は生まれながらにして悪であり、成長するにつれて善行を学ぶといった昔の中国の思想のようなものだ。これは多くの人間を見てきた私の考えだが、人は後から学んだ行いを積極的に行うというものだ。三つ子の魂百までとは言うが、そのころにはすでにどちらも悪行も善行もある程度は会得しており、特に後に得たものを積極的に使うというものさ。故に、あの男は生まれながら善もちろん、お前のかつてはそうであっただろうな。今は、お前の犯した罪の贖罪として、そこに閉じ込められているが…かつてはあの男と同じであったのだろう。逆に、今善行を積んでいるものは生まれたときは悪だったのではないかと私は思うのだよ。もちろん、私の説だからこそ、正確性には欠けるかもしれないがな…これでも、1000年以上人間は見てきたからな。自信はあるさ。おや、私の生きている時間の長さに驚いているようだが、これでもまだまだ若手さ。私の上司は軽く5000年は生きている。天使は長命でね。なかなか老いないというのも退屈なのさ。だからこそ、お前の監視はなかなか面白かった。いろいろな人間の欲を見ることができたからな。残り1つ。さてさて、次はどんな願いがここに持ち込まれるのか…とても楽しみだよ。次に会うときはお前を解放する時だ。その狭い像からな。楽しみにしておくんだな」

 そう言うと、天使の男は背中から羽を出し、羽搏いて消えていった。

次回でいよいよ最終回!

乞うご期待!

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