〜過去の代償〜
樫の木の情報などは調べてこれは使える!と思って取り入れてみました!楽しんで頂けると幸いです!本編をでは…お楽しみ下さい!
第5話「〜過去の代償〜」
紀達は村長に一礼をしてその場を後にした
〜村の森の中〜
紀「じゃあこの村の四方に松明を置こう」
鐘雲「承知しました。」
すると鐘雲が持っていた鞄の中から、樫の木で作られた松明を4本取り出した。樫のとは古くから神に捧げられている木の一つで穢れを寄せ付けないと言われている代物だ。
その松明に火を付け、その場に置いた、すると鐘雲が尋ねた。
鐘雲「主様…この村の村長…幾月様は元祓い屋だったのですか?主様の口振りから相当お強い方だったのでは?」
その言葉を聞いた紀が手を止めた…するとゆっくりと立ち上がると少し悲しそうな顔で話した
紀「そうだね…村長…幾月さんは元祓い屋だよ…とても強く、名を馳せていたと聞いた…しかし悪い噂も聞いたことがある…」
すると…さっきまでは吹いていなかった風が突然吹き始めた…怪しく落ち葉が舞う中鐘雲は息を呑んだ…
紀「その悪い噂っていうのはね…幾月さんは自分の目的の為なら手段を選ばない…非道なやり方をしていたと聞いたよ…もし…その妖を誰かの命を犠牲にして祓わなくてはならない…そうなったら…自分の式をまるで消耗品の様に犠牲にしていたと聞いた…」
その言葉を聞いた鐘雲は思わず声を荒らげた
鐘雲「っ!そんな!…酷すぎる…一体自分の式を何だと思って…そんな方が本当に名を馳せた強い祓い屋だと思うのですか!?」
紀はその言葉を聞くとこう続けた…
紀「そうだね…鐘雲がそう言うのも無理ない…だけどそのやり方は周りからは良しとはされず…多くの恨みを買っていたと…そう噂で聞いたよ…しかし最近…妖を見るのが難しくなってしまったらしくてね…祓い屋を引退して…この村の村長を務めているらしい…まぁ!噂は噂!本当の事はまだ分からないんだし…ね?決めつけは良くないからさ!」
と紀がフォローを入れた…しかし鐘雲は納得がいっていない…そんな表情をしていた。
紀「あっ!もうこんなに周りが暗く…急ごうか…鐘雲」
と半ば無理やり松明を置く作業に移った…
紀「よし…これで最後っと…!」
最後の4本目の松明を置き終わった。
紀「これで結界を張る準備は出来た…じゃあ村に戻ろうか?」
鐘雲「…はい」
〜村〜
紀達は村に戻ると丁度中心へ鐘雲が陣を描き始めた
そして描き終わると印を結び呪を唱え始めた
紀「我の言霊を聞き届けしものよ…我と我が同胞達を守護せよ…」
そう唱えると陣が輝き、村の周囲に結界が張られた
紀「よし!いっちょ上がりだ!」
紀が一息付いていると…村長の幾月がやって来た
幾月「紀様ありがとうございます…もう辺りも暗い…我々が用意した家でお休み下さいませ。」
そう言うと幾月が家へと案内をした
紀「幾月さんありがとうございます」
鐘雲「ありがとう…ございます」
鐘雲はさっきの話が気がかりなのか少し警戒している様に思える
幾月「着きました…野狐の件が収まるまでこの家を自由に使って下さって構いません」
その家は立派な一軒家、からぶき屋根の少し古風な面立ちの家だ
紀「僕達の為に…ありがとうございます!」
紀はにっこりと笑い幾月に言った。
幾月「いえいえ…我々の為にご尽力して下さって居るのですから…遠慮は無用です」
幾月「では…ゆっくりとお休み下さいませ」
紀達に一礼をすると幾月はその場を後にした
暫く幾月の後ろ姿を見送った紀達は家の中へと入っていった。
紀「おぉっ!凄いね!凄く古風で僕めっちゃこの雰囲気好きだな〜」
部屋の中を見とれるように紀が言う
部屋の中の雰囲気は囲炉裏があり、いかにも古い日本の家屋といった感じだった。
紀「少ししたら僕達も休もう…鐘雲も疲れただろうし…ね?」
紀が鐘雲に言う
鐘雲「そうですね…」
鐘雲は笑みを浮かべ返事をしたが…少し不安そうな顔をしていた。
一方幾月は…
幾月「これで…野狐が静まってくれればいいのだが…」
と自分の屋敷への暗い道を1人歩いていた…すると草むらが「ガサガサっ!」と音を立てて揺れ始めた
幾月「っ!誰だ!そこに誰か居るのか!?」
その草むらを幾月はじっと見つめ少し大きな声で叫んだ
すると出て来たのは…野ウサギだった…
幾月「なんだ…ウサギの子か…心臓に悪いの…」
と肩を撫で下ろした時…背後に禍々しい気配を感じたその気配を感じ取ったのか野ウサギは駆けて行ってしまった。
すると幾月の耳元で低い声がした…闇に紛れた声の主は憎しみが篭った(こもった)声で言った。
??「貴様がこの村の村長か…ようやく…ようやく見つけたぞ…我が一族の永年にわたる憎しみ…今晴らさず置くべきか…」
幾月「っ!一族の恨み!?それは…っ!まさかお前は…月…がはっ!…ぐはっ!」
幾月の言葉を聞く前に声の主は幾月の喉もを鋭い爪で掻き切った…そして月明かりに照らされて浮かび上がったその姿は村の近くで暴れていたいう…野狐だった、その姿は漆黒の毛に覆われたていて、瞳の色は月によく似た黄色だった。
??「ふふふふ…ふははははっ!」
高笑いをあげた野狐は幾月の亡骸を自らの狐火で焼き払うと…野狐は幾月の姿へと化けた…
??「本来は化けるなど獣や低級の小物がやる事…
致しかないか…しかしこれで一族の恨みが…ふふふ…」
怪しく笑う野狐のその眼には憎しみ、悲しみ、怒りに満ちていた。
そして野狐は…静かに夜の闇へと消えていった
幾月が無残にも殺されてしまいました…幾月を殺した黒狐の正体とは…?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!まだまだ頑張って行きます!是非ともお付き合い下さいませ!