1-7 それぞれの思惑
争いの原因はただ、肩がぶつかっただのイチャモンつけてきただのと下らない理由だった。
その程度の争いであれば、次回同じ事をすれば騎士団の簡易訓練施設に送ると言ってしまえば大人しくなり解決する。
それは犯罪とまで行かなくても、問題を起こした者に軽い罰を与える名目として、騎士団の厳しい訓練を一週間受けさせられるのである。
勇者育成学園に通う生徒や、ある程度魔物と戦う事が出来る者にとっては耐えられなくもないのだが、体力の劣る一般市民からすると地獄のような訓練なのだ。
フランボワーは既に解決したそんな些細な事よりも、先程カフェに座っていた少年の事が気になっていた。
おそらく、普通なら彼を見ても特別気に掛かる所はないはずだ。
だがフランボワーは実力者である。
彼女は、相手の強さや武器職は一目である程度は見抜く事ができる。
そんな彼女の見立てでは少年の魔力は並、いやどちらかと言うと低い。
戦いにおける強さも、おそらくはそうでもないのだろう。
むしろ単純な強さで言えば、一緒にいた少年の方が上だろうとも考えている。
それだけであれば何も気にする事はなかっただろう。
しかし、彼女の目というか感覚には、何かよくわからない違和感を受けていた。
偽りの情報というか、内に秘めた何かを持っているとでもいうか・・・
言葉にすると、どちらも上手く的を射ない。
何にしても、その違和感がフランボワーの気を引くには十分すぎる事であった。
それなのに、その少年がこちらの視線に気づいてしまい、そそくさと足早に去ってしまった。
喧嘩仲裁の事後処理が残っていたとは言え、声をかける事ができなかった事が悔やまれる。
でも、フランボワーは落胆した様子はない。
なぜなら一緒にいた少年も含めて、二人とも戦う為に鍛えている事は間違いない。
だからといって冒険者と言う風でもない。
もちろん、騎士や傭兵などをやっている様にも見えない。
そもそもそんな年齢では無いだろう。
では学園生なのかと言うと、今期2年生になる生徒で彼らを見た事がない。
そこから導き出される結論として、今年の学園の入学生なのでは無いかと考えたからだ。
「うふふっ、楽しみになってきましたね」
これから訪れる出会いを前に、楽しみで顔に笑みを浮かべ呟く。
あの少年の違和感の正体を探るチャンスが訪れるのだと。
入学生の中に居なかったら、それはその時の話である。
心を弾ませながらフランボワーは軽い足取りで人混みの中に消えていった。
☆
「ねえ、どうしたのさ?」
カフェを出たシャイルが足早に歩いていると、後ろから追いかけてくるスコティーが声をかけてくる。
「ん?いや、なんでもない」
「??」
後ろを振り返り、スコティーに返事をするのと同時に、フランボワーが追ってきて無いかどうかを確認する。
大丈夫そうなので、急いでいた歩みを少しゆっくりに戻す。
シャイルの行動と返事に訝しげにしながらも、それ以上聞く事はせず隣に並んで歩く。
シャイルはスコティーに見たい場所は無いのか尋ねると、特に無いとの返事が返ってきたので二人は寮に戻る事にした。
寮に到着し中に入り、男子寮に向おうと足を向けたところで声がかかった。
「あ、シャイル君にスコティー君、お帰り~!」
「あ、ランさん。ただいまです」
「ただいま、エンジー」
声の主はエンゼルランで、寮生が帰ってくると必ず声をかけるようにしているのだろう。
帰ってきた二人も、エンゼルランに挨拶を返す。
「あ、そうそう。シャイル君、ちょっといいかなぁ?」
「ん?なんか用?」
「じゃあ、僕は先に戻ってるね」
エンゼルランがシャイルを名指しで呼び止めていたので、スコティーは自分がいては邪魔になるだろうと考え先に戻る事にした。
シャイルは「ああ、悪いね」と言うと、スコティーは笑顔で「ううん、大丈夫」とだけ返事をして男子寮へと入っていった。
「で、なんの用事?」
「んもう~、用事が無いと話しかけちゃだめなの?」
「い、いや、そういうわけじゃないけどさ」
「まあ、ちゃんとした用事はあるんだけどね」
どっちなんだよ、と心の中でツッコミを入れるシャイル。
「え~っとねぇ、私の仲のいい人にシャイル君の事を話したら、一度会ってみたいって言っててね」
「ちょっと待て!俺の何を話したんだ!?俺のプライバシーは!?」
「いや~ん、そんなに怒っちゃやぁ~」
「目をウルウルさせて上目遣いしても、誤魔化されない!ああ、誤魔化されないとも!」
「あははっ、そんなに焦らなくても大丈夫だよ~。ちょっと面白い子と仲良くなったよ~って言ったくらいだよ」
「面白いって・・・俺よりもエンジーの方が色々と・・・」
「え!?色々と??色々と何!?」
「・・・」
「ちょ、ちょっと!そこで黙らないでよ~!」
「ははっ、さっきの仕返しだよ」
「もう!」と言いながら、頬を膨らますエンゼルランの姿は、本当に子供みたいだなとシャイルが思った事は秘密である。
「ふふっ、まあいいけどね。それで話を戻すけど、その人に会ってみないかい?」
「まあ、別に会うのは構わないけど・・・別にスコティーが居ても良かったんじゃないのか?」
「ん~、まあそうなんだけど・・・相手は学園の教師だからねぇ。彼だと変に畏まってしまいそうじゃない?その点、シャイル君ならそういう事全く気にしなさそうだしね」
「いや、まあそうだけど・・・ってか、その人は教師なのかよ!だったら別に学園が始まってからでいいじゃないか」
エンゼルランの仲のいい人とは学園の教師だそうだ。
それを聞いたシャイルは、学園が始まる前に会う意味は無いだろうと思いツッコんだ。
「いやぁ、教師とは言ったけどそういうのは関係なく、私の友人として会いたいみたいなんだ」
エンゼルランが言うには、スコティーは相手が教師だとわかると、媚を売るわけでは無いだろうが心証を悪く思われたくないと考えた行動をするだろうと。
相手の人は、ただエンゼルランの友達として会うのであり、教師である事は関係ないと考えているそうだ。
その点、シャイルであれば教師だからと媚を売ったり畏まったりしないだろうと考えている。
そしてもう一つ。
スコティーがいると、色々と都合が悪い事があるらしい。
特にシャイルにとって・・・
「おいおい、そんな事言われたら、俺だって会いたいとは思わないんだけど?」
「大丈夫だって!別に取って食おうだなんて考えてないんだから。多分、きっと・・・」
「いやいやいや、いろんな意味で恐いんだけど・・・」
「ふふっ、その人に取って食われる前に、私が取って食うから安心して!」
「それ、全く持って安心出来る要素ないだろう・・・」
「あははっ、冗談だから軽い気持ちで会ってあげてよ」
「はあ、わかったよ」
シャイルはこれ以上何を言っても無駄そうなので仕方がなく折れた。
その言葉を聞くなりエンゼルランは・・・
「ありがとう!じゃあ、呼んでくるからそこの談話室で待ってて」
と言い出し、「え?今からか?」と言うシャイルの言葉も聞かずに駆け出して行った。
仕方が無いので、シャイルはエンゼルランが示したエントランスホールにある談話室へと入っていった。
中にはシャイル以外は誰もいなかった。
談話室の椅子に座り、待つことおよそ10分。
「やあやあ、お待たせしちゃったね」
そう言いながら談話室に入ってきたエンゼルランの後ろに、一人の女性の姿が見えた。
シャイルは立ち上がり、エンゼルランとその女性を迎え入れる。
「じゃあシャイル君、紹介するね。こちらは私の友人のアルストロメリヤちゃん。アリーちゃんと呼んであげてね」
エンゼルランに紹介された女性は、淡い紫色のロングヘアーで可愛らしさと綺麗さを兼ね備えたような整った顔立ちをしている。
身長がシャイルに近いくらいで、すらっとしていながらも出る所は出ている、いわばエンゼルランとは対極にいるような女性であった。
「・・・シャイル君、今何か失礼な事考えなかった?」
(うっ、するどい!)
「ふふっ。そんな事はどうでもいいとして、よろしくねシャイル君」
「そんな事とか、どうでもいいとかってなによぉ!」と怒っているエンゼルランを尻目に、アルストロメリヤは手を差し出しシャイルに握手を求めてきた。
「よろしくお願いします」と言いながら、その手を取り握手をしている間もシャイルはアルストロメリヤを観察している。
アルストロメリヤは普通の人が見たら見惚れそうなフワッとした笑顔をシャイルに向けていながら、その実全く隙がない。
さらにはエンゼルランにも感じられる、一種異様な雰囲気を感じ取っていた。
「ん?どうかした?シャイル君」
一瞬固まっているシャイルに、アルストロメリヤは笑顔で問いかけた。
「いや、なんでもありませんよ、アリーちゃん」
「--!!」
「なっ!」
シャイルは何事もなかったように返事を返した。
・・・のだが、それに尤も反応したのはエンゼルランだった。
「ちょっとシャイル君、どういう事!?」
「はっ?何が?」
エンゼルランがいきなりプンプン怒り出した理由が、シャイルにはわからなかった。
「私がエンジェルちゃんと呼んでって言った時は、呼んでくれなかったじゃん!!なのにどうしてアリーちゃんには、きちんと呼ぶのさ!?」
「それ、怒る所?そんなに重要な事か?」
怒っていた理由が、シャイルにとってはどうでもいい事であり肩透かしをくらった。
「当たり前じゃん!最重要事項だよ!私よりアリーちゃんの方が仲いいみたいじゃない!」
「いや、別にそんなつもりはないんだけど・・・」
「い~や、有罪!有罪だよ!シャイル君!」
「いやいや、有罪って・・・はあ、わかったよ。エンジェルちゃん」
中々怒りの治まらないエンゼルランに、仕方がなくシャイルは言われた通りに呼んだ。
すると・・・
――ゾクゾクッ!!
エンゼルランは身悶え始めた。
自業自得である。
実際に言われると恥ずかしくなるくせに、ついついムキになってしつこく迫ってしまった結果だった。
そして、シャイルはアルストロメリヤが静かなので、どうしたのかと気になって顔を向けると・・・
「はあぁ~、年下からちゃん付けされるなんて・・・なんだかゾクゾクするわ~」
と、こちらもブツブツ言いながら身悶えていた・・・
(え?この人も残念系な人なのか・・・?)
と、頭を抱えながら二人が正気に戻るのを待つシャイルだった。
しばらくして二人が元に戻ると頭を垂れていた。
「エンジーのお気に入りくんをただ一目見ようと思っただけなのに、まさか初対面でこんな醜態を晒してしまうとは思ってもみなかったわ」
「私も調子に乗りすぎました・・・」
「いや、別に俺は大して気にしてないから」
自分を振り返り反省仕切りの二人に、シャイルはこの話はおしまいとばかりに声をかける。
「ふぅ・・・そうね、気にしても仕方がないわね。それはともかくエンジーに聞いていると思うけど、これでも一応私は教師なの。だから、私達だけの時はアリーでもアリーちゃんでも構わないけど(出来ればアリーちゃんがいいわぁ)、学園内や他の学生のいる前では愛称ではなく、アルストロメリヤ先生か長ければメリヤ先生と呼ぶようにしてね」
「ええ、わかりましたよ」
「別に今は敬語も使わなくて構わないわよ」
「ああ、うん。わかったよ」
アルストロメリヤは、公私の区別をつけて欲しいという事を言っているのだろうと、シャイルは正確に読み取り素直に返事をした。
「私が担任になるとは限らないし、私としては別に気にしないんだけど・・・教師と言う立場上はね」
「まあ、そうだろうね」
学年が上がれば辞めるなどの理由により人数が減りクラス自体も減っていく事になるとは言え、それでも学園全体では20クラス近くはあるため、アルストロメリヤが担任のクラスになる可能性は低いだろう。
実際シャイルにとって、担任やクラスメイトが誰であるという事はどうでもよかった。
ただ彼女の立場を尊重してあげないといけない事を理解し頷いた。
「と・こ・ろ・で!さっきシャイル君の思わぬ口撃で聞きそびれてしまったけど・・・」
「ちょ!なんだよ、口撃って!?」
「うふふっ、まあまあ。それはいいとして・・・それでさっき私を見て固まっていたけど、何を思ったのかな?」
「い、いや、それはだな・・・」
アルストロメリヤは、シャイルと握手を交わした時の事がずっと気になっていたようで再度聞いてきた。
しかもそれだけならまだしも、少しだけ腰を折りシャイルを見上げるように艶めかしい表情をしている。
そしてその角度だと丁度目に入る自己主張の強い一部分が、目の毒以外何者でもない。
シャイルは流石に少し動揺したが、アルストロメリヤがわざとやっているのだろうと思い、本筋から逸らしつつそれに乗る事にした。
「それは・・・アリーの魅力的な体に目を奪われていたんだ」
アルストロメリヤの横にいる人をチラッと見た後に、シャイルはそう言った。
「まあ、シャイル君は正直ねぇ」
「ちょっと、シャイル君!?今、私の方をチラッと見たよね?見たよね?なんで見たのか5文字以内で答えてくれない!?」
「5文字って短っ!」とのシャイルの発言はスルーされ、「いいから答えてね♡」と超絶笑顔なエンゼルランからは物凄いプレッシャーを感じた。
選択を間違えた!?とシャイルが思ったのは言うまでもない・・・
「いや、それは・・・」
「はい、5文字終了~!!」
「ちょ、ちょっと待て!大丈夫だ!特殊な人にはエンジーは需要がある!!」
フォローしようとしたシャイルがとんでもない事を口走ってしまった結果、さっきのプレッシャーが半端な物ではなくなった。
アルストロメリヤは二人の様子を見て、あちゃ~といった表情で苦笑いをしている。
「ほほう~?そうなんだ・・・つまりシャイル君は、私に喧嘩を売ってたんだね?そうなんだね?」
「ちょ、ちょっと待て!落ち着け!」
「もう怒った!私は怒ったよ!そこまで言うんだったら、私の魅力でシャイル君をメロメロにさせてやるんだからね!!」
「え・・・あれ?」
エンゼルランが完全に切れたと思い、やばいと感じたシャイルは落ち着かせようとしたのだが、その後に彼女の言い放った予想外の言葉を聞いて一瞬呆けてしまった。
「今に見てなさいよ!?吠え面かかせてあげるんだから!!」
それって何か違くね?と考えるシャイルを見据えながら、鼻をフンフン鳴らしてやる気を漲らせている。
「うふふっ、貴方は誤魔化すのが上手ね」
アルストロメリヤはエンゼルランを横目にシャイルに近づき、顔を耳元に寄せながら呟いた。
「何の事かな?」
シャイルはアルストロメリヤの問いに対して、何の事を言っているのかわからないと惚けた。
シャイルのその言葉を聞いたアルストロメリヤは、シャイルから体を離した。
「まあいいわ。それよりも・・・」
アルストロメリヤは笑顔でシャイルの顔に両手を添えた。
すると・・・
ムギュッ!
「モガッ、ムガガガッ!」
何をするんだ!とシャイルは言っているのだが、もはや何を言っているのかわからない。
なぜなら顔を掴まれたシャイルは、そのままアルストロメリヤの豊満な胸に押し込まれたからだ。
「貴方も良く見ると、なかなか可愛いわねぇ」
「あ~!」
アルストロメリヤが囁きながら、さらにシャイルを桃源郷の奥へ招きいれながら頭を撫でている。
その姿を見たエンゼルランが、何やってんの!とでも言うかの如く大声で叫んだので、シャイルは止めてくれるのだと期待したのだが・・・
「はぁ・・・やっぱりこうなったかぁ・・・随分気に入られちゃったみたいだね、シャイル君」
エンゼルランがどこか諦めたように、そして申し訳なさそうに、頭をポリポリかきながら呟いた。
助けてもらえると思ったシャイルは落胆しつつも、何とか抜け出そうとジタバタする事でようやく解放された。
「ぷはぁ~!・・・はあ、はあ、死ぬかと思ったわ・・・」
「んもう~、大げさねぇ。喜んでたくせに」
「ごめんね~、シャイル君。アリーちゃんは気に入った子には、過剰なスキンシップをしちゃうんだよ」
窒息しそうになっていたシャイルが文句を言っても、アルストロメリヤはニコニコしている。
そんなアルストロメリヤをエンゼルランはフォローするように、今起こった事について説明した。
「なんてはた迷惑な習性だよ・・・」
なんだかこれからも振り回されそうな予感に苛まされて、なんだか急に疲れてきた。
「ふふっ、初対面でまさかここまで自分をさらけ出しちゃうとは思わなかったわ。完全に予想外よ」
アルストロメリヤも、本当は軽く顔見せをするだけにしておこうと思っていたのだ。
思っていた以上に自分をさらけ出してしまったのだが、予想外と言う言葉とは裏腹に楽しそうな顔をしている。
「それはともかく、シャイル君もお疲れの様子みたいだから、今日の所はこの辺にしておきましょう」
「うん、そうだねぇ。それがいいみたいだね」
「ああ、そうさせてもらうよ・・・」
シャイルの疲れている様子を見た二人は、自分達が原因である事を棚に上げてそろそろ解散する事を提案した。
それに素直に頷くシャイル。
「じゃあシャイル君。再度言わせて貰うけど、これからエンジー共々よろしくね」
「よろしくね~!シャイル君」
「ああ、二人ともよろしく」
◇
「エンジーの言う通り、色々な意味で面白い子だったわね」
「そうでしょ?中々いないよ、あんな子は」
シャイルが談話室から立ち去った後、残っているエンゼルランとアルストロメリヤが話をしていた。
「それにしても、アリーちゃんがあそこまで気に入るとは思わなかったよ」
「私もそれは本当に予想外だったわ。エンジーでもわからなかったという、彼の力を探るだけのつもりだったのに・・・」
どうやらアルストロメリヤは、シャイル自身よりも彼の実力に興味があったようだ。
「その感じだと、どうやらアリーちゃんにも彼の力と言うか強さについてはわからなかったみたいだね?」
「そうね・・・貴方が言っていた以上の事を知る事は出来なかったわ。彼が見につけているアクセサリーが関係しているのは間違いなさそうだけど。それに私達には彼の力を測れなかったと言うのに、誤魔化してはいたけど彼には私達の事・・・何か気づいたようね」
エンゼルランはアルストロメリヤの表情を見て、シャイルの力を探る事が出来なかったのだと悟った。
その事を聞かれたアルストロメリヤは、ほんの少しだけ悔しさを滲ませた表情で答えた。
「そうなんだよね。まあ、これ以上余計な詮索をするつもりはないし、彼が何の目的で力を隠しながらこの学園に来たのかはわからないけど、もし悪意を持って何かをするのであれば、その時は私が・・・」
「あんまり一人で気負わないの。そうなった時は私も一緒に背負ってあげるから。・・・でもまあ、私の直感では0ではないにしても、エンジーの心配するような事にはならないんじゃないかしら?貴方もそう思ったから、彼を気に入ったんでしょ?」
「まあ・・・ね。・・・うん、そうだね。考え込むなんて私らしくないね!うじうじ考えるよりも行動するのが私のモットー!ってな訳で、これからも彼とスキンシップを図りながら様子を伺う事にするよ!」
「スキンシップする事は決定事項なのね?」
エンゼルランの言葉に、やや呆れ気味に呟いたアルストロメリヤだが、「仕方が無い子ね」というようにクスッと笑っていた。
登場人物
シャイル:本編主人公
フランボワー:勇者養成学園生徒会長
スコティー:シャイルと同室の少年
エンゼルラン:学園寮の管理人
アルストロメリヤ(アルストロメリア):学園寮に住む教師