オマケの問題事1
主人公が逃げた問題事です。
次の日の早朝。バスケットに手作りの食料を詰めて一人の少女が小屋に向かった。
エプロンドレスを着て、癖っ毛の髪をリボンで纏めたなかなか愛らしい少女。
見えてきた小屋に顔が弛むが直ぐに不機嫌になった。
「ちょっと!何しに来たのよ、ドラン!」
「ミーシャ!お前こそ何しに来た。二人きりで会うなって言っただろう!」
「なんであんたにそんなこと言われないといけないのよ、何様のつもりよ」
「お前の婚約者だからだろうが!自分の女がよりにもよって余所者のあいつと会ってるのを許すわけにはいかんだろうが!」
「はあー?誰が婚約者よ、勝手に決めないでくれる?親がどう言おうと私は嫌よ!」
そこにいたのは村長の息子ドランと、もう一人ひょろっとした青年でドランが連れてきた薬師だった。
ミーシャはドランと幼なじみ、小さい頃からまとわりついて要らんちょっかいと口を出すこの男が大嫌いだった。
村の他の男は村長の息子のドランに遠慮して、ミーシャには人並みの付き合いしかしない。二人で会話しようなら、聞き付けたドランに絡まれるのだ。
しかも16歳で成人してからミーシャの意思に関係なく婚約を結んだ。親も断れば村八分にされることを危惧して了承。狭い集落で村八分にされれば、生活が成り立たない、弟妹もいる、両親はミーシャに早く嫁にいけと言われてきた。