甘い夢
ジャンル:詩
……嗚呼、また。
まただ。
また、消えた。
希望が、また消えた。
あの子と居たかったのに。
あいつと喋りたかったのに。
この人に会いたかったのに。
こんな奴にああしたかったのに。
あれもしたかった。
これもしたかった。
それもしたかった。
どれもしたかった。
それなのに、また消えた。
希望が、
未来が、
甘い夢が、
心地よい嘘も、
消えた。
あるのは、辛い現実ばかり。
ねぇ、もう諦めてしまおう。
そうすれば、楽になれるから。
そうしたら、傷つかないから。
そうしても、大丈夫だから。
だからほら、諦めよう。
甘い甘い夢を見よう。
白いお砂糖も、艶やかなチョコレートも、濃厚なキャラメルも、優しい餡子も、全て詰め込んで。
甘い甘いものから出来た、すごく素敵な夢を見よう──
『オイオイ、坊やァ』
甘くて甘くて蕩けそうな夢を……
『そんなに甘いモンが好きなのかェ?』
優しい甘さで全てを包み込んで……
『たまには、辛いモンも食いなァや』
甘いもので……
『あァ、そォだ。最近、良い激辛料理店を見つけてねェ。今度おめぇに奢ってやらァ』
艶かしいほど濃密な甘い夢を……
『甘いモンばっかりじゃァ、飽きっちまうだろう?』
パリンッッ、と、何かが割れた音がした。
「目が覚めたかィ、坊や」
……異世界モノを書きたくて試しに書いてみたら使えなかったワンシーン。
自分のレベルがどれだけ低いのか舐めていました……(/ _ ; )
が、ここから私の連載「世間知らずに異世界暮らし」に登場するアスネリ姐さんは生まれた←