学校生活あるある小噺
ジャンル:不特定
キーワード:冬 学校 あるある?
放課後。
「毛利先生っ!」
「なんだ」
「毛利先生って、生まれてこのかた、ず〜っとその名前なんですか?」
「そうだが、何か?」
「まぁまぁ」
女子生徒はやんわりと質問を流した。
「先生、最近寒くなってないですか?」
「ん? ああ、寒いよなぁ。気温、また下がったらしいぞ」
毛利先生は肩をすくめた。
「でも最近、眩しいですよね」
「日差しなぁ……授業するとき困るんだよな、ホワイトボードがテカってな」
「実は、テカり過ぎて、私たち困ってるんですよ」
「“私たち”?」
「全校生徒みんなです」
「板書写しにくいもんなぁ。なんだ、校長先生にでも訴えに行くのか? 無駄だぞ〜」
困った顔の女子生徒の顔。
「わかってるんです……でも……でも、気になり過ぎてどうしようかと思ったんです」
「……ん? 気になるのか?」
「そうなんです、みんな気になり過ぎて勉強出来ないからって、私が代表で来たんです」
「ふん? そんなにか?」
「そうなんですよ。だから、今後、授業に出る時は、帽子を被ってください」
「ふん? 何故だ?」
「だって……」
女子生徒は、憂いを帯びた表情で、俯いた。
「困るんです」
「は?」
「だって……」
女子生徒は、ふるふる、と震えた。
「先生、1日1日薄くなっていくんですもの」
「ん? 何がだ?」
気づいてらっしゃらないのですか、と女子生徒は、何かを堪えているかのように呟く。
年甲斐もなく、毛利先生はドギマギした。
乙女心というものは、やはり男には理解できない、と思っていると。
女子生徒が、顔を上げた。
……その顔は、笑っていた。
「だって先生、だんだん頭の毛が薄くなっていくんですもの」
学校の先生っていうと、必ず髪の毛が薄い男性教諭がいらっしゃるじゃないですか。
私の中学校時代は特に、年齢関係なく頭部が涼しい男性教諭がほとんどで……あ、別にバカにしてるわけではございませんよ?ただちょっと笑いが込み上げてきてただけです。
「あ、河童先生がいたぞ」
「あ゛?河童?確かに俺は胡瓜は好きだが……」
「……いつ見ても頭が河童だなぁ!」
「なんだとこら?!」
みたいな。
……もうこれは、学校あるある……だと思ってます、ハイw
長い付き合いである友人N曰く、
「男の校長先生は皆、禿げる運命にある」らしい。