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この世のすべての答え

作者: 垣ノ内新
掲載日:2016/01/18

 私は時折、自分が生きているのか死んでいるのかわからなくなる事がある。

人は何を基準に「生きている」と思うのだろう。

頬を抓って痛かったら生きているのだろうか。呼吸をしていると生きているのだろうか。意識があると生きているのだろうか。風を感じると生きているのだろうか。心臓が動いていると生きているのだろうか。汗が出ると生きているのだろうか。

私にはそれが「生きている」の証明にはならないと思う。

 人間は「生が始点」「死を終点」としているがそれは所詮人間が創り出した考に過ぎない。

もしかすると「死が始点」であり「生が終点」なのかも知れない。

 よくこういう言葉を耳にする。

「生きているより死んだほうが楽だ」

この言葉が表す意味は、「生は地獄」であり「死は天国」だという意味だ。

確かに生は地獄だ。しかし死は「無」だ。死の先にあるのは天国ではなく「無」だ。

無が天国なんだと言う者もいるだろう。だがそれは綺麗事に過ぎない。

 例えば絶対に逆らえない何かに

「今日からお前は何も考えず、何もせず、生命が尽きるまでそこに座っていろ」

と言われたら耐えられるだろうか。

耐えることは不可能だ。きっとその時「無は地獄」だと思うだろう。

 即ち、「生は地獄」であり「死も地獄」であるのだ。

つまり、生きているも死んでいるも何等変わりはないのだ。

 では何故人間は今、生きていると思うのだろうか。

我々は生きていながら死んでいるのではないだろうか。

 人間は死を知らない無知な生命であるのに関わらず、死を知ったように語る。

死が終点と何故言い切れるのか。

人間が死を経験した事があるのだろうか。

しかし、この世に存在している生命は死を経験した事はない。

それなのに人間は死を知ったように語る。

 死が始点であるのなら我々は今、生という終点に向かっているのだろうか。

或いは我々は生という始点に存在して死という終点に向かっているのだろうか。

 死とは未知の領域で生命の永遠の謎でもある。

或いは生とは未知の領域で死とは今の状態ではないのだろうか。

 何故すべての物には寿命という残酷なものがあるのだろうか。

この世に永遠に存在し続けれるものはない。

どんな物でもいずれは消滅する。

地球も宇宙も何もかもそうだ。

いずれは寿命という謎のそれが訪れて消滅する。

 何故神はこの世に生命を創りそして殺すのだろうか。

 この宇宙、この世は地獄なのかもしれない。

宇宙は無から誕生した。無から誕生するなど我々では到底理解できない。

だがこれは紛れもない事実なのだ。宇宙はある日突然、無から誕生したのだ。

 無とは地獄だ。

無から誕生した宇宙は地獄の産物だ。

宇宙が地獄ということはこの世自体が地獄であるという事になる。

つまり生が地獄であり死が地獄であるということは理に適っているのだ。

何故ならこの世は誕生した時から地獄しか存在しないからだ。

 天国というものは存在しないのだ。

 この世に存在するものはすべて地獄なのだ。

それ故に私は時折生きているのか死んでいるのかわからなくなるのだ。

何故なら「生も地獄」であり「死も地獄」であり全く同じだからだ。

 人間は「生きている」のではなく「生き死んでいる」のでないだろうか。

生死に始点終点という区別はなくそもそも同じものなのではないだろうかと...。


私はそんな事を考えながら今日もこの世に存在する事を憎悪する葉っぱの一つもないカビの生えた木々がある細道を、生命を奪っていきそうな真冬の冷たい風に吹かれつつ今日も生き死にながら歩いて行くのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >私は、今日も生き死にながら歩いて行くのであった。 結末の一文です。 この分を読むかぎり、あなたは生きている。 私はそう断言します。 それはつまり、今日も生き死んでいることを認識してい…
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