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第八話 お手伝いをして(前編)

一月とは思えないほどの暖かさ、時刻は昼休み。穂澄は昨日と同じように灯真に渡された弁当を持って一年の教室に向かおうとしていた。

と、その時制服の裾を掴まれる。後ろを見るとそこには机に座った愁寺がいた。

まあ穂澄も今自分の席から立ったので位置関係では愁寺が後ろに居る事は当たり前と言えば当たり前である。


「これから櫻坂姉妹とメシ?」


「ああ、そうだけど。もしかして一緒に食べたいのか?」


愁寺は言葉を発せずに頷いて答えた。

その様子が結構愛らしい。もし愁寺が女だったら少しぐらいドキッとしてしまうかもしれない。


「そう、じゃあ行こうか。」


穂澄もあえて言葉少なめに愁寺を連れて教室を出た。

その理由は・・・・・・奴らに教室を出る事を悟られない為。しかし奴らの察知能力はすでに人の域を超えていた事に穂澄は気付いていなかった。


ピーと体育で使うようなホイッスルが特進クラスの廊下に響く。

誰しもがそのホイッスルが鳴った方へ顔を向け、穂澄と愁寺も例外なくその方向を向いていた。

その先には目は血走り、獣の如く一直線で走ってくる男子。まあ廊下は真っ直ぐなので一直線と言うのは当たり前である。


入り乱れた男子。総勢、三十人。誰しもが額に『櫻坂姉妹命』とハチマキをして穂澄を睨みながら走ってくる。


「・・・・・・逃げるぞ。」


穂澄の一言で2人は脱兎の如く走り出した。あの波に飲まれればまず助からないであろう。身包み剥がされてそのまま焼却炉なんて事にもなりかねない。


幸い、2人と男子達の間は目測30メートル。それなりに運動が得意な二人にはこのハンデは十分すぎるぐらいであった。


「確か昨日も追われてたけど、原因は櫻坂姉妹だよな。」


相変わらず愁寺は本を読みながら移動している。しかしどんな生活をすれば階段を駆け下りながら本を読めると言うのだろうか。そんなことをしたら穂澄の場合は楽勝で踏み外しそうである。


「まあ、慣れてるから。」


―――あれっ?今の言葉不自然じゃなかった?心を読まれた気がするんすケド!?


「しかし執事って役職も大変なんだな。イメージではもっと簡単な物だと思ってたんだけど。」


―――馬鹿言っちゃいけねえよ。毎日追いかけられてみろ。死ぬよ。過労とかで、いやマジでさ。


あえて心が読まれた事は放っておこう。


そう言っている間に一年の教室に入る2人。後ろを振り向くと、息を切らした男子達がこちらを恨めしそうな目で睨んでいる。

ここまで嫉妬が続けばある種ホラーに近い気もする。


「あれっ?穂澄さん。お友達ですか?」


「・・・・・・友達?」


駆け込んできた穂澄を2人のお嬢様が迎える。手には弁当が握られ、尊のもう片方の手にはビニールシートが握られていた。


「ええ、コイツは社愁寺。特進クラスの仲間です。今日は一緒にお昼をと思いまして。良いですか?」


2人は快く了解してくれた。内心ほっとした穂澄はお嬢様たちと愁寺を連れて屋上へ向かった。











「そうなんですか。良いですよ。今日ぐらい休んでください。」


「・・・・・・裏を返せば明日から労働の日々だから。」



今日神社の手伝いをしたいと言い出すと、尊は了承してくれた、だけど栞お嬢様、さらっと明日から休みなしの労働宣言しないでくださいよ。



基本的に穂澄は屋敷に住んでいるので屋敷に居る365日毎日が仕事だ。時々休みはもらえるが基本、周期的な休みは一つも無いのであった。


「じゃあ、今日は帰りが遅くなりますので灯真さんに伝えておいてください。」


そして、四人はお昼を満喫した・・・・・・











放課後。今日は担任が急用とかで少し下校が早まった。全く持って大変な担任だ。だが、しかしその分神社の仕事も速く終わりそうなので、良しとしよう。

あらかじめお嬢様たちには言っておいたので、下校は車が迎えに来るそうだ。と言う訳で今日の下校は愁寺と二人になった。


幸い、特進クラスだけが下校時刻が早まったので外には穂澄の嫉妬に燃える男は居なかったので楽に下校する事が出来た。

さらば、男子生徒諸君。校舎からの嫉妬の目が痛いぜ!


後ろを見ると男子達が校舎の窓から身を乗り出してこちらを睨んでいる。ここまで揃うと逆に気味が悪い。一度見たあとそのまま目を合わさずに学院を後にした。




作者急病のため暫くストップしていました。すみません。

ゴホゴホ。こ、これからもがんばりますのでどうかお付き合いを。。。

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