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第五話 学校にて

12月31日に親父に借金を押し付けられて一週間が過ぎた。

櫻坂家の執事となった穂澄。最初は戸惑っていたのだが少しずつではあるが慣れてきた様子で一週間を送っていた。


「穂澄くん今日は学校ですので制服に着替えて置いて下さいね。」


穂澄の前に出てきたのは穂澄とは形の違う執事服を着た青年。


「えっ!?だけど俺は授業料払ってないから。」


「学院は櫻坂が経営していますので一人ぐらいなら授業料は要りませんよ。それにお嬢様方の警護をしていただく方が必要なので。」


その事を聞くと穂澄は急いで自室に戻る。理由は学院に行くとは考えてはいなかったので朝は執事服に着替えていた。しかし学院に良くと言う事は制服に着替えなければいけない。

自室に戻った穂澄はクローゼットを開けて制服を取り出し、同時に執事服を脱ぎだす。





「すみません。遅れました。」

慌てて玄関に着く穂澄。すでに栞と尊は玄関で待っている状態だったので何とも気まずい。

目の前に立っているのが穂澄の雇い主。櫻坂栞と櫻坂尊だ。


「穂澄さん遅いよ。」


「・・・・・・遅い。」


二人同時に言われるとダメージも二倍で結構効く。

穂澄は腰を低くして何度も謝った。


「お嬢様方そろそろ行かなければ時間が・・・・・・」


時計を見ると時刻は8時12分。曜日にもよるが遅刻のラインは8時30分。確かにここから櫻坂学院に行くには少し早くしなければいけない。

話を打ち切った二人は、灯真に『行って来ます』と言い、灯真もそれに『いってらっしゃきませ』と答えて屋敷を出た。




お嬢様たちの登校手段は徒歩である。金持ちだと、何かこう、ベンツ&レッドカーペット!見たいな感じで登校するというイメージが強いが(現に前までそうだったらしい)何故二人は徒歩通なのか、その理由は簡単、


「運動になるからかな?」


「・・・・・・健康第一。」


―――だそうだ。

普段は家にいる二人だ、部活も入っておらず運動には程遠い生活をしているので少しでもと言う事で、徒歩通に切り替えたのだ。


早足で登校したかいあって、学院が見えてきた。時計を見ると8時20分。これならもう少しゆっくりでも良かったかもしれない。


最後の曲がり角を曲がり校門をくぐる。


そこで穂澄は異変に気がついた。


―――視線を感じる。


「お嬢様方、私達誰かに見られていませんか?」


二人の耳元で聞いてみるが二人は顔に?マークを浮かべ小首をかしげている。どうやら二人には実感が無いらしい。

しかし穂澄にはこの視線が何かすぐ解った。

後ろを見れば男子が四五人ついて来る。校舎を見れば窓から溢れんばかりの男子が窓から身を乗り出している。


この視線は殺気だ。


――アイツ誰だ?――何で櫻坂姉妹と登校してるんだ?――近いぞ!離れろよ。

男子生徒の嫉妬と疑問を穂澄は受けていた。


―――こんな調子でよく気がつかないな。お嬢様方、鈍感なのか大物なのか、良くわからない。

苦笑いを浮べるがそんな事でこの状況を止められたら借金なんてすぐに返せる。

もしこの状況で二人がいなければまわりにいる男子三十人弱が襲い掛かってきてもおかしくない気もする。


「ほっすみぃ〜」


その聞き覚えのある声が耳に届き後ろを向くと、男子生徒が飛び込んできた。

しかし飛び込んできた生徒を慣れた手つきで動きを読み頭を鷲掴みする。


「いでででででっ!?やめろ!わかったから、もう辞めるから!」


目の前に来た男子生徒。スラッとした体型で穂澄より少し背が高い。金髪の髪が横からヒョコヒョコと出ている。

その貫禄は校内で人気投票すれば上位にランクインされるほどであった。


「あの、穂澄さん。その方はどちら様でしょうか?」


「・・・・・・スケバン?」


―――スケバンは女です。つーか古っ!?


心の中でそう突っ込んだ穂澄は二人のほうに向き直り男子生徒を紹介する。


「こいつは―――」


「あれっ?櫻坂姉妹じゃん。ラッキー♪俺は遠藤蛍えんどうけい。穂澄と同じ二年生よろしくね。あっ!携帯持ってる?メアド交換しようよ。」


穂澄が紹介しようとしたが蛍は穂澄を無視してどんどん突っ走ってしまう。


「辞めろ恥ずかしい!」


と言うかまわりの殺気がさっきより数段アップしたような気がする。ああ、今のはシャレじゃないから気にしないでくれ。

――うわっ!?あいつ櫻坂姉妹のメアド聞いている。――なれなれしくすんなよな。――マジ消えてくれ!

その声が蛍にも届いたのか。


「ああ、ちょっと待ってて。」


驚いて動かない二人に待ったをかけ、後ろを向く。

途端蛍の目つきが変わる。


「見てんじゃねえよ。殺すぞ・・・」


二人には聞こえないようにしかし周りの男子にははっきりと聞こえるように言う。

言い忘れていたが蛍は学院始まって以来の不良、成績と容姿は良いのだが可愛い女子に目がないことと気に入らない男子には凄く怖い所が玉に傷だ。


周りの男子が一斉に引く。その事を確認した蛍はまた姉妹の方へ振り向き。


「いやーごめんごめん。ハエがうるさかったもんで。」


再びニヤケ顔に戻る蛍。

このまま行ったら二人は確実に遅刻であろう。

執事兼、外ではボディガードを任された使命感と言う物がいつもは消極的な穂澄を動かした。

二人の手を握ると、


「悪い、蛍。先に行ってるぞー」


一目散に走って逃げた。後ろで蛍の声がするが、今は構っていられない。

全速力で走って二人を教室に入れる。とその時始業ベルが鳴る。


「セーフ」


荒い息を整えながら呟く穂澄。


「ありがとう、穂澄さん。」


「・・・・・・褒めて使わそう。」


しかしお嬢様たちの御礼を聞けただけでも、儲け物であろう。



もちろんその後穂澄が担任に遅刻の事で怒られたのは言うまでもなかった・・・・・・





時間はあっという間に過ぎて今は昼休み。各々机を合わすなり購買に駆け込むなりしている登校以上に忙しい時間であろう。

穂澄はと言うと灯真から受け取った手帳を見ていた。

中には学校での行動が細かく記されている。


「えっと・・・昼休みは」


昼休み―――お嬢様方にはお弁当を持たせてありますので穂澄君は二人の教室に迎えに行ってください。


穂澄は手帳に書いてある通りに動き出した。まず出る前に灯真から貰った弁当を持ち、一年生の教室へ向かう。


「待てええええぇえぇえええええいぃぃっ!!!!」


前に大きな人が立ちふさがる。あまりの怒声に危うく弁当をひっくり返しそうになった。

目の前には二メートル以上ある巨漢に額にハチマキなど、いかにも昔のアニメの番長っぽい人が出て来た。

良く見ると後ろに同じような服を来た子分の様な人もいる。


「お主、櫻坂姉妹とどういう関係なんだ!!!」


自称番長は鼻息を荒げ聞いてくる。


「あの・・・失礼ですが二年ですが?」


「当たり前だろう!!!!!!」


―――すみません、見た目は三十代です。


こんなおっかない人には声には出しては言えないが心の中でははっきりと言ってやった。


「俺はただの知り合いですけど。」


「それならいい!!だがこれから櫻坂姉妹と馴れ馴れしくしたならば我等櫻坂姉妹ファンクラブが黙ってはいないぞぉおおおおおおおおお!!!」



番長はのっそのっそと巨漢を揺らしながら消えていった。


―――ファンクラブって公認ではないんだな・・・・・・多分。


穂澄はそのまま弁当を持って一年の教室に行った・・・・・・











受験で出席日数が足りないと言われました。ヤバイので投稿が遅れました。すみません。。。

注)別にひきこもりとか保健室登校とかではありません。。。

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