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第四話 間違えて

穂澄は言われた通り庭に出て来た。庭の木は綺麗に整えられており、芸術といっても過言ではなかった。


「言われた通りに来たけど、会わないといけない人って誰だ?」


穂澄は灯真に言われてきたのだが誰に会わせるとは言っていなかったのでとり合えず穂澄は庭をぶらつていた。

その時、


「あー!ダメダメそこに入っちゃ!」


急に後ろから声を掛けられびっくりする穂澄。足元と見ると、後一歩踏み出していたら花が潰れていたと言う位置に居た。

穂澄は恐る恐る後ろを振り向くと、


「危ないなぁ、せっかく徹夜して作ったのに後一歩で台無しになるところだよ。」


後ろには人が立っていた。小柄なの割には存在感のある雰囲気。肩甲骨の辺りまで真っ直ぐ伸ばした黒髪を真っ白なタオルで巻いている姿。そして小柄な身体には少し似合わない大きなポシェット。


「す、すみません!?」


穂澄は慌ててその場から引く。


「あの、『作った』と言うのはもしかして庭師の方ですか?」


「ん?ああ、そうか、はいはい。君がねぇ。」


自称庭師の人は何故か一人で納得してしまった。

完全に穂澄は置いてきぼりである。


「僕の名前は苑見真琴そのみまこと。26歳で今はここで庭師をやらせて頂いているよ。穂澄くん。」


「えっ!?なんで俺の名前を?」


自己紹介はまだしていないのに相手は自分のことを知っているのだ。戸惑わない方がおかしい。


穂澄が戸惑っていると、真琴がそれに気付いたらしいのか


「あれっ?灯真に聞いてない?僕のこと」


「はい、聞いてません。」


ここは正直に答えた方が上策であろうとそのままの言葉で返す。

真琴は少し肩を落としそうなのか・・・と呟いている。さっきまでは凄く元気だったのが嘘のような変わりようである。

真琴は頭の抱えて何かを考え始めた。


「あの・・・・・・」


穂澄が心配になり声を掛けるが返事はない。自分の世界に入り込んでいるようである。

真琴はそのまま覚束ない足取りで辺りを歩きながら考え事をしている。


「あの!」


「うぇ?ああ、ごめんね。考え事してると自分の世界に入っちゃうもんで。灯真から言われなかったかな?『会って欲しい人がいる』って」


その言葉でわかった。灯真が言っていた会わせたい人とは目の前にいる真琴の事だと言う事が。

それなら今までの事は合点がいく、灯真が会わせようとしているのなら前もって穂澄の特徴を伝えておくはずであったから。


「そうだったんですか。じゃあ改めて俺は桂穂澄です。これからもよろしくお願いしますね。」


穂澄が握手をしようと手を差し伸べようとすると。


「あーそこは土が固くて躓きやす―――」


「うわっ!?」


真琴の忠告も虚しく穂澄は出っ張っている土に躓き倒れた。




「いてててて、すみません。せっかく忠告してもらったのに。」


「ああ、うん、別にいいけど重いから退いてくれないかな?」


―――重い?―――退く?


何を言っているのか解らず瞑っていた目を開けると、下には真琴がいて、穂澄が押し倒すような状態になっていた。


「ああ、すみま―――」


「「ああーーー!!!!」」


謝ろうとした穂澄だったが横から来た声に言葉が消される。

ふと横を見ると、そこには雇い主である。栞と尊が立っていた。二人とも素っ頓狂な顔をしながらこちらを見ている。

もちろん穂澄はその驚いている理由はわからず困惑していた。


「あの、どうしましたか?」


「何言ってるの!?穂澄さん。真琴さんを押し倒して!」


「・・・・・・無理矢理に。」


二人が凄い剣幕でこちらに近づいてくる。


「お、押し倒すって真琴さんは―――」


「女の人だよ。」


「・・・・・・不純異性交遊」


・・・・・・今なんと言った?真琴さんが女?いやいやいやだってほらあれじゃん、・・・・・・えっ?だって今こんな状態だけど真琴さん何にも嫌そうな顔とかしてないし、そ、それに胸だって平ら―――


そんなことを考えていると自分の右手に柔らかい感覚があることに気付く。

その事に気付いた穂澄は見てはいけないとは思うが恐る恐る視線を下げると。


真琴の胸に手をついていた。しかも柔らかいと言う事は・・・・・・


「穂澄くん苦しい苦しい。手を退けて」


「う、うわあああぁぁぁあああああっ!!!??」


思考が元に戻り。穂澄は後ずさりする。


「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません!!!!」


何回言ったであろう。暇な人は数えてくれ。


「穂澄さんのH!!」


「・・・・・・庭でキ○クリ」


「キ○クリとか言っちゃダメです!」





その後、二人に事情を説明して、誤解を解くまでに一時間以上かかった。怒っていた二人を説得するまでにクビにならなかったのが不思議であった。



「それでは再度紹介します。苑見真琴さん。女性で庭師や美容師など、はさみを使う仕事なら何でも出来る人ですから今度穂澄くんも何か頼んでみてはいかがですか?」


紹介されたのはいいがその日、穂澄は真琴の顔を見ることが出来なかった・・・・・・












つ、つかれた。投稿がんばります。。。

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