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第三十話 卒業式の準備に追われて

―――三月。

三年生は進学、就職、ニート、フリーターなどに分かれる事となった。

そして穂澄たち2年は最上級生になるべくそれなりの準備に追われていた。


「愁寺は花をセットして、おいコラッ!蛍。サボるなー」


櫻坂学院、第一体育館。穂澄たち二年生は終業式の準備に追われていた。壇上で指揮を取るのは穂澄。手には大量の資料が握られていて持ちきれないほどである。こう言うことを進んでする穂澄ではないのだがこうして慌しく指揮をしているには理由がある。

それは昨日に遡る。職員室に呼び出され教師に言われた一言。


『お前、出席日数が少し足りないから実行委員長やれ』


その一言で今の忙しさに至る。もちろん断りたかったが半ば脅しに近かったので仕方が無く引き受ける事になってしまった。


「ほすみ〜、お腹すいたよ〜」


「働かざる物食うべからずっ!働いたら団子作ってやるからさっさとやれ!」


しかしその一言がいけなかった。

一瞬の内に体育館内にいる生徒の動きが活発になる。穂澄の団子は学年の中での噂でもあり何でも天皇が絶賛したと言う噂も(もちろん嘘などだが・・・・・・)


「いやっ!?待てっ!今のは蛍限定だぞ。学年全員分どうやって作るんだよ!」


しかし時既に遅しとはこの事なのか、生徒達の動きは止まらず更に活発になっていく。





ちなみにその後、予定より二時間以上早く終わって穂澄は家庭科室で団子作りに勤しむ事になった・・・・・・








場所は家庭科室。

話は飛ぶが、予定より早く終わってしまった準備。そして終わったと同時に起きた団子コール。仕方が無く穂澄は栞たちに頼み、団子の材料を調達してもらう事となった。幸い2人とも団子を作るといったら喜んでくれて費用は私たちが払うと言ってくれたので少し安心した。

しかし・・・・・・


「あ゛〜!手がアンコ臭くなる!!」


団子作りを始めて一時間とちょっと。愁寺、亮平に手伝ってもらって何とか300ほど作った。


「穂澄。蛍はどうした?」


「あ゛?蛍はツマミ食いするから、適当に作ったの渡して帰らせたんだよ。」


「まあ、確かにあいつは付き合いは良いけど食べ物になると見境がなくなるからな・・・・・・」


喋りながらでも手を止めない3人。愁寺も亮平も中学に上がるまでは良く陸奥庵で手伝いをしていたのでそれなりに手際が良い。それに素人が見ただけでは違いもわからないであろう。


「良し、もう良いだろ。これぐらい作れば。」


出来上がったのは大皿の上にピラミッド型に積み上げられた団子。

学年で準備していると言ってはいたがしていたのは五十人ほど、1人5〜6個あれば十分であろう。


そのまま3人は休んでいる生徒がいる教室に団子を持っていった。









「ほ〜す〜み〜さん。」


「・・・・・・ほ〜す〜み〜」


「ああ、お2人共どうしたんですか?」


特進クラスの教室で休んでいた穂澄の元になにやら上機嫌じょうきげんな2人が近づいてきた。

特に制限があるわけではないが普通クラス。しかも一年生が特進クラスに来ることなど滅多に無い。


「いや、お団子美味しかったです。」


「・・・・・・また作って。」


2人の手には小皿がありまだ数個の団子が残っていた。

それに2人の口の端にはアンコがついている。


「・・・お2人共、気をつけてくださいね。付いてますよ。」


穂澄がハンカチを取り出して2人の口元を拭く。


「ひぁっ!?あ、ありが・・・とう・・・ございます」


「・・・・・・大胆・・・」


「えっ?何か言いましたか?栞お嬢様。」


「・・・・・・なっ何でもない!」


鈍感な穂澄。周りからの視線も関係なし、と言うより疲れているため周りへの集中がかけているのか気付いていない。

栞と尊は急なことで顔を赤くしそっぽを向いている。


「そう言えば、お2人共何故此処に来たんですか?」


穂澄はハンカチを畳みながら顔を赤くしている2人に聞いた。


「・・・・・・穂澄の顔が見たかったんだよ!」


栞が叫んだ為、その声は教室中に響き周りの生徒が穂澄達の方へ向く。


「えっ?」


穂澄も予期してなかった為びっくりして声を上げてしまう。


「いやいや、嘘ですよ。穂澄さん、本当はお団子のお礼を言いに来ただけです。」


「・・・・・・やーい、引っかかった。」


不意を付かれた仕返しのつもりだったのか栞は悪戯な笑みを浮べる。

まあ、確かに引っかかったのだから成功と言えるであろう。


「・・・まあ、会いたかったって言うのは本当ですけど・・・・・・」


「えっ?何か言いました?」


尊は小声で喋っていたので聞こえなかったのか穂澄が聞き返す。


「えっ!い、いえ、それよりそろそろ下校ですから帰りましょう。」


無意識のうちに言っていたのか尊は顔を再び赤らめ、そして誤魔化しながら栞と穂澄の手を持って教室を後にしようとした。


「い、いや。お嬢様。まだ仕事が―――」


「いいよ、穂澄。団子のお礼だ。帰って良いよ。」


愁寺の言葉にクラスの生徒たちも頷く。確かに今日一日一番働いたであろう。穂澄は疲労が目に見えていた。


「あ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて。」







そして穂澄はそのまま尊に連れられ学院を後にした・・・・・・








どうも作者です。

そろそろ九月が終わりますねぇ。この覚醒して投稿し続けた九月。今思えば何で十八話も書けたのか不思議でしょうがない自分。読者数を確認しても八月は8500人ぐらいだったのに九月は70000人ぐらいで桁が違うし・・・まあ、あと二十話まで来ましたのでご期待に応えるように頑張ります。

あと、評価&感想をくれた光さん。ありがとうございました。

では、投稿頑張ります。。。

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