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第二十九話 平穏な休日にて

目の前には暗闇が広がっていた。

いや、ただ単に真っ暗な空間にいるというわけではないのであろう。なにやら良い匂いがする。

柑橘系の甘い匂い。穂澄は体を動かそうとしたが何故か、金縛りに会った様に動くのは足の先の方と腕だけであった。

正直怖い。穂澄は取り乱しそうな自分の脳を落ち着かせ今の状況を確認しようとする。

まず、今はほとんど動けない。目の前には暗闇が広がっておりなにやら良い匂いがする。と言うより。これは何かが押し付けられているのかもしれない。鼻の先に当たるのはまるでボールの様な柔らかな物。穂澄はこの感覚をフル回転で探す。しかし思い出せない。つまり未知の感覚と言うわけか?

と言うよりさっきから少し息苦しくなってきた。穂澄は暗闇の中少ない酸素を思いっきり吸い込む。

と・・・・・・


「ううぅっ!」


誰かのうめき声がした。そうすると先ほどまでビクともしなかった金縛りが少し緩み動きやすくなった。これなら、起き上がれる。そう思い。穂澄は体に力を入れ少し後ろに下がる。


「・・・?・・・・・・!!!!!!!!」


驚愕した。

声は出してはいけない。そう思い穂澄は慌てて自由になった手で自分の口を塞ぐ。

そう、目の前には・・・・・・


「んっ!んん〜」


尊が寝ていたのであった。

足を絡められ腰から下は依然動かす事は出来ない。動かせるのは上半身だけ。


「落ち着け。落ち着くんだ!穂澄。」


声を出してはいけないことは解っていたが。声を出さなければ冷静を保てないと思い、出来るだけ小声で自分に言い聞かせる穂澄。

自分がさっきまで暗闇だと思っていたのは尊が穂澄の頭を自分の胸に押し付けていたわけであり・・・・・・

これ以上考えると鼻血が出そうになりそうなでやめよう。今はどうやってこのピンチを抜け出すかがポイントだ。


さりげなく起こして寝ぼけている間に拘束からぬける―――NO.栞ならともかく尊は結構寝起きは良い。失敗する可能性が高い。

今こそ自分に秘められた能力を発揮して抜け出す―――NO.こんな時にそんな簡単に出来たら人生困りません!

どうせ無理だからと決め込んでこのままひと時の休息に入る―――NO.もし灯真に見つかったらかなり危険な気がする。

現実逃避をして尊の胸に顔を押し付けまくる―――NO!これは執事と言う前に人間として不味い気がする。


と、言うわけで良い案が浮かばず結局最初の案にした穂澄。息を整えいざ、


「尊お嬢様!朝ですよ〜寝ぼけながらゆっくりと起きてくださいね〜」


パチッ

尊の目はいつも異常にはっきりと開いた。

やはり現実は甘くない。少しでも可能性に身を投じた自分が馬鹿だった。


「あれっ?穂澄さん。今何処から声を―――きゃっ!?な、何で穂澄さんが私の横で寝てるんですか!?」


やはり反応はわかりきっていた。尊は短い悲鳴を上げて掛け布団を被りながらベッドをサササッと移動する。


「す、すみません!起きたらこんな状態で・・・・・・このままと言うのも不味いんで起こしたんですが・・・すみません!」


穂澄はベッドの上で土下座をする。


「えっ?起きたら?」


と、尊は警戒していた目を辞め昨日のことを思い出す。

記憶を辿りそのまま考える。


『いつもありがとう。穂澄さん。』


―――私、お礼を言った後確か栞を待ってたんだけどいつまで経っても来ないし穂澄さんも起きそうになかったからそのまま起こさないように布団に入って・・・・・・!!!!!


一瞬にして尊の頭の中でフラッシュバックが起きる。


―――そうだ、私は昨日。穂澄さんが全然起きなかったから・・・


昨日の夜。栞は流石に自分が寝るときは穂澄を起こそうとした。しかし揺すっても起きないし今は自分と穂澄だけと言うこともあったのか、少し大胆な事をしていたのであった。

例えば・・・


『えへへ、穂澄さんを隣に寝かせて、私も寝る!えへへ、恋人みたいだね。ほ・す・み♪なんちゃって!!』とか


『穂澄さんって寝顔可愛いよねー抱きしめたくなっちゃうよ。』と言い抱きしめたり


『何だか眠くなってきちゃったなぁ。だけど穂澄さん離したくないしなぁ。良いか!別にこのまま寝ても。』と、睡魔に負け、抱きしめたまま寝たりとか・・・・・・


そしてその穂澄が目の前にで土下座している。

真相を知った尊は顔が赤くなればいいのか青くなれば良いのかあたふたしていた。

と、それを怒っているのと勘違いしたのか穂澄は頭を下げたまま。


「すみません。こんな破廉恥は執事要りませんよね。すみません。借金は違う方法で集めますのでここは辞めます。」


破廉恥は私なんです。とは流石に言えない。しかしこのままでは穂澄が辞めてしまう。そうなれば栞はまたブスッとつまらなそうな顔をする毎日になるであろう、そして尊自身も今まで一緒に居た執事がいなくなれば調子が出なくなるであろう。


「だ、大丈夫です!穂澄さんなら見られても平気ですから!」


「えっ!?いや、お嬢様。それはそれでいけない気がしますが。」


逆に心配されたようで穂澄はオロオロし始めてしまった。


「いやっ!別にそういう意味じゃなくて。まあ、確かにそう言う意味になるんだけれど・・・とにかく私は穂澄さんにはずっと執事をしていて欲しいの!だから辞めるなんて言わないで!私の傍に居て!!」


―――はぁっ!?しまった!最後の方は明らかに告白になってしまった。いくら穂澄さんでも気付いちゃうよ。どうしよう〜恥ずかしいよぉ〜!


顔を手で覆い頭をブンブン振り回す尊。そして指の間から穂澄を見る。と、穂澄は泣いていた。


「えっ?」


「すみません。お嬢様。そこまで信頼してくださっているのに失望されるような事をしまして・・・わかりました。私はこれからもずっとお2人のために傍に居ます。」


「・・・・・・・・・」


どうやら違う解釈をされたらしい。それで良かったのかそれとも本当の意味で解釈して欲しかったのかは尊にも良くわからなかったそうである。




どうも作者です。

眠い・・・現在2;35分です。

とり合えず今回は朝の一こまを抜き出した物でありました。

比率的には栞の方がエピソードが多いのでこれからはバランスよく尊の方も書きたいと思います。

それでは投稿頑張ります。。。

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