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第二十四話 陸奥庵について(後編)

「それじゃあ、ここはテストに出すからしっかりと勉強しておけ、以上」


教師の言葉と同時にチャイムが鳴りそしてその瞬間数人の生徒が教室から飛び出して行った。

そう、今は昼休み。つまり、さっき走って出て行った生徒は購買に向かっていったのであろう。

まあ、穂澄には関係ないことだ。いつも通り灯真から渡された弁当を片手に栞たちの教室に向かおうとする。


―――っと。団子忘れたら怒られるな。


そう思い鞄から昨日の昼に作って置いておいた団子を取り出す。ちなみに穂澄は一応陸奥庵の二代目と言う事であったので団子の腕は父親には劣るものの通常の団子よりは、はるかに美味しいものとなっていた。

穂澄が片手に弁当。もう片手に団子の重箱を持ち教室を出ようとしたその時。


「穂澄くん!」


声を掛けられる。振り向くとそこには特進クラスの女子3人がいた。

穂澄は首を傾げる。


―――別に、悪いことしてない・・・・・・よな?


「何ですか?」


「陸奥庵の事なんだけど。穂澄くんも手伝ったりしてるの?」


「いや、俺は今は陸奥庵には住んでない。」


「「「えっ?」」」


女子三人組の声が重なる。


―――しまった!


穂澄はその時気がついた。

穂澄が今櫻坂の家で執事をしていることを知っているのは蛍、愁寺、亮平だけであった。そうなるとここでこの女子三人組に知られるとまずい事になる。特に口が軽い女子の事だ、一日も経たずに噂は学院中に広まるであろう。

特に廊下で三列に並んでクラウチングスタートの形で待っている男達には知られたくはない。


「ああ、そいつは今櫻坂の家に―――」


「黙れッッッ!!」


軽率にも大声で言おうとした愁寺の頭に穂澄の上履きが投げつけられる。

愁寺はそんな事は思いもしない為スコーンッと良い音を響かせながら椅子事床に倒れ、そして穂澄は女子三人組の横を通り愁寺に耳打ちする。


「あのなぁ?俺が執事やってるって事は秘密なんだよ!良いか?言うなよ。言ったら今度奉里の前でお前の服全部剥ぎ取るぞ。」


「わかったから、離せ。つーかお前、自分の事守る為には何でもするな・・・・・・」


まあ、当たり前と言えば当たり前である。

今でも十分きついこの生活がこれ以上きつくなったら、はっきり言うと人生が嫌になってくる可能性が高くなる。

そんな事になったら執事の仕事など出来るはずが無い。


「あ、あの?穂澄くん。それで今は何処に住んでいるの?」


「えっ!?ああ、今は陸奥庵を離れてアパートで1人暮らししてるんだ。それじゃあ、俺は行くから。」


質問にさっさと答えた穂澄は愁寺に当たった上履きを回収するとそのまま特進クラスの教室を出て全力疾走して行った。

そしてもちろん待っていましたと言わんばかりにクラウチングスタートの構えをしていた生徒達が走って追いかけてくる。


「つーかお前たち、いつ飯食ってんだぁー!?」




全力で逃げ切る穂澄はそんなことを言いながら今日も仕事をこなす為、一年の教室に向かって行った・・・・・・







「失礼しますっ」


そしていつも通り男子生徒たちを振り切り教室に辿り着いた穂澄はそのまま入ってくる。

と・・・・・・


「穂澄さん、こっちです。」

「・・・・・・早く来い。」


栞たちは他の女子3人ほどと床にシートを敷いて円を書く様に座り談笑していた。

穂澄もそのまま言われた通りに栞と尊の間に座らせてもらう。


「あの?屋上には行かないのですか?」


「はい、今日は奉里ちゃんから陸奥庵の話を聞いて穂澄さんのお団子をみんなで食べようって話になったんです。」


「ああ、これですか?別に数も足りてると思いますし良いと思いますけどお二人は良いのですか?せっかくの誕生日プレゼントなのに。」


「・・・・・・穂澄のお団子を2人占めには出来ない。良いの。」


まあ、この場合は尊もいるので栞が言った2人占めは間違いではないがなんとなくしっくりこない気もする。

シートを囲んでいるのは栞、尊。そして穂澄の目の前に奉里が座っていた。


「そう言えば、奉里はこのクラスだったんだな。」


「うん、ゴメンね。穂澄くんのお団子美味しいからつい、自慢しちゃって・・・・・・」


舌を出して笑う奉里。

まあ、ただの団子で此処まで喜んでもらえるのであれば良いであろう。

穂澄はシートの真ん中にその団子を置き開けると五十個ほどであろうか重箱に詰められていた。


「わあ、穂澄さん、美味しそうですね。」


「・・・・・・美味しそうだけど、もし奉里が団子の話しなかったらもしかして2人でこれ食べさせるつもりだったの?穂澄は。」


栞がポツリと穂澄だけに聞こえるように呟くが、穂澄は気にして入られない。とり合えず受け流しどうぞと勧める。

そしてその5人はお弁当の前にその団子を一つ取り口に運んで言った。

そして感想は・・・・・・


「美味しい〜」


「・・・・・・確かに」


「流石、穂澄くんだね♪」


大好評であった。久しぶりに作った物だったもので少し心配な面もあったが好評だったのでとり合えず安心した穂澄。







そしてその後5人は弁当を食べずに重箱に詰められた団子を全て平らげたそうであった・・・・・・






投稿完了!

先ほど自分の作品を見ていたら気付いた事があった。

実は完結させたと思っていた作品が完結済みになっておらず長期連載中止の文字が出ててびっくり・・・と言うわけで完結に設定し直したら無事に完結済みになりました。。。

っと、話は変わりますが一昨日ハッと閃きで思いついた作品を書き投稿。。。

と、言う訳で疲れました。まあ、今はこっちの作品を6:4ぐらいで優先させているので多分投稿スピードはあんまり変わりません。と言う訳で

投稿頑張ります。。。

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