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第二十三話 陸奥庵について(前編)

「すごく・・・空きました。」


「何がですか?」


「・・・・・・お腹でしょ?」


徒歩で20分ほど歩く為一歩一歩がそのまま空腹の腹に響く。

別に一食ぐらい食べなくても大丈夫ではないかとは思うが穂澄は昨日の昼からろくに食べていません。

理由は昼に団子作りを始め、完成したと思ったら灯真にパーティーの仕度を手伝ってくれと言われ、そのパーティーが始まったら始まったでウェイターの様な仕事をさせられ、やっと休憩を貰い食事を貰おうと思ったら竣夜とドナルドに皿の物は全て食べられた後だったというわけだ。

まあ、その後も似たり寄ったりでパーティーの片づけをし、間違ってウォッカを飲んでしまった2人を寝かしつけその後、食堂では一方的なプロレスが行われていた。

流石にそんな事をしている横で食事を出来るほど穂澄の神経は太くないわけで・・・そして今に至る・・・・・・


「・・・・・・穂澄、それよりお団子持ってきた?」


「そうですよ!今日のメインディッシュはお団子ですよ。」


「いや、お団子はどんなに頑張っても食後のオヤツですよ。」


栞と尊に挟まれ通学する穂澄。第三者から見ればこれほど羨ましい事はない筈なのだが、生憎、今の穂澄はそんな嬉しさに浸っている気力も体力も無いのである。


「ほ〜す〜みぃ〜!」


後ろから声がする。もちろん解っている。蛍だ。

あの、蛍だ!昨日2人に酒を飲まし、穂澄に迷惑を掛けまくった相手、穂澄は糖分やらいろいろな物が不足している脳で考えていると怒りが何処からか沸々とこみ上げて来る。

そして、


「死ねぇッッッッ!!!」


瞬時に身体を反転させ渾身の左ストレートが亮平の顔面に突き刺さった!

・・・・・・ん?亮平??

左ストレートを喰らい鼻から大量の血をまさに噴水の如く噴出しながら倒れこむ亮平。


「あっ。ごめん、人違いだった、テヘッ☆」


「テヘッ☆じゃないよ!俺はただ蛍のマネして後ろから近づいただけなのになんで鼻を陥没させられそうまでの勢いのパンチ喰らわなきゃならないの!?」


「それは・・・俺の後ろに―――」


「―――立ったから♪・・・とか言うなよ!言ったら今度は俺の拳が飛ぶからな!」


思考を滅茶苦茶早いスピードで読む亮平。


「穂澄さん?この人は・・・」


「・・・・・・誰?」


穂澄に殴られて鼻からダラダラと血を流している(現在進行形)人物は杉崎亮平すぎさきりょうへい

注)初登場の様だがしっかりと一話に出てます。


「今、蛍の事を考えてたから後ろから蛍みたいな声を掛けられてつい・・・・・・」


「まあ、別に良いけど・・・って言うか、どうなってるんだよ!?陸奥庵!」


陸奥庵とはもちろん穂澄の実家の団子屋の事。


「どうした?ゴキブリでも大量発生してたか?」


「違うよ!親父さんがまた商売を初めて大繁盛してるんだよ。さっき見に行ったら取材まで受けてたし。」


―――何があったか知らないけどどうやら完全に立ち直ったみたいだな親父は・・・


そう思いながらとり合えず穂澄はティッシュを取り出し亮平の鼻に詰める。


「おお、ありがとう。」


「まあ、いいさこの借りはいずれ返してもらうから」


「まあ、この傷はお前がつけたんだがな」


「「・・・・・・」」


2人の間で暫しの沈黙。そして置いてきぼりされている2人の少女。


「さて、お嬢様方、さっさと学校に行かないと遅れてしまいますよー」


「ちょっ!ちょっと待てぇい!?」


しかしそんな亮平の言葉も無視して歩き出す穂澄。

本当に息がピッタリである。それに栞たちから見ると穂澄はいつもより生き生きしている気もした。

やはり、亮平とは仲が良いのだろうか?


「何だ?ストーカー。どっかの時代劇みたいな呼び止め方しやがって。」


「いやいや、まずストーカーじゃないし、俺も学院の生徒だから通学路こっちだし!それに時代劇みたいな呼び止め方って言うのは突っ込まないで、実は俺もちょっぴり後悔してるんだから」


亮平が盛大に穂澄に突っ込む・・・がそこには穂澄の姿は無く良く見ると先の方に栞たちを抱えダッシュで逃げている穂澄の姿があった・・・・・・








「どうした?元気が無い。」


亮平からの逃走を振り切り栞たちを教室に送り届けた後そのまま男子達の追跡を振り切り特進クラスの自分の席へと腰を落ち着けたのであった。


「いや、良く考えると俺ってめっちゃハードは生活送ってんじゃないかなぁって思って。」


「・・・・・・何を今更。」


今頃気がついたのか?と、まるで嘲笑うかのごとくヘッと軽く笑われる穂澄。

まあ、学院の花とも言われている櫻坂姉妹を両手に持ち楽しそうに登校している青年を見れば嫉妬の目が集中する事は間違いないといえば間違いない。


「そういえば陸奥庵が元に戻ったらしくて今、みんなが騒いでた。」


「そんなに、驚く事のなのか?」


「だって、俺の親父が『陸奥』の文字を店に付ける事を許したぐらいだからな。」


愁寺の父親はここの地域のほとんどを占めている人だった。近所のトラブルから病気がちのお年寄りの世話まで、何でもこなすまさに完璧超人であった。

その親父さんに認められた店は陸奥神社の『陸奥』を店の名前に入れて良いと決められていたらしい。

そして内の親父は愁寺の親父さんに認められる事をしたらしく正式に『陸奥』の二文字を手に入れたのだから

それに当時は愁寺の父親は気難しい事で有名で『陸奥』の二文字で店の評判を高めようとして来た人をことごとく追い返していてその中あっさりとその二文字を手に入れた親父は一時期英雄扱いまでされていたのだ。


「まあ、その内顔でも出すか・・・」


「んっ?何か言った?」


愁寺には聞こえない声でポツリと言う穂澄。


「いや、なんでもない。それより授業。始まるぞ。」


時刻は既に授業時間、そして少し遅れ気味に入ってきた教師。そして授業が始まった・・・・・・







どうも、作者です。この頃結構速いスピードで投稿中。嬉しい限りです。

それにしても、一話で出たきりの亮平がやっとの事で出てきました。まあ、本当のことを言うと出そうとは思っていたが出すタイミングを外して如何しようかと悩んでいました(汗)。流石にいなかった事にするには亮平が不憫過ぎるし、と言う訳で蛍代わりに今回出演と言う形になりました。

後言うことと言えば、今回は少し短めです。キリが良いところが今回の場所だった物で、これ以上書いてキリの良い所を探すとなるとやっぱり長くなるのでやめました。

まあ、マイペースに投稿頑張ります。。。

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